意外と多い【ぎっくり背中】の原因と対策

身体をひねった時など背中が“ピキっと”なって息を吸うのも痛くなるような事はありませんか?

整体暦13年のワタクシ(あらビックリ!)、ホントに捻挫を伴うほどのぎっくり腰にお目にかかったのは2度しかありません。その他の多くは捻挫までいかない筋肉の痙攣(スパスム)。脚が攣った時同様、的確にストレッチできれば激痛はすぐに消失します。軽い痛みは少し残りますけれどね。

外力が介入するいわゆる“怪我”の捻挫はさておき、慢性痛でも急性痛でも『負荷が集中している筋が痛む』生理は同じです。ただし急性痛は早急な対処が必要な最終勧告ですから、痛みを発している筋そのものへアプローチして取り急ぎ激痛を弱める必要があります。(痛みが強いのでいきなりそこへアプローチは出来ませんが)。

その後は慢性痛同様で、症状を繰り返さない為に負担が集中する理由になっている怠けた筋の再生が課題になります。

姿勢や動作を出来る限り沢山の筋肉で分散。目指すのはそんな自然体です。

背中の筋肉が攣る。ぎっくり背

とってもメジャーなぎっくり腰よりも実は多いのではないかしらと思うのがぎっくり背中。なんと言って良いのかわからないので便宜上そう呼ぶことにします。

急性痛の多くは筋の痙攣。大抵「縮ませ過ぎ」で起きる痙攣は関節の可動域と密接に関係しています。全ての筋が柔軟で関節が360度果てしなくグルグル動けば痙攣は起きません。いや構造上そうはいきませんが、全ての筋肉が健康で、ちゃんと縮んだり伸びたり関連する筋肉の動きを阻害しなければ良いわけです。

そういう当たり前の観点で見たとき、背中、特に下背部のが痛みやすい原因が見えてきます。

背中の筋肉が攣りやすいのは可動域との関係が深い

頚椎から腰椎まで24もの椎骨が連なりさぞ良く動きそうに見える脊柱(背骨)ですが、人間のそれは実際大して動きません。絵を見てもらえばわかるように頚椎と腰椎には自由度がありますが、胸椎、とくに肋骨が胸骨に繋がる胸椎の1番から10番(T-1~10)は動きたくてもろくに動けない。肋骨が浮いているT-11、T-12の下部胸椎が動きのほとんどを担うのです。

この下部胸椎、肋骨は浮いていますが代わりに実に多くの筋肉が付着しています。

【横隔膜、腸腰筋、腰方形筋、下後鋸筋、僧帽筋、内腹斜筋、腹横筋】
筋肉はこちらで検索>>>

他の椎骨間にもある起立筋などを省いても、下部胸椎及び下部肋骨の動きに影響するする筋はかくも多様。この中のどれかが凝り固まれば下部胸椎の動きを阻害します。結果そもそも大して動かない可動が更に狭くなり、少しの動きで“動かし過ぎ・縮めすぎ”の警告として痙攣が生じるわけです。

僧帽筋が終わり腸腰筋が始まる上半身と下半身の境目。
回旋の動きと前後屈の動きが入れ代わる動きの境目。
横隔膜がまさに堺で胸腔と腹腔を仕切る。

いろんな意味で重要な下背部・下部胸椎。上手い名称が無いのであまり語られませんが実は腰以上に痛めやすく、【ぎっくり背中】は相当多いのです。

座っている時こそ注意

胸腰部の可動

胸腰部の脊柱では、胸椎では少しの前後屈と下部での回旋。腰椎では少しの回旋と下部での前後屈が可能です。
脊柱の可動域と関連筋の一覧はこちら>>>

前屈・後屈・側屈・回旋など、ラジオ体操みたいに立っておこなう場合は実はほとんど股関節が動いてくれてます
股関節がきちんと機能していれば脊柱の動き過ぎを防げますが、座っている時はどんなに優秀な股関節でも側屈と回旋(上イラストに下2つ)には機能しません。

頚と肩甲骨が動けばまだいくらか分散できますが、頚が回らず肩甲骨も動きが悪かったら、座位で身体を捻る事は下部胸椎だけ捻る事になります。そんな時に、周辺に付着する筋肉が凝っていたら、ほんのちょっとの動作で背中はピキッとなります。

デスクワークの人など、座ったまま事を済ませようとするのは身体にとってとても大変な作業。面倒くさがらずに立ち上がれば股関節が動かせますから危険は回避できるのであります。

と、偉そうに申しておりますが、実は先日ぎっくり背をやりました。
通常ミラーしか見ずに車庫入れをする元運ちゃんのワタクシですが、あまりの土砂降りに視界が悪く珍しく身体を捻ったら見事に背中爆発。『何だか腹が張っているなぁ』と思っていた矢先の出来事でした。

が、そこは腐っても整体師。
帰宅後、肩甲骨と横隔膜のストレッチ。さらにちょっと痛いのを我慢して直接脊柱の回旋ストレッチ。朝起きたら痛みはほとんど消失してましたとさ。

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