先日軽トラに跳ねられた塾生が、今度は掃除機を掛けようとして『背中を攣った』とのこと。またしても臨床の良いネタになってくれました。
痛みが出たのは上背、肩甲骨の間あたり。痛みが引いてきた今でも左肩甲骨と背骨(胸椎)の間だけは残っているということでした。

良くある整体やその他の療法、整形外科等では「◯◯が痛いということは・・・」と痛いところ基準で考えるのが普通だと思いますが、手力整体では痛みを訴える部位を考慮しません。だからこそ、物言わぬ犬への施術が可能なのでね。

「痛みの訴えを無視しろ」という意味ではありません。本人が痛いと言っているなら原因があろうがなかろうが誰がなんと言おうが痛い。しっかり受け止めて部位の確認は必ずおこないます。
感覚はとても大切。しかし感覚は結構曖昧。本人の訴えは事実として受け止めますが考察する際には迷いの元になるので重要視しないということです。

落とすべきボスキャラ(トリガーポイント)は痛みの部位に存在しない場合が大半。けれど対象が特定の部位に痛みを訴える。このギャップが『人』の整体を難しくしている最大の要因。痛みの部位を訴えない『犬』はその分悩みが減るわけです。

必要なのは筋骨格系参考書だけ!

様々な理論と手技が存在する療法の世界ですが、その大半は経験と妄想で成り立つ摩訶不思議な世界です。
身体は宇宙みたいなもので分からないことの方が大半ですから、不思議な事が沢山有るのは事実。つい先日も新しい臓器が見つかりましたしね。

だけれど出来る限り現在の解剖で解明されていること、きちんとエビデンスがあるものを提供したい。じゃないと公的資格という後ろ盾を持たない私達は只のアブナイ人になってしまう。だから参考にするのはベーシックにわかりきった情報が載っている筋骨格系テキストだけで良いのです。
謎めいたやつは無理やり理論的にせず謎のままコッソリやって不思議を楽しみましょう。

ほぐしや矯正など施術は二の次。整体師の仕事は体の声の翻訳です

週末、手力整体塾2017がはじまりました。仕事から開放された途端体調を崩した人も居たようでうが、概ねそれぞれのお正月を楽しんだ様子。昔々の人が考えた『年中行事』は…

右手で掃除機を掛けようとして上背に痛み。
この部分だけを取り上げてどれだけ考えてみても根拠が無いので全て妄想です。考えるのではなく手間ひまを掛ける。身体の声を訳すべく脳ミソよりも手を動かす方がずっと生産的なのです。

今回は痛みが生じた瞬間の動作を克明に覚えていてくれたので、なるべく忠実に再現していただいて、その時の姿勢(動作)をひとつずつ、筋骨格系参考書に載っている"標準語”へ訳してみました。

クソ難しい数学の問題を足し算と引き算だけで答えるような感じなので時間は掛かりますが、使い所が限られる公式を覚えていなくても誰でも正解へ近づける。面倒くさがらずにひとつずつ確実に分解・訳していくと、上背に偏った負担を生じる要素がいくつも浮かび上がりましたね。
詳細は省きますが、今回は左股関節(梨状筋)へのアプローチで残っていた痛みが消失するという(ちょっと出来過ぎな)結果になりました。

痛みをぶり返さないようにトリガーポイントを探る

要素はいくつもあるので結果が伴わなくても直ぐに別の手を打てます。マッサージチェアのように覚えただけの施術とはわけが違うのです。痛みの部位と掛け離れたところを狙ったのはほんの遊び心。遠ければ遠いほど驚きがありますから。

まとめ

痛みを取るだけでなく、痛みを繰り返さない様にするのが整体施術の役割。
その場しのぎで痛みを和らげるだけなら症状を訴える部位をほぐせば良いけれど、偏る負担を解消したいなら痛みの部位は聞くだけ聞いて考慮しない方が良い。
負担が分散して結果痛みが出なくなる。手力整体師はそんな施術を目指しましょう。

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