ウォーキングの効果を劇的に上げるたったひとつのこと

手力整体塾@からだ応援団のパンチ伊藤です。
座っている時間が世界一長いと言われている日本人。
座れば座るほど様々な傷病の発症リスクが上がると知っていざ歩いてみたら、膝やら腰やら痛くなるし体重は一向に減らないし・・・「歩いても何も変わらん」って人は案外多いのではないでしょうか。
折角歩くならひとつだけ注意してみてください。大抵のことは歩けば治りますよ!

ウォーキングの効果を劇的に上げるたったひとつのこと【蹠行理論】

股関節伸展が人間の証明

歩行とは重心の移動です。
人間以外の哺乳類は重心が肩甲骨付近にあるので、接地している前足を抜きさえすれば重力に動かされ歩くことが出来ます。
後ろ脚は早く走る際や方向を変える際に重要ですが、歩くだけならほとんど前脚だけで無問題です。

完全二足直立を選んだワタシ達人間の重心は土踏まずのほぼ真上にあります。支点の真上に重心があるままでは移動できないので行きたい方向へ重心をずらす必要があります。
直立を選んだことで私達の股関節は哺乳類で唯一、脊椎のラインを超えた伸展可動域を持つことなったわけです。

股関節伸展は人間の証明

股関節を伸展させて重心を押し出しながら歩く。そのための殿筋群もたっぷり備わっています。馬でも犬でもマウンテンゴリラでも殿筋はペラペラ。どんな動物よりも殿筋群の比率高いのが人間なのです。

しかも我々の股関節は前後だけじゃなく横方向にも捻りにも対応して哺乳類随一の可動域を誇ります。物凄く沢山のパワフルな筋肉が股関節を跨いでいるのです。(股関節の標準可動域と関連筋一覧はココ↓)

股関節の可動域(ROM)と作用する筋肉の一覧 | 手力整体塾

股関節【屈曲・伸展】の平常可動域と作用する筋肉屈曲 90度(A膝伸展時)130度 B縮む筋腸腰筋、大腿筋膜張筋、恥骨筋、長内転筋、短内転筋、薄筋、大腿直筋、縫工筋…

頑張って歩いてるのに痩せない

太る or 痩せる仕組みは、皆さんご存知のようにひとつしかありません。
摂取カロリーが消費カロリーより多ければ太るし消費カロリーが上回れば痩せます。それだけです。
食べた以上に代謝すれば痩せていくはずですが、沢山歩いているのに全然痩せない場合は『楽』な歩き方が身についちゃっているのかもしれません。

肉体的な疲れは代謝のバロメーターでもあるので、歩くことにすっかり慣れて全然疲れなかったり、『楽に歩ける』を謳い文句にしているウォーキングシューズで楽して歩いていたりしたらそりゃ痩せません。楽になった分代謝は落ちてますからね。

膝下歩き

股関節をほとんど動かさず膝と足首でも歩くことは出来ます。使う筋肉が少ないので疲労は軽減されますが当然痩せにくい歩き方ってことになります。歩いたらフクラハギだけパンパンになるとか下腿の外側がやけにモリモリしているようだったら、こんな↑歩き方になっている可能性が高いです。

より大きな筋肉をできるだけ沢山使ってしっかり疲れる歩き方に修正しましょう。

股関節を伸展して歩けば体幹の筋肉が使われます

大きな筋肉は体幹部分にあります。
股関節をしっかり伸展して歩けば殿筋群が使われるのはもちろん、引き伸ばされた腸腰筋も効果的に使えます。上半身もつられて動くので文字通り全身運動になるのが理想の歩行です。

歩行による全身運動

『歩く』という行為にどれだけ沢山の大きな筋肉を動員できるかどうか。距離や時間よりも『股関節伸展』を心がけて短い距離でもしっかり疲れますように。

歩くと腰や膝が痛くなる

『歩く』という行為をより数少ない筋肉で行えば痛みが出やすいのは当然です。いつも決まったところが痛くなるようならその筋肉に頼りすぎている証拠。痛いところは悪いところじゃなく、人一倍頑張っているところです。

ちょっと痛くなったところで止めずに、もう少しだけ歩いてみると怠けていた筋肉が動き出す場合があります。出来れば山道のように登ったり下ったり、前にも後ろにも横にも歩ける変化に富んだところがいいです。

平らな道をただ真っ直ぐに歩いているだけだと、使う筋肉が限られてきます。身体は賢いのでどんどん慣れてしまう。「代謝を下げたい」という本能が働いてしまうのです。

山道なら脚が慣れない

山道のように変化に富んだところだと、使い慣れた筋肉から慣れてない筋肉へ、歩くごとに痛くなるところが代わっていきます。わざわざ工夫をしなくても体中の筋肉を使えるのがお山の凄いところです。

