『医者の不養生』なんて言葉があります。
ことわざ辞典には『医者に限らず、専門家とされる者は、かえって逆のことをしがちである。』などと解説がついていますが、日本のお医者さんはとにかく忙しくて、養生がないがしろになりがちって事もあるように思います。

そもそも、医学というのは病気の研究であって健康の研究ではないので、お医者さんは治療のプロだけれど健康・養生のプロではないのです。
治療と養生は別々のものだから不養生だからってヤブ医者とは限りません。むしろ不養生だけれどいつもなんだか元気なお医者さんを信頼しますがね、ワタシなら。

お医者さんは治療のプロ。治療できないワタクシ達民間療法の人は健康とか元気の研究をしている養生のプロ。健康オタクみたいなひとがゴロゴロ居る世界です。正直言ってその手の人が苦手なワタクシ、釣りバカ整体師の健康ガイダンスでございます。

健康のための運動なんて続かなくてアタリ前!

人間は忘却のいきもの。
健康の有り難みをひしひしと感じるのなんて入院中とか実際に体を壊している時だけ。直ぐに忘れちゃうんだから健康のための運動なんか続かなくて当然です。(食生活など生活習慣含む)

断言しますが、運動自体を楽しむとか、何か楽しい事のついでに運動出来るようにならなければ続きません。
『先生は何か運動してるんですか』などとよく聞かれますが、わざわざしている運動は全く何もありません。健康産業に従事する者のハシクレとしてホント申し訳ないくらい。

ただし、竿を持ってたらとんでもなく歩きます。先日も外房から内房まで夜通しランガンしてきましたが、立ち寄った各漁港の端から端まで歩いて魚を探しました。某所の600mほどある堤防は3往復。全部合わせたら20km近く歩いていると思います。

釣りしながら歩きまくる

筋トレと健康の関係

先日こんなニュースが目に止まりました。『腹筋運動は時代遅れ、米軍が体力測定から除外へ』。いやはや、未だに腹筋してたこと驚きました。

上体を起こす、そういう動作を必要とする人はともかく、いわゆる腹筋運動なんか通常の生活ではクソの役にもたちません。あ、1番深層にある腹横筋は腹圧を高める(腹を凹ます)筋なのでウンコをひねり出す際に役立ちます。姿勢を維持するためにも重要な腹横筋ですが、上体を起こすような腹筋運動では強化できません。

腹筋とセットで良くおこなわれる腕立て伏せなんかも、『根性が付く』くらいのメリットしかありません。『ぶ厚い大胸筋を!』とか『太い上腕三頭筋を!』という目的があるなら止めはしませんが、これらの筋が日常の動作で活躍する場面はあんまりありません。

腹筋同様、腕立ても姿勢作りにはマイナス。強い筋に引っ張られて背中が丸まりやすくなります。だからバストアップしたい人にもマイナスです。

どうしても腹を割りたい!どうしても胸筋を厚くしたい!ならば、合わせてラットプルダウンなどの背筋側トレーニングを2倍くらいやらないとダメです。大変でしょ?筋トレ自体が楽しい人じゃなきゃまず無理です。

『筋トレして体温が上がると健康になる』というのにも、裏面が有ることを知っておきましょうね。

健康が目的の運動は日常の動作+αで

特殊な仕事をしている人を除いて、日常の動作がスムーズにできればそれで良いんじゃないかと思うのですがどうでしょう。だから健康のための運動というのは日常の動作に近いものが正解。
立ち上がる、しゃがむ、歩く、手で掴む、姿勢を維持する。
晩年まで元気にでんぐり返ししていた森光子さんがスクワットをしていたのは有名な話ですが、つまりそういうことです。

  • 足・脚を動かす
  • 手・腕を動かす
  • 姿勢を維持する

それだけ。
腹筋が出来なくてつまづくわけじゃありませんし、腕立てが出来なくて手がしびれるわけでもありませんからね。

動かせる(使える)かどうかが問題。筋力は問題じゃありません

無いなりに動かせればそれで良い。
筋肉は動かさないと動かなくなっていきます。脳から司令の出し方すらもわからなくなります。動かせない、使えない筋があるから姿勢も崩れたまま戻れない(つまり歪む)。数少ない筋で同じことをやれば早く痛みが出るのは当然の成り行きです。

施術をしていて厄介だなと感じるのは、過去にバリバリスポーツをして筋肉を付けた人がピタっと運動をやめてそのまま固くなっている場合。筋肉なんて無きゃない方が良いようにさえ思います。
実際に子供は筋力が無くても綺麗に立ちますし動きもパワフルです。痛みも出ません。

子供は筋力がなくても綺麗に立つしパワフルに動きます

強いとか弱いとかはまったく関係無い。使えるかどうか、動かせるかどうかの問題です。

日常をエクササイズにすれば不養生だけど健康に

身体中すべての筋をいつまでも満遍なく使えるように、立ち上がる、しゃがむ、歩く、両手を使う、姿勢を維持する。そういった日常の動作にほんの少しだけ変化を付けるのがキモです。“いつも同じ”では動かない筋がでてきますからね。

姿勢維持の筋を使えるようにしておくのは、ブランクのポーズとして紹介されているスタビライゼーションがおすすめです。

スタビライゼーション

固定の筋、維持の筋を狙うのでトレーニングも固定・維持が◎。もしくは出来る限り負荷を掛けない動作でおこないます。主にインナーマッスルの働きなので継続しても見た目の変化は少なく頑張っている感も乏しいですが、アウタームキムキさんほど出来ない人が多いです。

ちょっといつもと違う姿勢で立ってみる

片足で立つとかちょっといつもと違う姿勢で座ったり立ったりするだけでも効果的。
健康のためにわざわざやらない。必要なのは『いつも同じじゃつまらない』という遊び心だけです。

もうちょっと手応えのあるトレーニングがどうしてもしたい人はスクワットでもどうぞ。正しいやり方はここ↓

とにかく、全身400の骨格筋をくまなくトレーニング出来ないなら筋トレなんかしなくて良い。そう思う次第です。

健康情報に振り回されるより、自分がいつもどうしているかまず気づくこと。気づいたら少し変えること。健康のためにわざわざアレコレやってもどうせ続かないんだから(笑)身体の事を忘れるくらい楽しめる事、ついでに運動できちゃう面白いことを見付けましょう。健康を考えなくなったら一人前!不養生でも元気な整体師を目指すのだ。

このへんのエントリも参考になれば幸いです。

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書いている人

パンチ伊藤
あっとう言う間に整体師歴19年。現役で施術する傍ら小さな整体塾を主宰しています。当たり前な解剖生理と簡単な物理を繋いだわかりやすい身体の話が得意。釣り/山/島/音楽/映画/生きもの/が好き。2020年から自然農の畑やってます。

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