整体は民間療法。医療でも医業類似行為でもないので治療ではない、してはならない・・・・とかいう低俗な議論はさておき。
そもそも慢性的な痛みの多くは、糖尿病や高血圧と同じ生活習慣病なので第三者が治せるものではありません。骨盤の歪みとかO脚・X脚なども含め、施術として術者が施せるものは薬で症状を抑えるような対処療法に過ぎないのです。施術は過程。
(痛みが長く続くと、侵害受容器が過敏になったり、中枢が痛みを記憶してしまったり、可塑性を生じて本当の慢性痛になります。警告としてありがたい感覚である痛み本来の意味が変わって、痛みそのものが病気にる。そうなる前に痛みは早く取りましょう)
施術だけでは100%を行ったり来たりする
痛みが取れた(和らいだ)事で、姿勢や動き、考え方と言った習慣が変わり、すっかり再発しなくなる場合もあります。んが、人間というのは忘れっぽいもので、痛みが消えたのを良い事に、あっさり元の習慣へ戻ってしまう場合も多い。一度習慣になったものはそう簡単に変えられない。習慣恐ろしや。
なので、施術がどんなに上手くいっても100%を行ったり来たりするのがよくあるパターンです。
程度により回数は変わりますが、何度かめに100%まで回復して、その後は月イチくらいのメンテナンスで100%を行ったり来たりする。経営的には大変ありがたいお客さんですけれど、ヒューマンマッサージチェアに成りたい人はいざ知らず、自分が目指す整体の目的とズレが生じたら、ぶっちゃけ結構不毛な気持ちになります。
『気付いたらそんな常連さんばかりになっていた』
目的の方向と掛離れてしまって、食えているのに辞めてしまった人を数名知っています。
整体施術+自己整体(D.I.Y.)
施術の中に、ストレッチや簡単な運動などの“自己整体”を組み込んで、自分で身体を変えられることを実感してもらう。しっかり腑に落ちて効果を実感できるケアなら案外続けてくれる。施術後の落ち込みはゆるく長くなって、整体の効果は120%へ。晴れて“卒業”と相成ります。
ワタクシ含め、手力整体塾の卒業生は皆、整体を受けなくなりますからね。患者さん、お客さんも同様の領域へお誘いして、是非とも一緒に遊べるくらいになってもらいたいものです。
その気にさせる提案の仕方
実感してもらうことが最も重要ですが、自己整体を実行してもらうコツは他にもあります。
宿題を出す
次回までにやるべき自己整体を宿題として提案します。さらなる提案も含め、レポートを作成して次回提出するのは術者の宿題。
褒める。叱る。
宿題をちゃんとこなしてきたなら、身体は必ず正直に変わります。小さな変化を見付けて褒めちぎりましょう。あっけなく前回の状態に戻っていたなら、躊躇なく叱ります。
目標の目的化を改める
痛みを取ること、骨盤を正すことなどは単なる目標。その先にあるはずの目的を認識してもらいます。目標の効果が得られた時何をしているか、どんな自分でいるかが見えたなら、棒線はグングン右肩上がりになります。
生活習慣を変えるのは大変です。癖をやめるのも苦労します。変えたりやめたりするよりも、新しい事を足す方が抵抗が少なく容易なのです。しかも楽しい!
諦めていた事、やりたい事を始めれば、生活習慣は勝手に変わります。
何はともあれ、適切な“見立て”が出来るか否か
施術自体ももちろんですが、自己整体として提案するケアが的を射ていていなければお話になりません。問診、視診、動診といった検査で狙いが定まらなければ、提供するものは何も無いと言っていい。逆に狙いが定まれば、整体だろうがセルフケアだろうが、ヨガでもピラティスでもアレでもコレでも、似たような効果を発揮できるはずです。
しっかり見立てて最適なケアを提案・指導するスキル、レストアストレッチ。痛みや歪みが勝手に治るカラダ、“整体”へ。本質を知れば、あなたが提供する療法やトレーニングの効果はもっともっと上がるはずです。
『施術は過程』そう思うセラピストさんやトレーナーさん。本質を知ればボディーワークはもっと楽しくなります!
「卒業させて経営は大丈夫なの?」という疑問があるかもしれませんが、逆に「通わせるために手を抜くの?」と聞きたいです。余計な心配する前に、先ずやってみる。納得するのは実践してからで良いのです!