施術そのものの動作は数さえこなせばある程度上手くなりますが、マッサージチェアにはぜったに出来ない“整体”の腕を上げるには数より質が大切だと思います。

姿勢や動きを観察して目を養う事。思考する事。

自分の身体はもちろん、町行く人達の動きや姿勢、テレビの中の人達などなどその気にさえなればヒントはいくらでも転がっています。『気付く⇒比較する⇒基本で考える』予想を立ててからようやく施術に取り掛かれるわけで、最初の『あっ!?』という気付きがないと何もはじまりません。姿勢や動き、身体のことに対してもっとアンテナを張りましょう。(健康法の情報を集めるとかそういう事では無いです。念のため)人の身体は100人100様。教えられることは限られます。自分で気付けるようになってもらうのが整体の学校手力整体塾のこだわりです。

そんなわけで自分の身体を使って気付く練習をしました。『後ろ向きで階段を下っているおばあちゃんがいる』という話題からテーマは階段。
目に止まる姿勢や動きの人が居たなら、考える前に先ずは自分で真似てみる事です。感覚を研ぎ澄まし、理想の姿勢や動きと何がどう違うのか感じてみる(比較)。

階段で膝にかかる負担

考える時は答えを急がずに、筋肉の基本的生理に則って繋げていきます。

感覚と肉体のズレ

“膝が痛む”という症状が出るのは圧倒的に階段の下りが多いです。苦も無く上り下りできる元気な人にはピント来ないかもしれませんが『登山は下りで膝が笑う』という話は聞いた事があるのではないでしょうか。下りを楽に感じるのは感覚で、下りで膝が笑うのが肉体(生理)なのです。下りは一瞬の事で感覚まで伝わってないだけ。試しに1歩1歩をゆっくりにしてみれば、膝周りの筋肉にとってどちらが高負荷か感覚でもわかるはずです。(負担が掛かるのは関節ではなくあくまで筋肉です)

比較対象としてさらにいくつかの階段昇降をくりかえしました。

  • 後ろ向きで下りる
  • 前向きで下りる
  • 前向きで上る
  • 後ろ向きで上る

感覚だけでは実際の生理とズレもあり曖昧なので、ここから基礎的な生理に則って更に比較して考えていきます。生理的に正しく楽に動くには・・・・

  • 大きな筋を使う
  • 多くの筋を使う
  • 筋を長めにして使う
  • 短縮性収縮で筋を使う
  • 重心をコントロールして梃子を駆使する

以上を踏まえて階段昇降で身体(特に膝周り)に掛かる負担を強い順に並べてみると、【後ろ向きで上る>前向きで下る>前向きで上る>後ろ向きで下る】となりました。
ちなみに使っている筋肉はどれもほぼ同じ。割合と使い方が違うだけです。

 

物事の本質はひとつなので目に入るものほとんど全てが整体に活かせます。兎にも角にもまず『あっ!?』と気付くこと。全てそこからはじまります。

*注
後ろ向きで上り下りする時は必ず手すりに掴まりましょう。

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