【骨盤矯正の実態】歪む・動くのはあくまでも関節です

今や一般名詞になった骨盤矯正。何処のどなたが言い出しのか知りませんけれど、この言葉のおかげで整体のニーズが大幅に広がったのは間違いありません。感謝々。
近頃は産後に骨盤矯正するのがまるで当たり前の常識みたいになっていますが、果たして骨盤矯正ってどこをどうしているのでしょうか。

骨盤がゆがむってどういうこと?

グラフィックソフトなので恥骨が開いちゃってたりしてちょっと大雑把ですけれど、これが骨盤です。

骨盤

もうちょっと詳細に手書きしたものはこちら。

骨盤帯

元々ばらばらな腸骨・坐骨・恥骨が20歳くらいで癒合して左右の寛骨を形成、真ん中の仙骨とくっついて骨盤(骨盤帯)を形成しています。

何故か『関節』と名前がついている仙腸関節(上図赤線)ですけれど、通常の関節にあるツルツルな関節軟骨も滑液(潤滑液)で満たされた関節包もなく、耳状面と呼ばれるザラザラな面と面がくっつき靭帯でガンジガラメにされていて動かさせないようになっています。(骨盤など骨や関節の解剖はこちら

動かせないようになっているものがもし動いてしまったら、仙腸関節炎などという生易しいものでは済みません。そもそも炎症があれば自発痛、安静時痛もあるので整体などの手技療法でどうにか出来るものじゃないのは明白です。自慢じゃありませんが病院での精査をおすすめするのが精一杯でした。実際その方、半月入院して抗生物質点滴してましたからね。

つまりぶっちゃけ、骨盤自体に歪みを生じる関節は無いのであります。(恥骨結合も加齢とともに完全に癒合します。もし動いたらすなわち骨折です)

恥骨結合は癒合してます
恥骨結合が開いたら骨折です

ドアが開いたり閉まったりするのは蝶板がスムーズに動くから。ハサミやペンチで切ったり掴んだり出来るのも梃子の支点となる部分が動くから。骨が動く(歪む)のも同様、腕が曲がるのは肘関節が動くからだし脚をあげられるのは股関節が動くからです。はてさて、骨盤帯が動く(歪む)のはいったい何処が動いているのでしょうか。

骨盤という関節はありません

整体師・セラピストの間では当たり前になっている、骨盤の前傾・後傾という言葉。ただこの言葉の意味を正確に理解している人は案外少ないように思います。

通常、動き(歪み含む)を表す場合は関節名を使います。何故なら動くのは関節だからです(当たり前だ)。筋骨格系の参考書に載っている筋肉の機能は全て関節の動作で表記されています。関節名じゃない『骨盤』の前傾・後傾に関与する筋肉というものは血眼になっても見つからないのです。

何故か?を考えもせず『後傾だったら○○をほぐす』って覚えただけのセラピストが結構沢山いるのが事実。そんな人の参考書はきっとピカピカのままなはずだ!

骨盤矯正=股関節+腰仙関節の矯正

骨盤帯を動かすのはココです

骨盤が動く時、すなわち歪む時、動いている関節は下部腰椎と股関節です。つまり骨盤矯正はこの部分のケアであって、『股関節&腰椎椎間関節&腰仙関節』の矯正というのが正しい表現。そこを動かす筋肉なら、機能解剖の参考書にきちんと載っているのであります。

腸骨・坐骨・恥骨がまだ癒合していない段階なら本当の意味での骨盤矯正が成り立つのかもしれませんけれど、出来上がってない骨を他人が動かすのは乱暴極まりないのも事実でしょう。

ちなみに、骨盤を上から見るとこうなってます。

kotuban-ue

仙腸関節(赤線)は靭帯でガンジガラメですが、妊娠出産時はお腹が大きくなることで左右の寛骨を繋ぐ腹横筋(矢印部分)が伸ばされて、若い人だと多少(恥骨結合が数ミリ)開くこともあるようです。

骨盤が骨盤の形になるのは20歳前後。それ以前は恥骨・坐骨・腸骨がまだそれぞれ独立したバラバラな状態です。
成人するまでの頭の使い方がその後の人生に影響するように、成人するまでの身体の使い方で骨盤の形が決まります。親の責任は重大です。

お腹が大きくなって腹横筋が伸ばされる。赤ちゃんが産道を通る際に骨盤底の筋群も伸ばされる。左右を繋いでいた筋や靭帯が引き伸ばされたまま放置すると、時間の経過とともに少しずつ本当に開いていく可能性がありますけれど、左右をつなぐのは腹横筋と骨盤底筋群なわけですからここを締め直さないと如何ともしがたく、他人任せの骨盤矯正で元に戻すのは不可能です。

何だか小難しい理論をそれっぽく言っていても、実際にやっていることは上記のように『股関節&下部腰椎』の矯正。つまるところ股関節&下部腰椎&腰仙関節をまたぐ筋肉のバランス調整ですから、運動やセルフケアの指導無しに手技だけで完結しているようなら、その骨盤矯正はあんまり意味が無いかもしれません。

まとめ

骨盤矯正とは、下部腰椎+股関節をまたぐ筋肉の矯正です。
骨盤という関節はありませんから骨盤自体が歪むこともありません。捻じれも傾きも、それを生じているのは腰椎と股関節。
左右どちらかの脚が短いからって片方だけ動くわけじゃないので片方だけ矯正しても全く意味がありません。付け加えて、反対が長い可能性だってありますから、形だけ見て判断するのは不可能なのです。

股関節に左右差があったら、股関節の問題だけで済むことはまずありません。身体は部分部分で動くわけじゃなく、全身が連動して動くからです。

骨は日々生まれ変わっているので、5年10年と偏った動きを続ければ骨そのものが歪む事もありますが、もしそうなっていたら形だけ整えようとする矯正など尚更意味がありません。

動く=歪むのはあくまで関節。動いたまま元へ戻れなくなっている関節を正確に見極め、動作のアドバイスすることが矯正になります。最大の重心、臍下丹田を思いのままに操るべく、股関節と下部腰椎のケアをするのが骨盤矯正です。わけのわからない矯正にお金掛けないようにしてください。

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書いている人

パンチ伊藤
あっとう言う間に整体師歴18年。現役で施術する傍ら小さな整体塾を主宰しています。当たり前な解剖生理と簡単な物理を繋いだわかりやすい身体の話が得意。釣り/山/島/音楽/映画/生きもの全般/が好き。2020年から自然農の畑をはじめました。

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