少し前のエントリーで、検索ボリュームや2015年の習い事ランキングから見て、お客さんに提供する整体は、ヨガやピラティスなどと同じカテゴリーの『習い事』になっていくのが理想ではないかと考察してみました。
腰痛や膝痛など筋骨格系の痛みはもちろん、姿勢や体質なども本当に変えたい(戻したい)なら、自ら入力を変え動きを変えるしかありませんから、個別に必要なメニューを組んで【体育】の指導ができる整体師さんが生き残っていくのでしょう。

お客さんには習い事として提供しますが、提供する側になる勉強を習い事感覚で教わるのは無理があるなと気付いたところで、習い事、稽古、訓練、修行、似て非なる言葉の違いを考えてみたいと思います。

習い事ランキング

参考までに習い事ランキング(2015)を振り返ります。

2015年度実際に習っているランキング20~34歳の女性では、ヨガ・ピラティス、英語、フィットネスクラブ、料理、簿記、お菓子、パン、ピアノ、看護・医療事務。
男性では、英語、簿記、ファイナンシャルプランナー、フィットネスクラブ、ワード・エクセル、宅建、看護・医療事務、ピアノ、プログラミング、テニス。

ついでにママ900人に聞いた子供のお稽古事ランキング2015では、水泳、英語、ピアノ、体操、学習塾、サッカー、書道、ダンス、空手、そろばん。
・・・・・何かお気づきになりますでしょうか。

習い事、稽古、訓練、修行の違い

稽古
稽古の稽には「考える」という意味があるそうで、古(いにしえ)を考える、「昔の事を調べ今すべきことを考える」という原義があるようです。
原点へ遡って温故知新していく行為が稽古。

訓練
訓練の目的は体得させることにあります。条件反射を身につけるべく徹底的に身体で覚えるのが訓練。つまり犬などにおこなうトレーニングは皆訓練。お稽古ではありません。

修行
修行とは悟りを開く事。仏教では相対的幸福から開放され絶対的幸福を追求することを指すようですが(Wiki)、各々の世界・業界で悟りを開く行為も含まれるでしょう。ひとつの世界で悟りが開けたら全部繋がりますけどね。

最後に習い事。
何だか曖昧な言葉だなと思って調べてみたら、『稽古事』という言葉の古臭さを嫌って生まれてきた言葉らしいのですが稽古とは随分ニュアンスが違うように思います。

上に上げたランキングを見てもわかるように、大人にしろ子供にしろ人気の習い事は『自分で頑張れば何とかなるもの』がほとんどです。第三者による不確定要素が無く先人の教えを遡る必要もない。自分ひとりで達成できちゃうものが習い事として成り立つというちょっと不思議な現実がデータから読み取れるのです。稽古よりむしろ訓練(練習)に近いのが今流行りの『習い事』と呼ばれるもの。

英語だとlesson(稽古)とpractice(練習)は明確に違います。
日本語は言葉がとっても多様でそれが面白さだったり繊細さだったりを生むわけですが、きちんと考えて使わないとどんどん乱れてかえってややこしくなりますな。

整体は習い事か稽古か

セルフケア・体育として整体を学ぶなら習い事として成り立ちます。けれど、提供する側に成るべく整体を学ぶなら、それは稽古や修行になります。(動作を身体に染み込ませる訓練要素もあります)

整体やドッグマッサージを習い、手技・テクニックだけを習得して途方に暮れている方を良くお見かけしますが、【習い事】感覚がそもそもの問題。

自分以外の意志がある魚釣りや自分以外の身体を整える整体は、単純なメソッドを“習い事”として習っても、不確定要素が多くてほとんど使いものにならないのが現実です。そんな現実に直面しても対応できる、考え方、柔軟性、行動力、自発性。そんなものを先人の教えを得ながら身につけていくのはやっぱり稽古や修行の領域。心構えからして違うのです。

近頃は、遊びの学校とか釣りの学校とか山の学校とか色々あるようですが、どれも不確定要素が多く行き着く果てもないので、習い事としては成り立たないでしょうなぁ。

お客さんに提供する整体は習い事。整体師になるべく勉強するのは、稽古・修行。ここもやっぱり言葉を正確に使うのは大切だと思った次第です。

・・・と、4日間集中講座が終わって1週間も塾生レポに投稿が無いという温さを発揮した塾生諸氏に喝を入れ、ワタクシは世界一の湖で遊んでおります。やる事やれば遊んで良い。いや、遊ぶ為にやる事やるのです。世界は遊びが救うのじゃ。

マザーレイク

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