学校の夏休みがようやく終わって、ママさん達が整体塾に帰ってきました。
期間中は施術の練習も解剖の勉強も思うように出来なくなるようで、お母さんというのは本当に大変だなぁと、家族を持たない出来損ないの伊藤などは感心するしかありません。是非とも2、3年の間だけでも集中をして、家族の側で時間を自由に使える働き方を叶えて欲しいと思います。
そんな久しぶり参加の塾生から腱鞘炎の話が出たのでみんなで考えました。
腱の鞘(さや)と書く腱鞘はその名の通り腱(筋肉のはじっこ)が収まるところ。
腱がズレたり飛び出したりしないようにトンネル形状で導くと共に、テコの支点として働いているのが腱鞘です。良く聞く『腱鞘炎』は、何らかの原因で腱が太くなるか腱鞘が狭くなるかして、腱と腱鞘が擦れて炎症が起きている状態を指します。“炎症”というからには自発痛・安静時痛があるはずですが、実際に良く目にする腱鞘炎と言われるものは動作痛。炎症が起きている事は稀だと思います。
腱の一部が腫れると腱鞘を通り越す際にに引っかかり、指が跳ね上がるような動きになる『バネ指』と呼ばれる症状が出ます。バネ指の状態で動かし続ければ本当の腱鞘炎が起ると思いますが、それ以外の多くは単なる筋肉痛なんじゃないでしょうか。
ぎっくり腰や寝違えなども同様、炎症が起きていたら自発痛があります。動作や姿勢に関係なくズキズキ痛む。お風呂で温まると痛みが増す。これが炎症のサインです。そんな時はRICE処置が今のところ絶対ですが、この処置が必要な期間は思いのほか短いので注意が必要。動作痛しかないのにサポーターなどで固定してしまうのは治りを遅くするだけです。
どんなケガでも病気でも、回復期には栄養たっぷり酸素たっぷりの新鮮な血液が不可欠ですからね。
腱鞘炎の病理は程々に。『痛みとは何か』が骨の髄まで染み込んでいて、『何故ソコが痛むか』という考え方も習得できていれば、一見難しそうな症状でも悩む必要はありません。
- 痛むのは偏った負担(ストレス)が特定の筋肉に掛かって酸欠を起こしているから
- 偏った負担が掛かるのは隠れたコリ(トリガーポイント)の所為で怠けているところがあるから
痛みを症状別にアレコレ分けて考えるのがナンセンスなのです。痒みが痒みなのと同様痛みは痛み。生理はひとつしかありません。
隠れたコリを取り負担を分散させる事。私達に出来る事はそれだけです。腱鞘炎の病理よりもこの辺の筋肉をしっかり把握しておきましょう。
- トリガーポイントの所為で使いにくくなっている筋肉がある
- お蔭で偏った負担を背負わされてる筋肉がパンプアップする
- 結果、腱鞘に擦れる
腱鞘炎といわれるものの生理も、当たり前をひとつずつ繋いだら簡単ですね。