今月の4日間集中が終わりました。
日曜日は先月につづきスタート講座。病院で臨床を重ねている若き作業療法士さんが手力の門下生となってくださいました。
ボディーワーカーとしての心構えから、安全対策、やるべき事などをまとめてお伝え。コリとは痛みとはといった、卒業まできっと何度も出てくるワードについても最初に触れるスタート講座。今回はちょっとワタクシが出しゃばり過ぎたかもしれません。すみません。
いわるゆる整体師と違って、怪我や手術後の回復をお手伝いする事が大半を占めるであろう療法士さん。へなちょこ整体師のワタクシが経験していない臨床もお持ちのようですから、こちらとしても今後が楽しみで仕方ありません。
痛みと器質的変性と運動機能障害の関係
ヘルニアや変形性膝関節症、後縦靭帯骨化症などに話が及んだ際に、少し混乱したようだったのでここでまとめておきます。
痛み
痛みそのものを病気として盛んに研究が行われている欧米と違い、『50年遅れている』といわれる日本の痛み医療のおかげ?所為?で、私達療法家が一番多く応対するのはやっぱり痛みだと思います。
『身体の痛みと心の痛みを感じる(処理する)脳の部位はほとんど同じ』と科学的に証明されたのもつい数年前のこと。まだまだわからない事の多い分野です。
科学的根拠はさておき、当たり前に考えたら痛みは危険を知らせる身体からのサイン。肉体的にしろ精神的にしろ、危険が迫っている事を知らせてくれるとても大切な感覚であることは間違いありません。
器質的変性
レントゲンなどの画像に映る、解剖学的に正常ではない変形のこと。
禁忌対象疾患として上げられているものをはじめ、変形性膝関節症や骨折などもしかり。
運動機能障害
正座ができない、関節が伸びない、前屈できないなどの関節可動域の制限から、脳や神経の欠陥から起こる運動障害まで様々。
因果関係はあってもイコールではない
複雑に絡み合うこれらの状態が、きちんと整理されていないことが『50年遅れている』と言われる所以なのではないでしょうか。
- ヘルニア(器質的変性)があっても腰痛(痛み)の無い人はいる
- 腰が曲がっていても(器質的変性)腰痛(痛み)の無いおばあちゃんはいる
- 正座出来なくても(運動機能障害)膝痛(痛み)の無いお年寄りはいる
- 運動機能的に何ら問題なくても痛い人がいる
- 器質的に問題なくても(画像に何も映らなくても)痛い人がいる
整形外科はその名の通り器質的変性を治すところ。骨折で言えば折れた骨を治すところですが、骨折に伴う痛みと機能回復をそれぞれ治療する専門医は残念ながら無いに等しいのが現状です。
そこに私達の存在意義がある。言葉と手を用いて、闇雲に痛みを取るのではなく何に対する危険サインなのかを紐解いていく。痛みが発生する肉体的なメカニズムだけにとどまらず、痛みとは、コリとは、健康とは・・・など常に考えながら、現状を踏まえた最良の解決策を模索し続ける。
ひとつはっきりしている事。
痛みを取ったり、器質的変性を手術で治したりするのは、現象にすぎないということ。既に絶滅したトキを繁殖させて放鳥するようなものだという事です。
餌場や棲み家などの環境を底辺から見つめ、絶滅した要因を改善していかなければ、いくら放鳥したところ根付きはしません。どんなにあがいても、多様なものが巡り循環しているシステムの一部に生かされていますからね。
なぜ?を考えること。それがボク等療法家の使命。
痛みを感じるよりも先に、身体に氣を配り偏りを感じられる心身統一した自然体へ。必要なのは疾患別の治療法ではなく、“健康”というたったひとつの目的へ向かう手段なのです。
それにしても近頃、教室の写真を撮り忘れ続けているロクデナシのパンチ伊藤であります。すみません。教室の雰囲気はともかく、伊藤の雰囲気ならこの辺の動画で伝わると思います。