悪い姿勢が身体にとって良くないことは多くの人が知っていると思いますが、何故良くないのか、何がどう悪いのかを明確に把握している人はあまり多くないと思います。
このエントリでは悪い姿勢のほんとうの意味を整理していきます。善と悪だけで判断してただ排除しようとせず、活かせるものは活かすのが愉しい人生の秘訣ですからね!
悪い姿勢は完全悪なのか?
昔この国には八百万の神がいましたが、アメリカナイズされた所為なのかいつの間にか【善と悪】を分けたがる一神教的な世の中になっています。各地の池を干し上がらせて外来種を血祭りにあげたりしているのが良い例です。
どこかの誰かに善と悪を明確に分けてもらえば自分で考えて選択する必要がなくなる。断言してくれる人は楽させてくれるから人気が出ます。んが、信頼できるかどうかは別。見方や立場が変わったら世の中に完全な悪なんて無いってのが真実ですからね。
悪い姿勢が完全な悪だとしたら、こんなにも沢山の人が悪い姿勢になってはいないと思うのであります。
バイアスの掛かった思考でワルモノを吊るし上げるのではなく、姿勢が悪いと何が起こるのか、まずは冷静に分析しましょう。
- 良い姿勢に比べ使う筋肉の種類が減ります
- 少ない筋肉に負担がかかるので痛みが出やすくなります
- 少ない筋肉で済むので代謝が下がります
- 偏った筋肉を使うので更に骨格が歪みます
- 使わない筋肉は使えなくなってきます
- 出来ない人に見えます
- チンピラっぽく見えます
- 弱々しく安っぽく見えます
- 呼吸がしにくくなります
とまぁ一見やっぱり良くないことのオンパレードに見えますが、見方を変えれば、チンピラっぽく見せたい人や弱々しさをアピールしたい人にとっては手放せないのが悪い姿勢。使える筋肉の種類が減って代謝が下がるということは肉体的に楽を感じるわけで、楽したい人にとっても重要なメリットが有るわけです。
日本人は世界で一番姿勢が悪いと称されてます。国民総出で楽したい民族ってレッテル貼られてるわけです。(実際、「何も変えないためなら何でもする」とか言われてます)どんだけ楽したいんすか。
楽したいってことは既にそれだけ弱ってるということ。力任せに良い姿勢をとっても数分と持たないのは結構弱ってるのかもしれません。
良い姿勢は完全に善なのか
メリットだらけで完全な善のように語られる良い姿勢。上記悪い姿勢で起こる真反対の事が生じやすく成るわけで、それだけ考えるとたしかに良いことずくめのように思えます。
んが、【いっつも良い姿勢】だとそれはそれで不自然です。
姿勢は肉体的な問題だけで決まるわけじゃなく、その時々の心理的要因にも左右されます。
自分を疑ったり失敗して落ち込んだりすれば悪い姿勢になるし、新緑まぶしい高原で暖かな風に吹かれれば良い姿勢になる。人間なんてそんなもんです。
二足直立する私達の場合、物理的、構造力学的に良い姿勢は決まっていますが、私達はモノではない。理想や正論だけでは済まない時が多々あります。ベストじゃなくベターな姿勢で対応しなきゃいけない時もあるわけです。
例え良い姿勢といえど『いっつも同じ』では偏り(ストレス)を生みます。『いっつも同じ』だったら良い姿勢も悪い姿勢も実はあんまり大差ないのです。
良い姿勢にも悪い姿勢にも自在になれる身体を目指す
物理的に無理のない姿勢は確かに存在しますけれど、生きとし生けるワタクシ達は常に形を変えられることが重要です。姿勢が悪くたって元気なおばあちゃんは居る。それも事実です。
答えなんて人の数だけあるので、形だけを整えようとする施術は実にナンセンスなのであります。
(そんな動画を公開しました。今後もドシドシ動画講座やっていきます。チャンネル登録お忘れなく!)
形に拘るよりも何故その姿勢、その形になっているのかを考えましょう。
肉体が勝手に形を変えることはありません。そこには必ず理由があります。理由も考えず無理に姿勢を正すのは危ないからやめたほうが良いです。
物理的に身体への負担が増える姿勢はあります。丹田と支点がズレたら重力に梃子が生じて強力なチカラで身体へ襲い掛かります。そんな事実を知っておくことはとても大切だけれど、丹田(重心)と支点をズラせるのも生きモノならではです。
重要なのは、キレイな姿勢を維持することではなくシチュエーションに合わせて自在に操れる身体になること。良い姿勢にも悪い姿勢にもちゃんと意味があるので、それぞれ必要な時に使い分けられる身体を目指したいのであります。
まとめ
悪い姿勢は簡単に矯正できるものではありません。様々なパフォーマンスが下がる悪い姿勢ですが、既にパフォーマンスが下がっているから(弱っているから)その姿勢なのかもしれない。形だけで判断しないようにしましょう。
八百万の神は貴方の中にも居ます。誰かに決めてもらわなくても、自分の正解を自分で決められるようになるのも手力整体が提供したい効能のひとつです。偏った価値観で『私』の正解を押し付けたりしたくないのであります。
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