手力整体塾を主宰しているパンチ伊藤です。今回は卒業間近な人から良く出てくる悩み、施術の料金に関する事を書きました。
整体施術の料金設定
整体を学ぼうという方々は非常に人柄が良く心根のやさしい人が多い。だからなのか、卒業間際から開業後しばらくの間、料金設定で悶々とする人を度々見かけます。
そこでちょっと施術料について数字大嫌いの伊藤が頑張って数字で考えてみます。
最初に明確にしておきますが、
- 人の役に立てれば儲からなくても良い
- やりたい事をやってるんだから儲からなくても良い
などという綺麗事を言う人が多いこの業界ですけれど、伝えたい事や理念があるなら“官軍”になりましょう。自分に余裕が出来れば自然と誰かの役に立ちたくなりますし(少なくとも伊藤はそうでした)儲ければもっとやりたいことが出来ます。だからもっと欲張りましょうね。手力マスターはある意味種特殊能力保持者なのですから。
通常良くある商売にあるものが無い
整体を生業とする場合、良くある商売に付きものの“仕入れ”が(一見)ありません。テナントも事務所も借りず訪問での開業なら必要経費もほとんど無い。これだけならメリットのように思えますがもうひとつ無いものがあります。目に見える商品です。商売とはつまるところ物々交換なわけでが、整体の場合“モノ”が無いのです。
お金というものがまだ無かった頃は文字通り物々交換で商品同士をやり取りしていました。そのうち、モノは持っていないけれど賢い人たちがサービス業を始めた。例えば力仕事を引き受けたり雨乞いの祈祷をしたり・・・目に見えないけれど役に立った代わりに肉魚野菜を手に入れた。
が、一生懸命働いて食べ物を沢山手に入れたけれど食べきれずに腐らせてしまった。食べ物は貯めておけない。家畜なんかもいつ死ぬか分からない。これではいかんという事で生まれてきたのがお金です。(たぶん)
施術料金の変わりに患者さん・お客さんは何を手に入れるのか。
ここが明確になっていないと整体の料金設定で悩む事になると思います。
整体にも実は仕入れがあります
商売を考える上でわかりやすいのは物販だと思います。仕入れた価格に上乗せして一般ユーザーに売る。扱うものによって多少の違いはあるでしょうが『七掛け』というのが良くある掛け率だと思います。売価×0.7=仕入れ価格。つまり儲けは売価の3割というのがひとつの目安。
(飲食などは原価3割と良く言われます)
整体業には仕入れが無いと書きましたが、実はあります。開業するに当たり整体を習得するためのスクール費用や関連書物・セミナー等勉強代、それに費やした時間が仕入れにあたるわけです。
例えばスクールに50万円払ったとします。これが仕入れ値。60分6000円の施術代金を物販業などで良くある七掛けに当てはめれば・・・
6000×0.7=4200
スクール費用の回収が終了するおよそ120回目までの儲けは、60分の施術1回当たり1800円しかありません。
(勉強に費やした時間を時間給で加算したら仕入れはもっと高額になると思いますが、わかりやすくするために省いてます。)
工夫と手間暇を仕入れに加算して売価が決まる
しかし本当の問題はココからです。
スクール代がペイできた121回目の施術からは、教わった事をそのまま横流しするわけにはいきません。もしいつまでも何も考えずにそのまま続けるのなら、元ネタへ原価を支払い続けるというのが商売としてのスジです。
100円には100円の価値しかありませんし、その100円は100円で買ったのだからあなたの儲けはありません。
大阪のとある地域ではピッカピカに磨いた10円玉を20円で売っていると聞きます。『ピッカピカに磨く』という手間を掛けてはじめて儲けが出るのです。
スクール代がペイできる120回の施術をしていく中で、考えて悩んで試して繋いで・・・・自分にしか出来ない施術を構築する必要があります。
“自信”の話しと同様ですが『これだけやったんだから適正価格』と思えるか否かが肝心です。もしその手間を惜しむならあなたが儲けられるのは時給1800円。残りの4200円は仕入れ代としてボクにください(笑)。
価値を上げるのはアナタ
施術の価値を上げる努力をしましょう。ここでも難しい事は必要ありません。出来る事好きな事を付加価値として加えれば良いのです。あなたにとっては当たり前で無価値なものが誰かにとってとても価値ある事だったりします。元々あるあなたのキャラクターを活かして『ピッカピカに磨く』手間をかけましょう。整体業の商品は整体師そのものですからね。
昨今ここ日本でも深刻になってきている格差ってのも、結局は手に入れたお金やモノの価値を上げられるかどうかによるんじゃないでしょうかね。