お山へ分け入る機会がない方は、まず「拇指(足の親指)で地面を蹴る」という情報を忘れましょう。この情報の所為で足首や膝が余計に動いている場合が多く、お陰で股関節の伸展が疎かになっている人が多いように思います。

正しいスクワットがそうであるようにカカトで地面を押すのが大事

地面を押すのは踵

筋肉が理想的な連動をして特定の部位が痛みにくくなります。カカトで地面を力強く押せばあとはアキレス腱が勝手にやってくれるので、「拇指(足の親指)で地面を蹴る」は頭から消し去ってください。

坂道でなければ、不安定さを利用して割と勝手に歩けるのが二足直立の特権。
足首や膝をわざわざ曲げて地面を蹴らなくても、極力脱力して歩けば踵は地面を押すし股関節は勝手に伸展します。あっちをこうして、こっちをあーしてなど考えて出来ることではありませんので、踵か股関節かどっちかひとつだけ感じて歩きましょう。

最初は慣れない筋肉にちょっと痛みが出るかもしれませんが、膝や腰は痛みが出にくくなるはずです。

股関節を伸展させて歩くためのケア

まずは簡単なテスト。
仰向けに寝て膝を立て、お尻を高く上げてみてください。
苦もなく高く上げられたら合格!あなたの股関節は人間だけの特権を未だ持ち合わせています。

股関節伸展チェック

上げるのが大変だったりモモ裏が攣ったりしたら、あなたの股関節は人のモノでは無くなってきています。早急に動きの修正が必要です。

股関節をしっかり伸展させて歩くために出来るだけ最後まで踵で地面を押す。そのためには必要な要素は・・・

  • 足関節背屈可動域の確保(柔らかい足首)
  • 柔軟かつパワフルな股関節伸筋群
  • 柔軟な股関節屈筋群
  • 程よく前傾した骨盤

など。

踵を最後まで接地して歩くとなると結構な背屈可動域、つまり俗に言う柔らかい足首と、同時に股関節伸展の可動域も必要。割とよく見るこの↓ストレッチで一網打尽。

蹠行の為のストレッチ

【足首の背屈を阻む筋】
下腿三頭筋(腓腹筋・ヒラメ筋)、長腓骨筋、短腓骨筋、長母趾屈筋、長趾屈筋、後脛骨筋

【股関節の伸展を阻む筋】
腸腰筋、大腿筋膜張筋、恥骨筋、長内転筋、短内転筋、薄筋、大腿直筋、縫工筋

これらの筋肉をストレッチして、足首の背屈可動域20度、股関節の伸展可動域も20度を目指しましょう。ストレッチは反動をつけずゆっくり時間を掛けて(60秒ほど)ジワーと伸ばすのが肝心です。

ちなみに、つま先が少しでも内側を向くと、足首も股関節も伸展の可動域が大幅に減ります。いわゆる内股だとヘンテコな歩き方しかできないので太りやすいし痛めやすいし良いことありません

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踵で地面を押しつつ股関節を伸展させて歩いていれば、足首も股関節も勝手に伸展可動域が広がって柔軟になってきます。沢山歩いたなーと言う時は、逆に殿筋のストレッチをしてケアしておきましょう。

股関節をしっかり伸展させないと・・・・

脊椎の軸よりも股関節を伸展できるのは人間だけですが、股関節の作り自体は伸展しやすくはなっていません。

骨盤側の受け皿(寛骨臼)は少し前向きだし、関節を繋ぐ靭帯は直立している時に捻れています。だから屈曲方向へは130度も動くのに、伸展方向へは20度ほどしか動けない。放っておいたら伸展できなくなる構造なのです。


人間だけに与えられた特権を確保しておきたいなら、股関節を伸展させてしっかり歩きなさいってことですね。

人間の特権を失うってことは二足直立歩行が困難になって前脚が必要になるってこと。全然歩かない現代人の行く末が心配です。
哺乳網霊長目ヒト科ヒト属。人が人である為の【股関節伸展】。オラウータンの動作をしてたらオラウータンになっちゃいますよ!

まとめ

折角歩くなら、人間だけに与えられている特権【股関節伸展】を維持するために、つま先で地面を蹴らずに出来るだけ最後まで踵で地面を押して股関節を伸展させながら歩きましょう。

脚は前に出すのではなく後ろに残す。股関節の伸展可動域は20度ほどなので歩幅は広くなりません。1歩1歩は狭くていいので丁寧に歩くことを心掛けましょう。日常あまり歩かない人は前述のストレッチを念入りに。地味だけどこういうやつ↓がめちゃ効果的です。オラウータンになりたくない人は洗面所などにおいて朝晩の歯磨き中に乗ることをオススメします。

歩き方に関する質問がありましたら是非コメントお寄せください!

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