スクワットの正しいやり方は何がどう正しいのか

手力整体塾@からだ応援団のパンチ伊藤です。
スクワットの正しいフォーム・やり方として『膝小僧が爪先より前に出ないように』とは良く言われることなので知っている人も多いと思いますが、“何故”そうなのか知っている人があまりに少ないのでまとめておきます。

スクワットの目的を整理してみる

スクワットは主に下肢のトレーニングです。下肢とは骨盤から足まで。骨盤から足までの“伸筋群”を満遍なくトレーニングするのがスクワット目的。『膝が爪先よりも前に出る』姿勢だと目的から外れてしまうから間違いとされるわけです。

スクワットの目的その1。下肢のエクササイズである

関節で言えば股関節、膝関節、足関節。それぞれを満遍なく動かしている証として『膝が爪先を超えない』というのが目安になります。

スクワットの正しいフォーム
下肢の動きに関わる3つの関節に満遍なく分散

正しいフォームでスクワットをおこなえば、可動が大きな股関節が沢山動きます。ココについている筋肉は大きのから小さいのまで沢山ありますから、しっかりたっぷり動かしたいのです。

なんだけれども、「軽くスクワットして」と言うと下図の様になってしまう人が多いのが現実。

危ないスクワットのやり方
股関節が動いていないことに注目

正しいスクワット同様に上体を上下に動かしてはいますが、股関節が動いていません。股関節を動かさなければその分の負担は膝や足首に掛かる事になります。殿筋群が怠けた分、膝の伸筋である大腿四頭筋と下腿の筋群が、背負わなくて良い負担を背負うことになる。
股関節が動かない替わりに背~腰あたりの脊椎が動くのも大問題
結果、膝痛・腰痛・背部痛のリスクが高くなるのであります。

スクワットの目的2。重心コントロール

正しいスクワットをすると支点と重心の関係が保たれます。

間違ったスクワットは重心ずれる

ウエイト×レンジ=モーメント。
ウエイトが支点から離れれば離れるほど強力な梃子が発生するのは小学生でも知っていますよね。視点の真上に重心があれば、無駄なモーメント(梃子)が生じず、物体は元の重量を保てます。

膝が前に出ると重心と支点の関係が崩れて余計なモーメントが発生。身体は掛け算で重くなって、膝・足首の負担が倍増してしまいます。

スクワットの目的3。伸筋群のエクササイズ

スクワットの目的は下肢伸筋群のエクササイズです。

実際にスクワットしてみたり上のイラストを見たりして気付いた人もいると思いますが、膝がつま先より前に出てしまうとつま先で地面を押します。すると当然フクラハギの筋肉が収縮します。フクラハギは屈筋群なのにです。

身体を上下に動かすのは伸筋群の役目。
だからスクワットも伸筋群でやる。

ポジションがズレると膝下で屈筋が働いてしまう。フクラハギ内の腓腹筋は膝関節もまたいで膝の屈曲にも関与します。つまり膝を伸ばそうとしているに膝を曲げようとする筋肉にも力が入る。そんな理不尽な使い方していたら膝に痛みが出ても不思議じゃありません。

正しいポジションでスクワットをするには、カカトでしっかり地面を押さないと後ろに倒れてしまいます。カカトで地面を押すってことはスネの筋肉を収縮させるってこと。スネの筋は伸筋群です。

スクワットは下肢の伸筋群、すなわち、【スネの筋・大腿四頭筋・殿筋群】をセットでエクササイズするものなのです。

山歩きで膝が痛い(スクワットで膝が痛い)

塾生のご主人が山を歩いて膝痛を発症したという報告のお陰で、スクワットの話になった次第。正しくないスクワットの状態で山道を歩いたから膝痛が出たわけです。

平でも登り坂でも下り坂でも前に進む事に違いはないので、丹田を前へ前へ運ばなければ進めないはずなのですが、丹田を後ろに残したまま殿筋群を使わずに前へ進んでいる人は結構いらっしゃる。
平らなところばかり歩いていると気付きにくいのか、街をゆくほとんどの人がそんな歩き方をしています。いざ階段を登ろうとした時、そりゃあ身体重たいはずです。

間違ったスクワットや歩き方で、殿筋分を背負わされた大腿四頭筋が悲鳴を上げるのは当然のなりゆきです。

階段を後ろ向きに降りるお年寄りは少なくありません。
とっても急な下りだったら多くの人が後ろ向きに降りると思いますが、どちらにしても、正しいスクワットと同様の理想的な筋群の連動で下れるから。
追い詰められたら本能的に正しい動きになるのであります。

階段や登山の“下り”で膝痛が出たなら知っておきたい「伸長性収縮」と「連動」の事

階段や山道の下りで膝痛が出る理由を当たり前の解剖生理で明確にしました。肝は筋収縮の仕方と連動にあります。これでもう下りが怖くない!

登山でもスクワットでも、同じ運動をしているのに痛みが出る人出ない人の差は、筋力の差ではなくて、使える筋肉の種類の差。使うべき筋肉を使っているかどうか、沢山の筋を動員できているかどうか。丹田を感じ・操り、梃子を味方につけているかどうかの差です。

気が向いた時に下肢の伸筋群をしっかり連動させるスクワットをしておきましょう。イザってときに必ず役に立ちますよ!

スクワットについて新たな記事を書きました↓

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