手力整体塾ではお手軽な勉強法として、巷にはびこる薄っぺらな情報の揚げ足を取る様おすすめしています。

先日の教室で、某健康マシンの『躓かなくなる』という謳い文句に鋭いツッコミを入れた塾生がいました。脚はブラブラしたままなそのマシンで躓かなるとは如何なるものか。ここで終わったら単なる批評になってしまうので、なぜ躓くのか、どうしたら躓かなくなるのか、みんなで考えました。

足首が背屈しないとつまづきます

躓かないために必要なこと

爪先が上げられなければ当然つまづきます。関節の動作で言えば『足関節の背屈』。この可動を確保するために、趾(足の指ね)の屈筋を含む足関節底屈の筋を緩めて背屈の筋を縮まりやすくするというところは皆すぐに気が付きました。
そんな動きを伴わない器具で『躓かなくなる』というところに突っ込んだわけですしね。じゃあその器具の謳い文句に偽りがあるかというと、そうでもありません。きっと本当に躓かなくなる人は居ると思います。

脚が上がらないとつまづきます

躓かないために必要なこと

次に皆さんが気づいたのが股関節の屈曲。脚そのものが上がらなければやっぱり躓くんじゃないかしらという要因が出てきました。同時に、はてさて先の器具に座ったままで腸腰筋をはじめとする股関節の屈筋群の機能が回復するのか?という疑問も出てきました。

ここまで割とスムーズに要因がでてきましたが、つまずく脚そのものから視線を変えられずにその後は四苦八苦してしまいました。

視点・視野・視座のコントロール

視点は何処を見るか。写真で言えば何処にピントを合わせるかです。
視野は見る範囲。マクロとワイド、広角と望遠の違い。
視座はどこから見るか。自分の場所によって当然見えるものは変わります。

足首とういマクロな視野からちょっとワイドにして股関節にたどり着きましたけれど、もっとワイドにしたら重心(丹田)の影響に気付くでしょうし、視座を変えれば上げる脚の反対側は支えなきゃならないことにも気付くはず。
実際、お年寄りがつまずく場合は『支えられないから上がらない』事が多いのです。

で、つまずく要因をここまで考えるのに整体の(というか身体の)知識は全く必要ありません。気付きましたか?整体の知識が必要なのは『ではどうするか』ってところからになるのですけど、何故なのかわからないけどどうするかだけ知ってる(?)自称セラピストが多過ぎて、ワタクシは反吐が出るのであります。

主働筋・拮抗筋・共同筋・中立筋

『すべての筋はすべての動作に関与する。』
誰に聞いたのか何処かで読んだのか忘れてしまいましたが、10年位前に伊藤がよく言っていた言葉です。
躓かないためには、爪先を上げる・脚を上げる主働筋に対して伸びるべき拮抗筋が伸ばされる。主働筋と協力して共同筋も収縮。その動作を行えるように固定する中立筋・・・など。私達の動作は思わぬところで思わぬ筋肉が連動して成り立っています。

根本的な筋肉の役割

視点・視野・視座のコントロールは実際に目で見る場合だけではなく、思考のバランスコントロールでもあります。
自分の立ち位置からだけでなく違う人の立ち位置から見たら景色が違うことに気付きます。自分の立場だけで考えず色んな人の立場で考えることが出来ると、絶対的な正解や正義なんて無いことに気付きます。無駄な争いのほとんどは解消してしまう。もしかして『悟る』ってのはこのコントロールが出来る様になることをさしているのかもしれませんゼ。

ちなみにバランスボールに座った時のように、座ったままでバランスをとるその器具で動かされるのはどの関節か・どの筋か考えたら、効果の大小は別として“つまずき”に一役買うことも納得できたと思います。

情報の揚げ足を取るのは良い勉強になります。ツッコミを入れるだけじゃなく、『何故』を繋げて考えて論破する(争うわけじゃないよw)のがアゲアシなのです。

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