オリンピック、イチロー3000本、高校野球・・・・スポーツニュース山盛りの2016年夏。トップアスリートの動きや姿勢に感心するやら驚くやら。
整体を提供する際の指標となる動きと姿勢。電話やメールでお話を聴く場合は除き、実際にお会いする場合は問診よりも前に参考になる最初の指標になります。形式では問診⇒視診⇒動診ですが、まったく無意識な姿勢や動作は多くのヒントをくれるのです。
姿勢をみる=筋の長短をみる
言葉が通じない犬にも提供できる手力整体は、姿勢と動作を穴が空くほど観察する事にこだわっています。“本当のコリ”を絞り込むためです。
猫背とか骨盤前傾・後傾とかO脚とかボヤッとした言葉で姿勢をとらえても上手くない。ベーシックな筋骨格系の参考書には、「××筋の作用は猫背です」とか「××筋の作用は骨盤の前傾」とは掲載されていないからです。
世の中には親切な方がいて「骨盤前傾は××筋の所為」とか公表してくれている人もいますが、何の疑いも持たずに鵜呑みにしていたらいつまでたっても整体は面白くなりません。答えを知ることじゃなく解決策を自分で見つける所に面白さがありますからね。(もし単に施術という行為が好きなら、独立しない方が楽しめると思います。)
歪みと呼ばれるものを含む姿勢(静止している状態)が表すものは関節の動作です。そして関節を動かすのは筋肉です。「骨盤前傾」が見て取れたところで“骨盤”という関節はありませんから、そこを動かしている筋肉を探しだせません。骨盤に前傾を生じさせているのは何処の関節なのか、その関節がどう動いているのかを正確な言葉に置き換える。すると筋骨格系の参考書が使えるようになって、縮んでいる筋・伸びている筋がすぐに見つかります。
「骨盤が開いている」という表現もセラピストさん達が良く使いますが、骨盤を開く・閉じるという動きは機能解剖上存在しませんし、無論その動きの為の筋肉もありません。
骨盤の動きはもとより猫背は何処の関節の何という動きか、O脚は?X脚は?参考書に載っている標準語に置き換えてみて下さい。
動作をみる=筋の柔軟性をみる
動診でも歩行観察でも、動作に現れやすいのは伸びにくくなっている筋肉です。まれに縮まりにくく(潰れにくく)なっている筋が動作を制限することもありますが、柔軟性を見ている点は一緒です。
姿勢同様「股関節の動きが悪い」とか「歩行時の横揺れが激しい」とか「膝を立て寝ると楽」などなど曖昧な言葉では使いもにならず、やっぱり各関節の動作を標準語に置き換えることが何よりも大切な行程になります。
股関節のどっち方向の動きが悪いのか。どこが動かずどこが動きて横揺れが生じているのか。膝を立てて寝るのは何処の関節なんという動作か。
当たり前過ぎてないがしろにされがちな事ですが、ここを省いていたらどんなにそれらしい事を言えても裏付けのない妄想でしかありません。
動作と筋肉をセットにして覚えるような勉強は応用が効かないのでダメ。姿勢も動作もその都度正確な関節の動作名に置き換えること。この一手間が整体をより面白いものに変えてくれます。
視診と動診は、本当のコリを探しだすためにそれぞれ別の要素を見ているわけです。その後に続く施術(触診)を最大限に活かす為でもあります。
『試してみてから考える』発想も時には必要ですけれど、視診・動診・触診と、自分の見立てが次々当たっていく面白さを味わって欲しいと思います。「触ってみたら固かった」というだけでは、ほぐすして良い理由にはならないのです。そこのところ、犬の人達もこころして下さい。
過程、プロセス、段階。そういった目には見えない“あいだ”こそが本当に大切なもの。色即是空ですからね!
お盆休み中とあってとても久しぶりに男同士のマンツーマンになった教室で、ちょっと濃いい話しをしてみた次第です。
ところでイチロー選手。3000本安打達成の会見が色々興味深いのでシェアしておきます。
ちなみに、イチロー選手がルーチンにしているバッターボックスでの動きには、丹田再生レストアストレッチの秘密も隠れています。