犬や馬など四足歩行の動物でも、良く観察しているとそれぞれ利き手があります。二足歩行で手を使う私達はなおのこと。

身体中の筋肉を過不足なく満遍なく動かせれば歪みもコリも生じないで済むはずですけれど、それを難しくしているのが利き手の存在。利き手に頼れば頼るほど、肉体のバランスに偏りが生じるのは誰でも用意に想像できるはずです。

そんなわけで、右手の罪と左手の可能性をまとめてみました。(本文中わかりやすくするために、多くの人の利き手である右手を利き手としています。)

手は体の前で使う

私達の腕は身体の後ろ側へも動きますが、日常生活では体の前で使うことがほとんどです。右手を体の前面で使いやすいように背骨は頭上から見て反時計回りへ捻れるように歪む。それに連れて、正面or真後ろから見ると右肩が下がって見える人が多いです。

歩行がそうであるようように右手が前なら左脚が前に出るのが自然ですから、下半身は逆に時計回りの歪みが生じやすくなります。

右肩下がり

利き手があれば利き脚がある

利き手が先か利き脚が先かは分かりませんが、利き手があれば必ず利き脚もあります。型にはまらない人も当然いますけれど、手が右利きなら8割ほどの人が右利き脚・左軸足だと思います。

利き手と利き脚の関係

短距離走のスターティングブロックやアイススケートのスピンからも利き手が想像できますね。

スポーツ選手はプレースタイルや目的によって軸が変わっている場合もあります。
例えば・・・ホームランバッターは後軸、ヒット量産型は前軸。右利きハードパンチャーはレフティに構えて足を止めた打ち合い、アウトボクサーはレギュラースタンス・・・などなど。プロの世界だと目的とスタイルで軸(重心)の取り方は変わります。
ゴルフだけは右足(後脚)を軸にしている人は見たことないですね。あ、アマチュアだといるか。(しかしゴルフの軸足はなんとかならんのでしょうか。生理上不自然極まりないのだけれど。)

テニスやバドミントンなどはバックハンドの時に軸が変化するので、野球やゴルフよりは偏りが生じにくいスポーツと言えるかもしれません。

『ボールは右で蹴るけどボードはグーフィー』なんて人は、重心に偏りがない器用な人だと思います。きっと肉体は調子良いはず。

重いバッグを持つ・肩に掛ける

軽いものはともかく、ちょっと気合が必要なくらい重たい物を持つ時や、バッグを肩に掛ける時。右利きならやっぱり右手でもったり右肩に掛けたりする人が多いと思います。

利き手の方が力持ちだから!・・・・ではなく、右手を使いやすいように重心(丹田)が左に偏っているから。左軸足だからです。

利き手と重心

シーソーの要領で重心を使えば軽くなりますからね。
肩掛けのバッグがズリ下がってくるのも肩の所為ではないのであります。

最大の重心丹田をコントロールしているのは骨盤。動いている関節は腰仙関節を含む下部腰椎と股関節です。

利き手と重心

日常で利き脚を感じる場面は少ないと思うので、左手を使ったら良いのじゃないかしらということです。

左手を使えば重心が変わる。重心を変えるために骨盤が動く。下部腰椎と股関節に関わる今まで動いていなかった筋肉が動き出す。重心が自由自在になるわけです。

『左手を使う』たったそれだけの事で重心の偏りが防げたら安いもんでしょう
今まで使っていなかった脳みそも動き出すおまけ付きです。思考の偏りも解消してしまうかもしれません。

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そういう観点から、スピニングもベイトも左巻きというのは整体的に全くオススメできません(あ、突如釣りの話です。すみません)。やっぱりスピニングは左巻き、ベイトは右巻き。キャストは左右どちらでも出来るのが良いと思います。

右手と左手、同じことが出来るように

整体の施術でも最初から左右の手を同じように使える人はまず居ません。
かといって、利き手に頼っていたら身体の歪みは加速していきますし、片手で全て同じように触ろうとすれば立ち位置や方向などが逐一変わるので一段と難しくなります。

左の時右手なら右の時左手。そうやってちゃんと入れ替えれば重心のコントロールだけですみます。重心がコントロールできるようになれば日常のすべての動作で重宝する。痛みからもドンドン遠ざかります。

『整体師の一番大切な仕事は自分が元気で居ること』と考える手力整体塾では、いつどちらの手を使うかは全て意味があって綿密に決まっています。口うるさく注意もします。

左右の手で同じことが出来るように

施術の練習を正しくしていれば重心(丹田)のコントロールも自然と出来るようになる。日常生活でも利き手に頼らずに済むようになります。

お客様には大変申し訳ありませんが、術者の身体がどんどん調子良くなるのが手力整体なのであります。
あ、お客様にも嬉しい副産物があります。
単純な力で強くすればタダ痛いけれど、重心(丹田)をコントロールした圧はしっかり効くけど痛くない(イタ気持ちいい)です。数値上は同じ力でも感じ方はまるで変わります。理由は分かりません。科学ではきっと当分解明できないと思いますが紛れも無い事実。是非一度体験してみてください。

ちなみに、不器用な左手の方が余計な力も入らず重心は寄りやすく心地良い圧になる人が多いです。

 

伊藤が唯一最後までちゃんと読んだ自己啓発本『夢をかなえるゾウ』のガネーシャも、TV版で『左手使えや』って言ってましたっけね。右手(利き手)と同じように左手(利き手じゃない方)を使うのは、最も簡単かつ効果的に身体と人生を変える方法かもしれませんゼ。

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書いている人

パンチ伊藤
あっとう言う間に整体師歴19年。現役で施術する傍ら小さな整体塾を主宰しています。当たり前な解剖生理と簡単な物理を繋いだわかりやすい身体の話が得意。釣り/山/島/音楽/映画/生きもの/が好き。2020年から自然農の畑やってます。

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