このエントリー、読む人が読んだら相当大盤振る舞いです。

ストレッチは是か非か

ストレッチは是か非か

手力整体塾では施術にプラスしてストレッチを推奨しています。人体最大の重心、丹田を自在に操る歪まない身体の為のレストアストレッチというプログラムも提唱しています。

ストレッチはラジオ体操並みに皆が知っているセルフケア(自己整体)ですが、ラジオ体操並みに正しく広まってないのも事実。世間を見渡せば「ストレッチは身体に良くない」とか「ストレッチで痛めた」などという話も結構あるようです。

全てのモノコトには二面性があるので、完全な善も完全な悪も無いと思うんですけれどね。身体に良いと言われるものだって食べ過ぎたら毒。毒もちょっとなら媚薬。バカとハサミは使い様。
偏りが悪。「ストレッチはダメ」とマスターが言うのを、考えもなしに広めるニワカセラピストも悪だと思います。

もっと当たり前に、やり方とやる部位を間違えれば痛い目を見るという話です。

ストレッチのやり方

コレはもう結構あちこちで目や耳にするので良い加減一般常識になって欲しいところですが、未だに小中学校あたりで間違ったやり方が横行しているようで何とも歯がゆい。

  • 勢い・反動は付けない
  • 息は止めない
  • 痛いところまでしない
  • ツーンとイタ気持ち良いところで60秒ほどキープ(ツーンが抜けるまで)
  • 楽しいことを考えてニヤニヤしながら

コリをほどいてからなら尚良し。
筋肉には『緊張後に弛緩する』という無条件反射があります。反対に『引っ張ったら縮む』という反射も起こります。反射にはスピードが付き物。『引っ張ったら縮む』反射が起きないように、ゆっくりじっくりツーンが抜けるまで時間を掛けるのが大切です。

身体は心と繋がってる。つまらない事を考えてシカメ面していたら筋の緊張は解けません。実験すれば一目瞭然です。

ストレッチの効果を左右するやり方・やる部位

何処をストレッチするか

『ストレッチするとパフォーマンスは下がる』という論文があります。
(http://www.nrcresearchpress.com/doi/abs/10.1139/apnm-2015-0235?url_ver=Z39.88-2003&rfr_id=ori%3Arid%3Acrossref.org&rfr_dat=cr_pub%3Dwww.ncbi.nlm.nih.gov&#.VzNrK4SLTmi)
『垂直跳びのジャンプ力が落ちた』など、ストレッチ後の筋出力低下を認めるテスト結果を引き合いに出していますが、何処をストレッチしたのかという肝心なところが明記されているものは見付けられませんでした。

しかも筋肉は単体で力を発揮するものではなく、あちこち連動して梃子の原理でパワフルに成るという思考が抜けています。しかもしかもこの実験、ストレッチの時間が15秒から30秒と短いのです。

ちなみに、ストレッチが必要な筋をストレッチすれば、その筋自体の出力はあがりますけれど、必要ないところをストレッチしたらどうなるかは言わずもがなです。

当たり前な筋肉の生理を繋げばストレッチは必要。ストレッチで身体を痛める人の多くは、酷いもみ返しを出すセラピスト同様、狙う部位を間違ってるのです。例えば・・・

症状のあるところそのものをストレッチしてはダメ

急な運動で出た筋肉痛はさておき、慢性的に症状を感じている部位そのものをストレッチしたら、症状を悪化させる可能性が高いです。なぜそこに慢性的な症状が出るのか考えれば至極当然。考え方はトリガーポイントと同様です。

伸筋群は基本的にストレッチしなくて良い

400ほどある骨格筋は大まかに、関節を伸ばすための伸筋群と曲げるための屈筋群に分けられます。
筋肉はスイッチオンで『縮む』方向へしか動きません。元の長さを100とした場合、屈筋群は100から90-80と縮んで働きますが、伸筋群の大半は一度伸ばされてから(拮抗する屈筋が先に縮んでから)120-100と縮んで働きます。

例えば膝を伸ばすための大腿四頭筋。100の状態で膝が伸びているので、ここから縮んで働くことはありません。大腿四頭筋が働くのは、立ち上がる、階段を登るなど、膝が曲がった状態からの短縮性収縮か、階段を下る、スクワットで下がる時など、膝を曲げながらの伸張性収縮。どちらにせよ、100以下に縮めて使うことは先ずありません。(*大腿四頭筋の内大腿直筋は股関節の屈曲に働きますが強くはありません)

筋肉の使い方と長さの関係

脊柱の伸筋にあたる脊柱起立筋群が活躍するのも、一度前かがみになった上体を起こす(120から100へ戻す短縮性収縮)、ゆっくり前かがみになる(ゆっくり120へ伸張性収縮)、前かがみを維持する(120をキープする等尺性収縮)など、100以下に縮めて使う事は滅多にないわけ。

ストレッチの目的は『縮こまった筋を元へ戻すこと』ですから、大半が伸びてからor伸びながら働く伸筋群はストレッチしなくて良いのです。(例外は必ずあります。そこんトコよろしく!)

ストレッチの是非は、やる部位とやり方で決まります

適切な部位を適度にストレッチできれば、筋肉単体の出力も上がるし連動と梃子も回復させるので誰でも実感できるほどパワフルになります。

ひとくくりにして『ストレッチ駄目』なんて単細胞が世の中ややこしくするのです。

ストレッチ否定派VS推奨派の議論も、放射脳VS科学崇拝の議論もウンザリ。信じるのは当たり前の生理と自然の摂理、自分の感覚。全てのモノコトに二面性がある。過ぎたるは及ばざるが如し。カラダに良いと言われていることも悪いと言われていることも、時と場合と程度による。何事も適当が肝心なのであります。何が適当かを判断するのにはやっぱりプロの目が必要です。正確な現状把握で適切なストレッチを提案出来る整体師を選んでくださいね!

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『遊ぶように学び、遊ぶように働く』。素のままの自分で誰かの役に立つと「生き方」はそのまま「働き方」になる。
「頑張る」より「愉しむ」。遊びが全てを救う。そんなモットーの手力整体塾@からだ応援団です。

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書いている人

パンチ伊藤
あっとう言う間に整体師歴19年。現役で施術する傍ら小さな整体塾を主宰しています。当たり前な解剖生理と簡単な物理を繋いだわかりやすい身体の話が得意。釣り/山/島/音楽/映画/生きもの/が好き。2020年から自然農の畑やってます。

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