本格的に壊れている身体に触る機会が無い。
これは、小さな整体学校が抱える課題のひとつかも知れません。ただまぁ、どのみち身体は100人100様なので、実践で臨床を重ねるしか無いのが現実。さほど大きな問題とは思っていませんけれど。
痛み・歪みの百貨店!側湾、背部痛、膝痛、ハンマートゥ
『母の膝を一度診てくれませんか』
塾生のひとりからそんなメールが届きました。単純に伊藤の施術を提供するのではあまり面白くないので、授業参観とは名ばかりの検体(言葉が悪ですが)として教室へ同伴してきて頂きました。
まずは実際の施術とほとんど同じように問診。
近頃一番気になる痛みはいつ頃からはじまってどんな時が痛いのか、痛くないのか。その他に気になる身体の不調も、発症の次期や痛みの有無・頻度、お医者さんの診断、他に行っているケアや運動などなど、限りなく普通に会話をしながらお聴きしました。
問診の1番の目的は、整体施術を行っても良い常態かどうか、施術で望むような結果に近づけるかどうかを判断する事にあります。
ひとしきりお話した後に、立位での視診と動診、続いて仰臥位・伏臥位の動診と、
その検査が何故必要なのか、結果どうなっているのか解説しながら、『ココがこうならアッチがこう』という検査の理想と現実のギャップなども合わせ、施術(触診)への繋げ方・考え方をほとんど普段のペースで、つまり授業としては畳み掛けるように進めてみました。
もうこの段階で皆さんの頭から立ち上る湯気がチラチラ見えておりました。わははっ。
全てを何とかしようとしない
各種検査を踏まえて行なう施術は触診も兼ねます。視診・動診の答え合わせ的な側面もあるので、主要な部位の左右差や予想したコリの具合を全員で確かめながら、どれくらい攻めるとどれくらい変化が出るのかを実際に見ていただきました。
結果は皆さんが見たとおり。主訴の膝はもちろん、触らなかった背中の変化も見て取れたと思います。ご本人の感触も上々だったのではないでしょうか。良かった良かった。
『絶対成功する方法は分からないが、絶対失敗する方法なら知ってる。全ての人に好かれようとすることだ』by プラトン。
同様に、全ての愁訴を何とかしようとすれば、最終的に何も残りません。アレもコレも詰め込まない。ひとつ、一箇所で良いから驚いてもらうことが成功の秘訣です。
健康オタクの病院嫌い
元々身体を動かすことはお好きなようなので、問診~検査~施術からちゃんと繋がるセルフケアを提案できれば、まじめに遂行してくれると思います。ただ、『良い』と言われたものを取り入れて、結果が伴わなくても続けてしまう傾向がありそうなので、定期的に様子を見させていただく必要がありますね。
せっかく身体を動かすのが好きでも、自分に合わない運動や、間違った身体の使い方では逆効果、動けば動くほど痛みが増すばかりなんて事も起きます。
本来なら身体との会話をできるように、マインドにも踏み入っていくわけですけれど、70歳を過ぎた方や若くても頑固な方などはとっても難しいのが現実。腕だけでも認めてもらえればそれで充分かもしれません。残念ながら卒業はしてくれないかもしれないので、心中する覚悟でお付き合いしていきましょう。
気付く、正確な言葉に変換する(考える)、調べる、繋げる
お母様が帰られた後、問診・視診・動診・触診から気付いたことを各々書き出していいただきました。
何もかも気付きが無ければはじまりませんが、思いの外沢山気付けたようで一安心。ホワイトボードを埋め尽くしたことは賞賛に値します。
んが、本当の勉強はここから。気付いたことをまずは正確な言葉に置き換えなくてなりません。例えば、左の肩が下がっている=左肩甲骨下制。背中が丸まっている=肩甲骨外転。連動して動く関節も紐付けて、正しい言葉を繋いでいきます。この手間を省いて考えても根拠のない単なる妄想に過ぎませんからね。
身体と機能解剖系テキストを繋ぐ。それが整体師の役目。
××検査陽性で◯◯をする。そんな風に覚えてもダメ。覚えただけの施術では、プログラミングされたマッサージチェアもどきです。
機能解剖系テキストはいわば“肉体語”の辞書。身体が発する肉体語を訳す為の辞書を如何に使いこなすか。デキる整体師はツールの使い方が上手いのです。
難しい話をしているわけではありません。卒業生に聞いてもらえば『こんなにわかりやすい整体は無い』と皆口を揃えるはず。ただし、思考することから逃げているといつまでたっても苦しいと思います。
手力整体塾でお伝えしているのは、答えではなく勉強の仕方、考え方。
勉強とは考える事。教わることではないのです。
後半30分は焦点も定まらず脳みそシャットダウン気味だった塾生の皆さん。お疲れ様でした。近日更新されるであろう塾生レポが色んな意味で楽しみです(笑)。
手力整体塾では、家族やお友達の参加も基本歓迎。少人数制の小さな学校だからこそ出来る事を積極的に行い、デメリットをカバーしています。
熊本地震災害チャリティー。レストアストレッチトライアル
今度は熊本で震災。ご冥福ならびにお見舞い申し上げます。
いつ何処で何が起きてもおかしくないので、言葉だけじゃなく、とにかく出来ることをやっていきたいと思います。
ひとまず、相変わらず使い道の分からないTポイントと些少の気持ちを。
熊本地震災害緊急支援募金
そして、正直あまり集客できていないレストアストレッチですが、トライアルVol.0を暫くの間チャリティー講座として行なう所存です。次回はゴールデンウィーク、5/7(土)5/8(日)共に10:00から。熊本を応援しつつ丹田の再生。是非。