施術で指が痛くなる整体師・セラピストさんは結構多いと思います。
先日の教室でも『練習中に痛くなる』という人が居たのでここでまとめておきます。
指の痛みは駆け出しの頃の伊藤もちょっと不安でした。
30代半ば。未だちょっと力自慢でしたから、身体の使い方も考えず腕力にモノ言わせ施術に当たっていました。
結果指から前腕~上腕までいつもパンパン。母趾のIP関節は曲がらない&伸びない状態に。
施術をはじめてしばらくすれば気にならなくなってしまうのですが、日常ではほとんど機能せずペットボトルも開けられない状態。ギターの6弦を上から押さえるのはもう一生無理かなぁとあきらめていました。
1日8時間近い施術をその状態で続けて身体が持つはずはなく、お陰様で手力整体のキモのひとつとなっている身体の使い方が確立したわけです。
ただこれ、最初から色々と考えて今の形になったわけではなく、開講当初の塾生が気付いて発覚した事。『先生の圧はなぜか違う』。その一言からアレコレ分析・解析してきてお伝えできるようになった次第。気付けば何だか武道のようになっていました。知らぬ間に合気道の練習と酷似してましたから。
『何故そうなるか』は正直なところわかりませんが、身体をちゃんと使うと、数値的には同じ力でも患者・術者ともに感じる圧が変わるのは事実です。そんなバカなと思う方は是非1度体験しに来て下さい。
指を痛めない為に
マクロな視線 - 手の使い方
1番単純な対策は力の方向と指の向きを合わせること。
母指球の筋(母指内転筋・母指対立筋)で母指を引き寄せて、力の向きと指の向きを合わせます。母指のMP関節(第二関節)は外側にポコっと出しておくと○。
こんな風にIP関節(第一関節)が反る人は指を痛めにくいようです。『反りません』という人もご心配なく。
当初よりはだいぶ反る様になりましたが伊藤の指も基本反りません。この向きで余計な力を抜く事の方が大事。身体がちゃんと使えれば嫌な圧にはなりません。
こんな使い方ではいかにも痛くなりそうでしょ?当たりを柔らかくしたい気持ちはわかりますが、小手先で誤魔化さず身体の使い方を見直しましょう。
ワイドな視線 - 身体の使い方
痛みは筋の酸欠。多くは偏った負担を強いられる筋肉の悲鳴です。
400の骨格筋全てを少しずつ全部使うことで、指や腕の痛みを避けることが出来ます。10の筋で100の力を出すのと400の筋で100の力を出すのでは、痛み方に雲泥の差が出るのは当たり前です。
ベッドを使わず正座を基準とした座揉みで行なう手力整体ですが下半身も使うという事です。
手をパーツとして使わない事。身体をひとつのものとしてとらえ総動員していきます。
何だか疲れそうでしょ?
ところが丹田をコントロールしてテコを最大限活用するので、上手く出来るとあんまり疲れません。そして何より指や腕を痛めずに済みます。
道具は使い様
どんなに高価な釣竿も使い方を間違えれば簡単に折れます。
こんな竿の曲げ方では竿の力が生かせず魚は中々寄ってきませんし、先端部分に負担が集中するのでちょっと下手をすればポキっとあっけなく折れます。
ちょっと見難いですがこちらお手本。竿全体に仕事をさせています。この使い方なら少々無理を強いてもまず折れません。
上の使い方だと釣り人の腕は楽です。だけど竿は折れる。下は釣り人の腕にまで負担が分散するので折れません。はい、少々疲れますがね。
整体の施術を膝も肘も伸ばしきって行なう様を見かけますが、整体師を末永く続けたいならやめたほうが良いです。
全ての筋肉を使うために全ての関節をちょっと遊ばせておく事。膝も肘も少し曲げてたまま施術する事で、指への偏った負担が減らせます。
整体師やセラピストにとって一番大切なのは自身のコンディショニングです。
どんなに腕が良くても腰痛持ちの整体師なんて信用できませんし、施術で身体を痛めているようでは仕事になりません。身体の使い方を伝えるのに説得力もありませんしね。
楽をしたら折れる・痛む。誰かの楽は誰かの負担の上に成り立つ事を忘れずにいたいものです。
書いている人
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あっとう言う間に整体師歴19年。現役で施術する傍ら小さな整体塾を主宰しています。当たり前な解剖生理と簡単な物理を繋いだわかりやすい身体の話が得意。釣り/山/島/音楽/映画/生きもの/が好き。2020年から自然農の畑やってます。
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