整体師・セラピストの常套句に『バランス』という言葉がありますが、果たしてクライアントさんの何のバランスが崩れているのか?そもそも自分が揃えられるのは何のバランスなのか?把握している整体師さんはどれくらいいるのでしょうか。
バランス(balance)とは、ラテン語の「bilanc」という単語が語源になっており、これは「二つのお皿」「天秤」を意味する。
現在の英単語として「balance」と言えば「天秤」「釣り合い」「均衡」「平静」「安静」「安定」なども意味する。ニコニコ大百科 http://dic.nicovideo.jp/a/%E3%83%90%E3%83%A9%E3%83%B3%E3%82%B9
天秤、やじろべえ、シーソー。バランスと聞いてパッと思いつくのはそんなところでしょうか。簡単なイラストにするとこんな感じです。
決して固定された状態ではなく、安定しつつもちょっとした事で揺らぐことが出来る不安定さを持ち合わせているのがバランスの条件です。耐震構造のように固定してしまうと、想定外が生じた時に儚く壊れるしかありませんからね。
大原則、一対である
肉体、心、食事、思考、行動・・・・などなど、至る所で「バランス」を目や耳にしますけれど、この言葉を口にする時には『アッチとコッチが必ず一対で存在してバランスする』ということを把握しておかなくては意味がありません。
前⇔後
上⇔下
左⇔右
内⇔外
理性⇔野生
本能⇔煩悩
交感神経⇔副交感神経
収縮⇔弛緩
屈筋群⇔伸筋群
運動⇔安静
内力⇔外力
立つ⇔座る
開く⇔閉じる
吸う⇔吐く
生理と心理
摂取⇔消費
睡眠⇔活動
興奮⇔鎮静
早い⇔遅い
短縮⇔伸張
インプット⇔アウトプット
収入⇔支出
晴れ⇔雨
カルシウム⇔マグネシウム
カリウム⇔ナトリウム
乾燥⇔湿潤
甘い⇔辛い
押す⇔引く
濃い⇔薄い
規則⇔不規則
日常⇔非日常
喋る⇔聞く
ドーパミン⇔セロトニン
主観⇔客観
自由⇔規則
義務⇔権利
好き⇔嫌い
と、まぁ書き出したらきりがありませんが、アッチとコッチが一対でどちらか一方では機能しないどころか毒になる。だから『バランスが大事』なわけです。
クライアントのアンバランスはどこに生じているのか、自分の施術やサービスでどのバランスアップを手助けできるのか、手探りしながら把握できるようにしていきましょう。
バランスは足し算で揃えたい
炭水化物をたくさん食べてお腹がいっぱいになったら当然肉や野菜は少なくなります。
器を大きくして総量を変えられない場合は、どちらかが大きく・多く・強くなったら、当然もう片方は小さく・少なく・弱くなるわけです。
力任せにバランスを揃えようとすれば炭水化物(A)を減らすしか無いので、痩せるには都合いいかもしれませんが、なんだか貧相な感じになってしまいます。
支出(A)と収入(B)で考えた場合も、支出を抑えてバランスを取るばかりではいつまでたっても総量は増えずに寂しくなります。バランスは基本的にプラスの発想で揃えていった方がハッピーなわけです。
んが!『コリを取る』『痛みを取る』という言葉の通り、大抵の施術は引き算でバランスを揃えています。施術だけで完結してしまう整体を続けていると寂しく貧相に弱っていくのが事実です。
だから手力整体では抵抗運動での締め直しやセルフケアでのスタビライゼーションなど、プラス要因の提供を心掛けます。
パッシブケアとアクティブケ。これもバランスですね。
興味のバランス
整体を学びだしたら整体に興味を持つのは当たり前ですが、整体“だけ”に興味をもつのはちょっと勿体無いなぁと思います。【○○だけ】【○○しか】という状況では偏りが生じます。偏りこそがTHEストレスなのです。
釣りバカを名乗っていても釣りだけしてたら本当に只のバカです。バカを名乗れるくらいやり込むのは大切だけれどアンバランスは心身に毒。
ひとつのモノ・コトに執着するよりも様々なことに興味を持った方がバランスを取りやすく、しかも少しだけ早く本質へ近づけるように思います。
釣り、整体、自己啓発、子育て、自然農、マーケティング・・・・・対象が生きものだから本質はほとんど同じです。繋がってくると一気に加速しますよ!
偏った興味は依存にもなります。万が一の時のためにリスク分散するように、失った時、出来なくなった時のために興味も分散しておきましょう。
子育て中のお母さんや愛犬家の方は難しいのかもしれませんけれど、依存するほど集中した興味はちょっと危険だなぁと思います。
バランスはアッチとコッチ一対で成り立ちますが、要素が多ければ多いほどちょっとやそっとでは崩れにくくなります。偏らず、規則正しくならず、好き嫌いせず、適当に何でも食べて何でもやってみる。これだけ書いて結局最後はそんなオチです。すみません。
『体のバランスを整えます』みたいなバクっとしたこと言わないようにしましょうね!