taiiku

整体を『整体』の文字で広めた野口整体の創始者野口晴哉氏が言うように整体の本質は体育です。施術の部分だけピックアップしてサービスとして提供する整体院が大半を占める現状ですが、施術は本来体育を説くための過程なのです。

食育は盛んになりましたが体育は未だ手薄で方向性もちょっとおかしいので、整体の可能性はまだ眠っているように思うのであります。

ランドセルが重くて腰痛の小学生が激増という異常事態

こんなニュースを見て驚いた昨年の暮。教科書なんてものはそもそも学校に置きっぱなしにしておくものだとワタクシは思うのですが、きちんとした体育が行われていればこんなことにはならないとも思うのであります。

筋肉の少ない子どもが重いランドセルで云々という解説を目にしますが、筋肉の量や出力よりもバランス感覚の問題です。
ロコモティブシンドローム予備軍というか子供ロコモというか、筋肉が硬く関節可動域が狭い運動器機能不全の子供が増えているのも数年前から問題視されています。

子どものロコモティブシンドローム

まだおかしな癖がついてない小学生くらいが一番器用に体を使えるはずなんですけれどね、本来。しゃがめない、片足立ち出来ない、バンザイできない・・・・これはもうまるでお年寄りの身体です。

体操着着て運動して、極稀に保健体育で性教育を取り上げてたくらいの記憶しか無いのですけれど、人間の体について、解剖とか生理とかどれくらい指導しているのか気になって調べてみました。

体育とは

体育(たいいく)は、スポーツなどの各種の運動を通じて、心身の健やかな成長をねらうと共に、自己の体のしくみなどを学び育むこと。(wikipedia

体の仕組みを学び育むとなっていますが、学校での体育の学科(つまり保健)は実際どんなカリキュラムかと言うと・・・

3年生健康に良い生活
4年生体の発育・発達
5年生心の発達及び不安、悩みへの対処及び怪我の防止
6年生病気の予防

って、コレじゃまるでメタボのオッサンを教育するような感じ。子供が興味を持ちそうには思えません。

中学生になっても・・・

1年生心身の機能の発達と心の健康
2年生健康と環境、傷害の防止
3年生健康な生活と疾病の予防

解剖生理はそっちのけ。具体的な内容はわかりませんが『何がどうなっている』という本質的なところはすっ飛ばして、理想的な(誰にとって?)心身をどう作るかとか、アレとかコレとかは体に悪いからやめろとか、そんな内容が目に浮かびます。

大人の勝手な価値観を植え付けるんじゃなくて、カラダがどうなっていてどう機能しているのか、何故その形なのか、などなど、目には見えないけれど現状把握されている解剖生理に則ってありのまま伝える方がずっと大切だし面白い。全身の骨は何個あるかとか血管の長さはどれくらいかとか、子ども好きそうですしね。

理科室には内蔵が見れる人体標本があるけれど、保健体育の時間に骨格標本が無いのはおかしと思うのです。
自分の背骨がどうなっていてどんな動きが出来るのか・出来ないのか、腕や脚がどこから動くのか、立ち方・座り方・歩き方、身体の使い方、そもそもカラダが動く仕組みはどうなっているのか、ひいては生きるとはなんなのか、・・・・生物の授業との線引が難しいのかもしれないけれど、自分の体のことを知るのは主要5科目よりもずっとずっと大切でしょう。

あぁお役所仕事

更にエグって『初等中等教育修了の段階で保健の分野においてすべての子どもたちが身に付けておくべき具体的課題』というものを文部科学省のサイトに見つけたのでリンクしておきます。http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo0/toushin/attach/1395094.htm

まるで興味をそそらせませぬ。
しかもサイトの句読点が点(、)じゃなくコンマ(,)なのが気持ち悪い。昭和25年に『横書きはコンマ(,)を使う』と文部省が文章を出しているようですが(教科書も横書きのものはコンマだって?誰が決めたんだよ)、わざわざ頑なにそんな事守らなくても良いと思うんですがね。Yahooニュースだって(、。)なんだし、コンマなんて違和感しか無い。

はい、そんな大人たちが決めていることだから残念ながら希望はありませんが、小中学校の体育・保健体育の時間に整体をブチ込んでくれたなら、ロコモもイジメも自殺も少しは減るんじゃないかしらと思うのであります。教育委員会や学校に期待してもきっと無駄ですから、コレを読んでくれているお母さん方が危機感をもってくれることを切に願います。お声がけくれたらよろこんで協力します!

あ、小中学生のうちから施術を受けるなんてのは全くいただけません。体育を説くためにちょっと触るのはありですけど、身体に興味を持って大切なことを知ったらあとは外で元気に遊ぶだけ。色んな体の使い方で色んな遊びをすればそれが整体になります。

昭和の頃は色んな遊びがあった。保健体育で身体の使い方を教わらなくても、あらゆる体の使い方を遊びの中で学べました。遊ぶ場所も無くなって子どものころから特定の動作だけ繰り返す今、整体師の新しい可能性が見えてくるのであります。

施術はセルフケアで再現できるもの

すごい先生の凄い技で壊されたわけじゃなく日常で壊れてるわけですから、日常を見直してセルフケアで治せるはずなのです。身体。凄い先生の特別なテクニックでしか効果が発揮できないものなんて『整体=体育』の本質からズレてます。

大切なのは「何をやるか」ではなく「どうやるか」。脚がどこから動くのかとか背骨がどんなふうに動くのかも知らないのにヒップホップダンスを授業に加えたところで子供のロコモは解消しませんて。ダンスより整体を授業に加えてくれたら良いのにね。

整体は体育

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書いている人

パンチ伊藤
あっとう言う間に整体師歴19年。現役で施術する傍ら小さな整体塾を主宰しています。当たり前な解剖生理と簡単な物理を繋いだわかりやすい身体の話が得意。釣り/山/島/音楽/映画/生きもの/が好き。2020年から自然農の畑やってます。

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