『腹圧について自分でも調べてみたらよくわからなくなった』
腹圧(正しくは腹腔内圧)に関するエントリーを読んだ塾生から質問が出たので、みんなで考えました。
『腹圧』で検索をかけると、腹圧を高めて腰痛改善!腹圧が低いのはイケナイ事!みたいな一方通行の話が目につきます。まるっと鵜呑みにしなかったのは流石我が塾生。誉めてつかわす。
この国はどうにも一方的に悪者を作って吊るしあげる癖があっていけません。
何事も過ぎたるは及ばざるが如し。全ての物事にメリット・デメリットの二面性があることを忘れないようにしましょう。なにもかも時と場合によるのです。
腹圧が高くて良い事悪いこと
ちょっとした動作でのぎっくり腰、クシャミや排便でのぎっくり腰は、慢性的に腹圧が高すぎる人の方が間違いなく多いです。
横隔膜が凝り固まって腹腔の内圧がパンパン。例えるなら腹いっぱい食べた時と似たような状態なので、前かがみ等、腹を潰す動作がきつくなるのは容易に想像出来ると思います。クシャミや排便も前かがみ同様輪をかけて腹圧を高めますから、逃げ場のない圧が腰へ集中して簡単に壊れるわけです。(クシャミ、咳、大爆笑などで尿もれするのも同じ理由)
ただし、腹がパンパンで前かがみになれない状態は、空気パンパンのボールを腹に抱えているようなものなわけで、上体が潰れること無く姿勢を維持できるというメリットが有ります。
が!この状態を『腹圧が高い=体幹ができている』とするのはあまりにも単純過ぎです。
腹圧が低くて良い事悪いこと
腹回りがフニャフニャなので姿勢を維持することが難しく、立ちっぱなしや座りっぱなしは大の苦手。すぐに腰が痛くなります。
んが、それはつまり腰椎の動きは良いということでもあります。
ただまぁそもそも大して動くところではないので、特別な柔軟性を必要とする人以外、動き過ぎは壊れやすさに繋がります。
そんなわけでやっぱり低すぎる腹圧はちょっと厄介。ただワタクシの拙い経験だと、腹圧が低すぎる人はあまり多く居ないように思います。
必要に応じて調整できるのが理想
腹圧は、横隔膜、腹横筋、腸腰筋、骨盤底筋群の四方向で調整されます。
この内、最も大きく関与するのは最も大きく動かせる横隔膜です。横隔膜を貫く腸腰筋(大腰筋)が異常収縮するぎっくり腰では、腸腰筋につられて横隔膜が引き下がるのでお腹がパンパンになります。
腹筋群や骨盤底筋群が凝り固まっているような人はお目にかかったことがないので、大半の人の腹圧は横隔膜と腸腰筋のコリ具合で決まっているように思います。
腹圧異常で最も多いのは、
横隔膜がカチカチで腹腔内圧が慢性的に高すぎる
です。
腹圧は季節や天気、時間帯などによっても勝手に変化しています。まずは自分の腹圧を感じることが最も大切。
そしてたまには、腹をめいっぱい凹まして全部の息を吐き出し、横隔膜を押し上げて(ストレッチして)おきましょう。
腹圧が高い人は息にしにくさを感じてる場合が多いと思いますが、息が吸えないのは吐いてないからなのです。全部吐けば勝手に据えますよ!
まとめ
ただ単に高い腹圧が良いわけじゃなく、腹圧も時と場合に合わせて調節できる事が大切です。
- 腰椎を余計に動かさないためにはちょっと高めの腹圧が◯
- 腹圧は横隔膜と腹横筋で自由に調整できるのが◯
全身の筋肉はもちろん、お腹も頭もアレもコレも、柔らかすぎたり固すぎたり偏ったら上手くないのです。偏向的な情報はバンバン揚げ足取っていきましょう。
ちなみに、腹圧高めで体幹をブラさずに動きたい場合は、柔軟かつパワフルな股関節と肩が必要不可欠。腹横筋をはじめとするブレない体幹のためのインナーマッスルと、パワフルかつ柔軟な股・肩関節を同時に作るのがスタビライゼーションです。
上げている腕や脚が注目されがちですが、実は支えている側が狙い。バランスディスクの上でやってみれば本当の狙いは一目瞭然です。
整体師ならきちんと実践して、還元できるようにしておきましょう。