熱中症対策水分補給の注意点

今年(2019)夏も猛暑日が続いております。
そんな中でも高齢の方を訪問整体に行くと、エアコンも付けず窓も締め切っている場合が珍しくありません。しかもお年寄りには【水】を飲むという習慣がほとんどありません。「どうせ飲むならお茶」という人が多いのです。

んが!水分補給は水です水!水じゃなきゃダメ!

熱中症>熱射病>日射病

毎年この時期に話題になるのが熱中症。伊藤が子供の頃は“日射病”という言葉の方がポピュラーでした。今は熱中症の中の熱射病、またその中の日射病というカテゴリー分けがされているようです。
対策として水とミネラル(ナトリウム・カリウム)の補給を促す一文はいたるところで目にしますけれど『何故か?』考えた事はありますでしょうか。

答えだけ覚えていも応用が利かない。昨日もそんなブログを書きましたが、折角ならやっぱり仕組みを理解しておいた方が良いと思います。

脳の酸欠が起きる

ボク等は恒温動物。体温を一定に保つシステムを供えています。

体温を上げる・発熱
骨格筋、褐色脂肪細胞、肝臓、脳、心臓などが代謝することで熱を生みます。

体温を下げる
発汗して汗が気化する際に熱を奪ってくれます。
つまり汗をかかないとダメ、汗をかくだけでもダメ。熱を外に逃がすため体表に近い毛細血管が拡張するといわれていますが、外気が高かったら役に立ちません。

体温調整の指令は視床下部が出しています。が、汗が出ない、汗が乾かないなどの理由で体温が上がっていくと血中酸素濃度が下がってしまう。『水温が上がれば上がるほど溶存酸素量が減る』のは釣り人なら馴染みの知識だと思いますが、それと似たような事が体内でも起るわけです。

身体で一番酸素を必要とするのが脳です。酸欠に最も敏感に影響されるのが大脳皮質で、たった数十秒酸素供給が滞るだけでダメージが生じると言われています。
脳の酸欠といえばアクビが有名。熱中症でも眠気やアクビは初期症状として出るようです。チェケラッ!

手足が攣ったら要注意

体温を一定に保つ以外にも身体には恒常性が働いています。体内の水分量もカリウム、ナトリウムなど電解質のバランスも通常は一定に保れます。

細胞外液のナトリウム濃度が上がれば、浸透圧で細胞内から水分が引っ張り出され濃度を保とうとします。細胞が乾くから喉が乾くのです。余計な水分を排出したくないからオシッコは出なくなります。汗ではナトリウムも放出されます。汗をかいた後少々塩っぱい物が美味しく感じるのも恒常性のお陰です。
『喉が渇かない』『水を飲めない』という人は、この辺のシステムがどうにかなっちゃっているわけです。

水に電解質が溶け込んで通電することでボク等は動いていますが、このバランスが崩れた時、電気が上手く流れずに手足が攣るなど症状が出ます。熱中症の場合は急激な発汗に対処が追いつかず痙攣が起きるわけです。

自然の摂理と上手く付き合う

運動すれば筋肉が熱を生み誰でも暑くなります。暑い時はむやみに運動し無い事。ネコみたいに涼しいところでグテっとして夜行性に徹するのが○です。

中々そうはいかない人、今日も暑い中外仕事を頑張る人は、とにかくしっかり飲んでたっぷり汗をかいてください。かいた汗は蒸発させる←ここ大事!むやみに拭き取らないように。汗が乾かない多湿の環境ではどうにもなりませんから、風を当てるか首から氷でもぶら下げるか今すぐ逃げだしましょう。汗をかいた分はまた水分補給。適度な塩分と糖分も忘れずに。

『私は女優』と言い張る汗をかけないアナタは、ミストスプレーでも降り掛けて気化熱を発生させてください。

そしてこれはもう何度も何度も言いますが、アルコール・カフェイン含有飲料では利尿作用が働いてしまうので脱水状態に追い討ちをかけます。飲むなとは言いませんが水分補給とは別腹でよろしく。

beer is not water

東洋医学の【水毒】と低ナトリウム血症を生じる【水中毒】をごちゃまぜにして『飲みすぎ危険』と恐怖を煽る情報を度々目にしますが、日頃からムクミやすかったりおしっこの回数が少なかっったりする水毒の人は水の循環が悪くてそもそも飲めませんし、必要以上大量に水を飲めば腸での吸収が停止されてちゃんと下痢して排泄されます。滅多なことで水中毒にはなりませんから、遠慮せずガブガブ飲んで下さい。水をね!
健康な成人が水中毒を発症するに至った経緯がどれほど異常か、参考資料をリンクしておきます。
https://www.jstage.jst.go.jp/article/naika1913/72/4/72_4_458/_pdf

熱中症予防にベストな水分補給は経口補水液です。次いで単なる水か麦茶。スポーツドリンクはちょっと濃いから水とセットで飲む必要があります。アルコールやカフェインを含む飲み物は、味覚と気持ちを満たすものであって水分を満たすものではないとキモに据えて下さい。

単細胞生物が漂う海水を体皮で包んだのが私達。37兆2000億の単細胞生物を体内で飼っているのです。全部にちゃんと必要な物が行き渡るようにしておきましょう。それが健康って事なんだと思います。

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書いている人

パンチ伊藤
あっとう言う間に整体師歴19年。現役で施術する傍ら小さな整体塾を主宰しています。当たり前な解剖生理と簡単な物理を繋いだわかりやすい身体の話が得意。釣り/山/島/音楽/映画/生きもの/が好き。2020年から自然農の畑やってます。

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