作画:AI画伯

手力整体塾@からだ応援団のパンチ伊藤です。
わざわざわかりにくい言葉を使って悩みを増やしている人があまりに多いので、言葉を整理すると悩み減りますよーというおはなしです。

反り腰・スウェイバック・ニーイントーアウト・O脚X脚・・・・【謎】言葉を排除すると悩み減ります

身体の状態を表す言葉のうち一般に普及しているものは、機能解剖学で使われる言葉と掛け離れているものが多くあります。一般の方がわかりやすのならそれはそれで良いのですけど、整体師・セラピスト・トレーナーなど、他人の身体に関わろうとする人がイメージだけの言葉を使っているとぶっちゃけドンドン悩みが増えます。

反り腰・スウェイバック・ニーイントーアウト・巻き肩・O脚X脚・外反母趾・骨盤が開く・関節が詰まる・・・・これらの言葉は機能解剖学に存在しないので純粋な機能解剖学の参考書が役に立たない。ネットで調べても誰かの意見や感想しか出てこないので悩みは増える一方です。

小洒落た格好いい言葉を使いたい気持ちはわからなくもありませんが、身体の状態を表すなら純粋な機能解剖で使わる言葉を使いましょう。何がどうなっているのか正確に把握できるようになります。

【謎】言葉を機能解剖学用語に置き換える

実際にいくつか言葉を整理してみます。

反り腰・スウェイバック


【反り腰】という曖昧な表現だとAなのかBなのかわかりません。
【スウェイバック】なる造語がどちらを指しているのか謎なのでネット上の意見を見回してみましたが、案の定、A/B人によって意見が別れている現状でした。
ABそれぞれの股関節+腰椎を機能解剖で使われる言葉で表現すると・・・

反り腰A:股関節屈曲(骨盤前傾)+腰椎前弯
反り腰B:股関節伸展(骨盤後傾)+腰椎伸展

真反対な状態なのに「反り腰」で一括りにしてしまったり、どっちか定かじゃない「スウェイバック」と言ってみたりしている事に、危機感を覚えたほうが良いです。対処法も当然真反対ですからね!

ニーイントーアウト

まず、どの姿勢・どの動作における事を言っているのかわからない。いつでもどこでも「ニーイントーアウトはダメ」なのでしょうか?あのイチロー選手に面と向かって言えるのでしょうか?(Youtubeでイチロー ルーチンを検索!)

直訳すると『膝内・つま先外』。機能解剖学の言葉でいうと『股関節内旋・膝関節外旋』ということになりますが、言い出しっぺに聞いてみないと真意はわかりません。

巷で言うX脚のことを指しているのかもしれませんが、O脚・X脚という言葉もまた機能解剖にはありません。

O脚・X脚

表しているのは見た目の印象だけ。
ちなみに医療では『O脚=内反膝』『X脚=外反膝』と言うようですが、膝関節に『内反・外反』という動作は存在しないので『内反膝・外反膝』もどこかのお医者さんが作った造語。不思議なことに、機能解剖を無視した医療用語は結構たくさんあります。

内反・外反という動作がない事に加え、膝関節は半月板&十字靭帯という特別な構造のおかげで、程よく伸展した状態では回旋出来ない仕組みになっています。

屈曲なり過伸展なりで膝が曲がり、脛骨の遠位端が半月板から離脱してはじめて回旋できるのが膝関節です。なのでO脚(内反膝)X脚(外反膝)を機能解剖の言葉で表すと・・・

O脚:股関節伸展外転外旋+膝関節屈曲内旋
X脚:股関節屈曲内転内旋+膝関節屈曲or過伸展外旋

曲がった膝は内へ20度、外へ30度ほど回旋できます。動作の中ではどちらへでも向けられるのです。動作中も膝の向き(大腿骨の向き)とつま先(母趾)の向きが揃っているのが基本ではありますが、『どっちにも向けられる』という条件付きです。

膝の過伸展を生じた極一部のホンモノX脚を除き、放っておいたら膝は外を向き、つま先は内へ向いてくる人の方が圧倒的に多いのが現実。各関節の筋バランスを比較してみれば一目瞭然です。

股関節外旋大殿筋・中殿筋・小殿筋(いずれも後部)、縫工筋、梨状筋・大腿方形筋・外閉鎖筋・内閉鎖筋・上双子筋・下双子筋(深層外旋六筋)、腸腰筋、小内転筋、長内転筋、短内転筋、大腿二頭筋
股関節内旋中殿筋・小殿筋・大殿筋(いずれも前部)、大腿筋膜張筋、半腱様筋・半膜様筋、恥骨筋
膝関節外旋大腿二頭筋、腓腹筋外側頭
膝関節内旋半腱様筋・半膜様筋、薄筋、縫工筋、膝窩筋、腓腹筋内側頭

股関節伸展外転外旋+膝関節屈曲内旋。程度の差こそあれ中年以降に生じる膝痛はほとんどこの状態。謎言葉風に言うと「二ーアウトトーイン」。はい真反対です。

体の声を機能解剖で訳す

小洒落た格好いい言葉を使いたい気持ちはわかります。身体言葉にしろビジネス用語にしろ、新しい言葉、特に横文字をサラッと使いこなすと何だかちょっと素敵ですけれど、きちんと理解できたもの以外使わないほうが懸命です。自分が恥をかくだけならまだしも誰かの身体や人生に悪い影響を与えかねませんからね。

身体の状態を表すなら純粋な機能解剖で使われる言葉を使いましょう。それだけで悩みが減る。どこがどうなっているのか的確にわかります。筋骨格系の不具合は機能解剖の参考書ひとつで対応できるのです。

身体と機能解剖をつなぐ。体の声を訳すとはそういうことですよ!

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