整体師がぎっくり腰

『店長ぎっくり腰で休みです』
これ、とあるサロンで実際にあった話。実はあまり珍しい事ではありません。身体の取説を守らずに6時間も7時間も施術すれば、壊れて当然といえます。
腰痛を持っていても患者さんの腰痛を取ることは出来ると思いますが、施術だけで再発まで防ぐのは基本的に無理なので、腰痛の本質的な解消という点ではやはり説得力に掛けてしまいます。

自分の身体は患者さんの身体よりも間違いなく思い通りになります。腰痛や首痛の『なぜ?』がわかっていれば回避できるはずなのです。痛みは肉体的な要因だけに限りませんが、せめて肉体的なメカニズムくらいは明確に把握して、自分の身体で実証出来るようにしておきたいものです。

ベッドでの施術は難しい

『イベントでベッドでの施術をするかもしれない』
先日の授業中にそんな話が出たので、久しぶりに施術ベッドを引っ張りだして姿勢の確認をしました。

立つと当然、扱う関節が増えます。重心が動かしやすくなる反面、姿勢の維持やコントロールが難しくなります。故にベッドでの施術の方が1.5倍ほど難しいのです。ミイラ取りがミイラになる、腰痛の施術で腰痛になる確率も、ベッドでの施術をしている人の方が圧倒的に高くなります。

なのに街の整体院やサロンがベッドを採用しているのは、単にスペースが少なくて済むからです。座揉み2名分でベッドなら3床置けますから。

手力整体塾が“座揉み”と呼ばれるスタイルを貫いているのは、『赤ちゃんは先ず座る』のと同じ理屈。立つのは難しいのです。野外など、のっぴきならない理由がない限り、ベッドでの施術をオススメしません。

身体を上下に動かす為の筋を上手に使って、体幹から上肢を座揉みの時と同じ状態へ。扱う関節が増える=使う筋肉が増えるので、ベッドの方が疲れて正解。特に四頭筋はちょっと凹むくらいパンパンになると思います。もし“楽”に感じたら腰をはじめどこか痛める危険がある。(良い)疲れと痛みはある意味反比例している事を忘れずに。

プロの職人は自分の生業で身体を壊しません

『歳を重ねて更に叩けるようになってきた』何かのインタービューがとても印象に残っているドラム職人、多分世界で最も有名な日本人ドラマー神保彰さん。

軸がブレず、チカラが抜けて柔軟に動く四肢。ドラマーとして完璧な身体の使い方だと思います。

整体師の理想的な身体の使い方も基本は同じ。

  • 軸はブラさず(身体を前後に揺すったりせず)
  • 四肢を柔軟に使う(膝・肘を伸ばしきらない)
  • 体重を掛けるのではなく支点を抜く

術者の身体に優しいばかりか、触られる方にも心地良いものとして伝わります。数値は同じ圧力だとしても変わるものは変わる。未だに説明できませんので、これはばかりはぜひ一度実際に体験して欲しいと思います。

ベッドでの施術で腰を痛めないように

当たり前の身体の取説第一章。股関節・膝・足首をしっかり使って、骨盤から上がブレないように。これが基本でこれが全てと言って良いかも。

ベッドでの施術身体を痛める整体はこうなっている!

こんな風に、元々あまり動かない脊椎を動かしてしまうから痛くなるのです。無理な姿勢で触られたら不快な感じがしても当然です。

施術中の姿勢が崩れてしまう原因のひとつは、触っているところへ集中し過ぎてしまう事。ついつい覗きこむように視線が近づいて、頭がさがると同時に腰が引けてしまうのです。
重心近く、目線は遠く。頭の片隅置いておきましょう。

手力整体塾はとても小さな整体スクールで、自慢できることはほとんどありません。んがしかし、施術の姿勢を口を酸っぱくして注意する甲斐あって、施術で身体を痛めた卒業生は居ません。皆さん必要以上に痛みを怖がらなくなり、自分でコントロールも出来るようになってくれてます。これだけはちょっと自慢なのですございます。(ちょうど卒業生がそんなブログを書いてくれているのでシェアいたします

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