長時間のデスクワークで1日中座りっぱなしという場合を除けば、1日の内で1番長い姿勢は“寝相”かもしれません。寝ている時の姿勢は、身体に、つまり人生に多大な影響を与えるので真面目に考える必要があります。
そんなわけで、立ち方よりも大切な寝方についてまとめました。
高価なマットレスは必要か?
高価なマットレスなどの宣伝文句で良く見かけるのが、脊柱の生理的湾曲をキープしたまま眠れるというもの。
確かに人間の脊椎は横から見るとカーブしています。
この“生理的湾曲”は他の哺乳類には見られない二足直立の為の構造。言い換えれば二足で立ったがゆえに生まれたものです。つまり立つ時に必要なもので寝る時には要りません。
って、大体立った時と寝た時では重力の掛かる方向が90度違いますから。
重力に押され(引かれ)てカーブが無くなるのが正解。
立ってる時・座っている時の癖を寝ることで折角リセットできるのに、寝てまで湾曲を維持するなんてナンセンスです。
お尻のあたりが一番重たいので、ベッドのマットレスなどはそのあたりからヘタってきます。お尻が沈みだしたら買い替えのサイン。生理的湾曲に合わせて沈むのではなく、沈みそうなところはむしろ固くなっている方が良いと思うんですけれどね。
寝相の基本は仰向け
当たり前ですが基本は仰向けです。
腹式呼吸になる寝方
多くの人は仰向けで寝れば勝手に腹式呼吸になります。寝いている間も基礎代謝があるので隅々に酸素を行き渡らせるために呼吸は凄く大切なのです。
寝ている間の動きやすさ
通常は寝ている間にも頭蓋から仙骨まで呼吸に合わせて動きますが、低反発素材だとマットレスが動きを吸収してしまい頭~仙骨までの背骨が動きません。訪問先でたまにテン◯ュールのマットを敷いている人がいるので確認済み。動かない=寝ている間の血行不良が深刻になるってことです。
姿勢のリセットができる
大草原に寝転がって大の字になる・・・・のは決まって仰向けです。うつ伏せで伸びをしたり大の字になったりする人はいません。重力に対して本能的な反射(脳の指令を待たない動き)が生じるからです。
仰向けに寝転がると、伸筋群が優位に働き関節という関節が伸びやすくなります。うつ伏せに寝ると逆に、屈筋群が優位になって関節という関節が曲がりやすくなります。横向きだと尚更です。
言い換えれば、既に屈筋群にコリが溜まっていると仰向けで寝られなくなって、うつ伏せ~横向きと寝相が変換していくということです。
例えば・・・
上腕二頭筋に凝りが生じてくると、仰向けで寝た時無意識に腕をお腹に乗せるようになります。そのまま進行すると、もっと肘を曲げやすいうつ伏せや横向きへと寝相が変わってきます。
うつ伏せに寝ていれば首から背中にかけて背骨は捻れていきますし、横向きに寝ていれば下になっている肩や股関節が壊れていきます。当然呼吸もままならない。何処かでリセットしない限りこの悪循環は止まらないのです。
寝ている間の血行をいかに良くするか
酸素いっぱいの新鮮な血液が体中を循環しているか。結局コレが健康・元気の基礎です。
良い呼吸のためにも、筋肉の長短をリセットするためにも基本は仰向け。固めのマットレスで適度に寝返りを打つことが大切です。
気絶するまで遊んで寝たら治る。そんな子供の寝方が理想。
どうしても、決まった姿勢でしか眠れないという人、そもそも眠れないなんて人は尚更、気絶するように眠れるくらいクタクタに疲れてみてはどうでしょう。
これからの季節はお風呂でしっかり温まって湯冷めしないうちに、体温が下がっていくのと同時に眠りにつきましょう。
少し前に某テレビ番組で『疲れを解消する寝相は横向き!』なんてのがあったようですが、イビキをかくからって寝相を合わせていたら本末転倒。横向きで寝ていたら身体はドンドン弱ります。まずイビキを治すべし。
腰が痛いから横向きとか、枕がどんどん高くなっているのとかも同様、身体の言いなりになるのをやめて悪循環を解消しましょう。キッカケとしての施術なら手力整体塾の卒業生が頼りになると思います。
せめてこの2箇所をゆっくりたっぷりストレッチしてから寝てみて下さい。少しは仰向けで寝やすくなるはずです。
寝相や寝具を身体に合わせるのではなく、どんな状況にも対応できる自由自在な身体を手に入れてほしいと願います。
睡眠時間が極端に短い人は8×3で考えてみましょう。
8時間は誰かのために(仕事)、8時間は自分のために、8時間は睡眠。これ師匠の教えなのです。んが、平均労働時間4時間のワタクシは一体全体何に時間を使っているでしょうか(笑)謎です!