『腰痛の原因は○○だった!』などと、ひとつだけの原因に絞り込もうとするのはまるで魔女狩りです。単純化を求めるから未だに85%もの腰痛は原因不明ってことになるのです。身体は100人100様だし時と場合で変化もしているのですよ。
手力整体塾に筆記の卒業試験はありません。
生きもの・自然を相手にしていく場合、覚えただけの答えではあまり役に立たず、その時その対象にあった解決策を自分で考える必要があるからです。
腰痛をカテゴリに分けてそれぞれ忘れずに触るところを答えられても、それだけでは卒業できません。何故そこに触るのかきちんと繋がっているかどうかが、修了の目安になります。
これ以上掘り下げられないところまで『何故』を投げ続けること(揚げ足を取るとも言います)。他人の身体に触る私達に欠かせない事だと思います。基本手技の練習中にも、何故そこへ触るのか、どうしてそのように触るのか、常に答えられるようにしておいて下さい。
腰痛の何故を掘り下げる
以下、『腰痛の原因』として巷でよく話題になるものです。
腹筋をはじめとする筋力低下による姿勢の崩れ
●腹筋など体幹の筋力が低下して姿勢が崩れると腰痛が生じる。
【アゲアシ】筋肉ムキムキなら姿勢は崩れないのでしょうか。直立間もない2、3歳の赤ちゃんがキレイな姿勢で立てるのは何故でしょうか。腰の曲がったお婆ちゃんでも腰痛のない人が居るのは何故でしょうか。
骨盤の歪み
●骨盤に歪みがあると腰回りに痛みが生じやすい。腰痛だけじゃなくアレもコレも骨盤の歪みのせい!
【アゲアシ】何故骨盤がゆがむのでしょう?歪んだ過程をどうにかしないと単なる対処療法です。
ヘルニア・脊柱管狭窄で神経が圧迫
●腰部椎間板ヘルニアや骨棘形成により脊髄から枝分かれする神経根が圧迫されると、腰下肢に痺れを伴うような痛みを生じます。多くは坐骨神経痛と呼ばれる症状になります。
【アゲアシ】そもそも神経が圧迫されて痛みや痺れを引き起こすという生理はありません。仮にヘルニアや脊柱管狭窄が痛みの原因だとしても、では何故腰部にヘルニアが生じたのでしょう。狭窄の元凶を取り除いても、狭窄を招いた原因(過程)が放置されたら意味がありません。「二足歩行だから椎間板に負担が・・・・」何ていう人は犬のヘルニア事情を知らないのでしょうか。
痛肩コリは二足歩行の宿命
●他の動物と違い重力が垂直に背骨に掛かるため、人間の背骨は壊れやすいのです。(流石にもうそんな事言う人はいないと思いますけれど・・・)
【アゲアシ】何故ボク等は何故二足歩行になったのでしょう。常に1Gという強力な重力が掛かる地上で唯一骨で立てるのがボク等人間です。骨と筋肉、どっちが強いかは言わずもがな。
支点と重心の関係
●足裏や坐骨などの支点と重心(丹田)の関係が崩れると(重力垂線からズレると)、重心が重力に引かれてしまうので知らず知らず筋肉に負担がかかる・・・・。
【アゲアシ】はい、では何故支点と重心の関係がズレるのでしょう。
ハムストが凝ると(トリガーポイントがあると)
●ハムストが凝ると坐骨結節が引っ張れて骨盤は後傾してしまいます。腰部の筋肉は引っ張られて背中が丸まり、腰の広い範囲に慢性的な鈍痛を生じやすくなります。
【アゲアシ】何故ハムストが凝るのでしょうか・・・e.t.c.
自分を信じるために自分を疑う
誰かの解説ばかりじゃなく、自分の書く文章や喋る言葉に対しもどんどん『何故』を投げかけましょう。これ以上無いところまで掘り下げて禅問答のような堂々巡りから抜け出せれば自信も付いてきます。
大半は専門知識がなくても考えればわかることですから調べてはダメ。自分を信じる機会を手放したら勿体無いです。
現象だけを取り上げていくらこねくり回しても本質は見えません。角度を変え揚げ足を取り、隠れた本質を掘り出せるように成ったら卒業できる。手力整体塾はそんな整体の学校です。
逆に、施術は多少下手でも卒業できます。
考え方にはゴールがありますが、技術にゴールはありませんからね。