犬の【パテラ】とはなにか。膝蓋骨脱臼の原因と対策

手力整体塾@からだ応援団のパンチ伊藤です。犬の整体師養成講座へお越しになる人達がやたらと“パテラ”という言葉を口にするので、当たり前を大切にする塾長のワタクシがナナメな目線でツッコミを入れてみます。この講座では監査役として関わっているのであまり口を出さないようにしていますけれど、たまにどうしても口を挟みたくなることがあります。

正しい知識は正しい言葉から!

パテラやヘルニアがあろうが向かう先は健康です!

犬の人達がやたらと連呼するパテラ。『パテラ』で検索をかけてみれば・・・

  • 小型犬に多い「パテラ」とは?治療法と予防法
  • トイプードルに多い病気「パテラ」とはどんな病気?
  • 犬のパテラとは!グレード別の症状は?

出るわ出るわ不思議なサイトの数々。
そもそも『パテラ』は膝蓋骨(膝のお皿)を指すラテン語。『小型犬にパテラが多い』なんて想像しただけで気持ち悪いったらありません。

膝蓋骨脱臼の事を略して『パテラ』と呼んでいるようなのですが、“脱臼”は関節が外れる事なので膝関節脱臼ならいざしらず、骨が脱臼するなんて表現がそもそもおかしい。

膝蓋骨は種子骨。筋の端にある腱の中に発生した、他の骨と関節を形成しない浮いている骨。軟部組織の中にあるのでグリグリ動くのが正常です。自分の膝蓋骨を触ってみてください。膝を伸ばしていたら四方八方にグリグリと動くはず。少し膝を曲げたら動かなくなることも確認できると思います。膝を伸ばしてもあんまり動かない人は・・・・残念!ww

犬の膝は曲がっている状態がデフォルトですが、膝をピンピンに伸ばして歩くワンちゃんがたまにいます。人間の様に骨と骨を垂直に重ねたほうが楽ですからね。けれど、結果的に四頭筋腱が弛んで膝蓋骨が遊びやすくなります。骨の細い小型犬では膝蓋骨が滑る溝が狭く浅いので、横に動きやすくなるわけです。

こんな当たり前の事情を無視して、溝を掘り直したりする手術がおこなわれるようですが、あまりに単純すぎやしませんかね。
筋・腱・靭帯など軟部組織が損傷がなければ、単純に四頭筋が弛んでいるんだと思いますけれど。

人間の場合も然りですが、お医者さんが生み出した想像の産物って結構あるのです。

手力整体塾所蔵の資料です↓。膝蓋骨が滑る大腿骨の溝など、実際の映像でご確認下さい。

格好いい専門用語で簡単なことが難しくなる

知識をつけ、専門用語を知ると使いたくなる気持ちもわかります。なんだかちょっと格好いいですからね。だけれど私達の行為は医療ではありませんから病理はほどほどに知っていれば良いこと。だから手力整体塾の授業ではほとんどこの手のお話はしません。

施術における危険を回避するため、施術をおこなううえで特徴のひとつとして知っておいたら良い事であって、詳細を知って「だからどうする」と考えるのではなく「どうしてそうなったか」過程を考える方がずっと重要です。

肉体は道具であり感覚器です。道具は使い方で形を変え間違った使い方で壊れます。使い方が変わらなければどんなに上手な施術をしようが手術で形を整えようが元の木阿弥。パテラのグレードが高くなったからって大腿骨の溝を掘り直しても、膝をピンピンに伸ばして歩いていたら膝蓋骨脱臼はなおりません。(でも溝を掘ったお医者さんは「成功」と言うでしょうが)。
我々は原因になっている使い方を変えるお手伝いをしましょう!

びっこを引くのは「パテラ」に限らない

びっこを引いたらパテラ?だからどうした?

『たまにびっこを引く』。そんな状態に気付いたからといって、パテラなど難しい名称を思い返す必要はありません。自分がびっこを引く時のことを思い出しましょう。

  • 正座して足がしびれた
  • 足に棘が刺さった
  • 足首の動きが悪い
  • 膝の動きが悪い
  • 股関節の動きが悪い
  • 重心の偏り(重心が動かせない)
  • 麻痺

などなど。
足の痺れや動きの悪さは筋肉のなせるワザなので、見た目でわかるトゲや怪我が見つからなければ隠れているコリを探しましょう。犬の場合は痛いところを指ささないのでかえって惑わされずに助かります。

折角勉強したことが仇となってで当たり前を見逃さないようにしたいものです。

膝蓋骨が頻繁にズレてしまうようなら、きちんと膝を使って(曲げて)歩けるようにしてあげましょう。

曲がっている状態がデフォな犬の膝関節って屈筋群と伸筋群がそもそもアンバランスなので伸び過ぎ注意。膝を伸ばしたままでは歩けないような山とか泥濘みとかでしっかり遊んでればきっと大丈夫です。

*麻痺(動かせない・感じない)だけは私達の領域ではありません。早急にお医者さんへご案内しましょう。

パテラのまとめ

パテラじゃなく膝蓋骨脱臼。しかも膝蓋骨は関節していない種子骨なのでそもそも脱臼しません(ってかずっとしてる?)。あまり頻繁に溝からズレるようなら、伸び過ぎている膝をなんとかしましょう。日常で膝を曲げて歩く工夫を!

余談

これは何度でも言うことですが、整体施術は怪我や病気を治すものではありません。動診などの検査も診断をするためのものではありません。
というか、お医者さんで診断がついてお医者さんに治せるものなら整体の出番はありません。

姿勢と動作から物理的に不自然な状態に気付き、偏った状態を作っているコリを予測する。施術で予測の検証をしつつそこが凝ってしまう理由を一緒に考えていく。
先日も書いたように、身体の中に原因があることは稀なので、施術だけでどうこう出来るものでは決してありませんのでそこのところよろしくお願いします。

動作の偏りや姿勢の歪み、痛みや痺れの元になる筋肉のコリは、多くの場合習慣から生じます。コリはある意味、高血圧などと同じ生活習慣病。整体師が行なうこと全ては、対象が何をどう変えれば良いのか適切なアドバイスをするための行為です。
対象が若い場合、施術の結果動きが変わりそのまま解消してしまう場合も無くはありませんが、『ご本人が変わった』事に違いはありません。対象が人でも犬でも、施術は治るカラダになるためのキッカケでしかないのです。「私がこの手で治した」などと履き違えないようにしましょう。

犬の整体師養成講座

パテラの他にも難しい病名や聞いたことがない言葉が飼い主さんから出てきても臆することはありません。正確に診て解剖学の言葉に置き換える方がずっと有意義。ナックリングなんかも同様です。気をつけましょう。

Info

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書いている人

パンチ伊藤
あっとう言う間に整体師歴18年。現役で施術する傍ら小さな整体塾を主宰しています。当たり前な解剖生理と簡単な物理を繋いだわかりやすい身体の話が得意。釣り/山/島/音楽/映画/生きもの全般/が好き。2020年から自然農の畑をはじめました。

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