手力整体塾@からだ応援団のパンチ伊藤です。
先日の教室で新入生から鋭い質問がでました。
教室でもみんなで考えましたがここでもまとめておきます。ある意味施術の極意大公開です。

施術の強さはどう決めるのか

強い刺激に慣れてしまってどんどん強さを求めるようになると聞く。揉み返しの危険も含めて圧の強さはどう決めたら良いのか

手力整体塾に入塾したばかりの新入生から素晴らしい質問がでました。
教室ではまずみんなの意見を吸い上げます。色んな意見があったほうが面白いし、教わることよりも自分の脳みそ使うことのほうが勉強になりますからね。

この手の疑問を検索にかけても検索結果に表示されるのはあくまでも個人の意見で答えではありません。それを踏まえたうえで検索してみるのも面白いですけれど。

強いのはダメ

「強い施術は必要ない、むしろダメ。」
確かに、強すぎる圧は筋繊維を壊すので肉離れにも似た酷い揉み返しが起こる場合がありますし、刺激に慣れてさらなる強さを求めるようになることもある。そんな施術を受け続けている人はまるで甲羅のように表面から硬く分厚くなっているから触ればすぐにわかります。

弱いと効かない

術者側だけでなく受け手側が「弱いと効かない」と思い込んでいる場合が割とあります。汗ひとつかかずに涼しい顔で施術されるよりも、力いっぱい一生懸命施術される方が効くような気がするのでしょうか?
自分の手で他人の身体を変えると思い込んでいる術者も陥りやすい思考だと思います。

状況を知らずに語るのは無意味

例えば家庭菜園のやり方を調べると「まず苦土石灰を撒いて土を中和し、元肥を入れてよく耕しましょう」などと必ず出てきますが、どんな畑なのか見たこともない人が言ってることなんて当てにしちゃいけない。

家庭菜園と一口に言っても、元々畑だったのかずっと荒れ地だったのかではまるで違う。どんな草が生えているのか、どんな虫がいるのか、周辺の環境や水はけなども千差万別です。

酸性に偏っている雰囲気もなく窒素分も十分にみえる自然農の我が畑

人間の都合を【自然】に持ち込んだら、大抵上手くいかない。
土の善し悪しを決めるのは人間じゃなく野菜。
同様に、圧の良し悪しを決めるのは術者じゃなく筋肉です。
自然相手、生き物相手の対応はその時々でどんどん変化します。正解なんて無いに等しい。大事なのは本質を見失うことなく柔軟に対応できる応用力です!

「そもそも」が抜けてる問題

そもそも、硬い筋肉がどういう仕組みでほぐれるのかを把握していれば、施術が強すぎたり弱すぎたりするはずはありません。

そもそも何故ほぐれるのか

筋肉は反射でゆるみます。
筋紡錘や腱紡錘が起こす反射だったり相反抑制だったり、筋肉が無条件反射を起こすための入力が施術です。

この大前提を踏まえていれば事故は起こりませんし、施術の強さを一概に語ることのアホらしさにも気づきます。

具体的に「◯◯グラム」などと圧の強さを指定する手技・主張もありますが、施術の強さを決めるのは我々ではなくクライエントの筋肉。どれくらいの刺激でどれくらいの反応が出るかは個人差が大きいのでやってみなければわかりませんが、最適な刺激は【筋肉が一番効率よく反射を起こす刺激】一択です。

そもそも何故筋肉が硬くなるのか

肉体はいつでも素直にリアクションしているだけ。必要じゃない変化を勝手に起こすことはありません。
筋肉が硬くなるのもその必要があるから。そこを硬くしていないと危ない。だから硬くなっているのです。

甲羅のように硬い筋肉はガードの証。
そんな筋肉を、硬いからという理由だけでやみくもにほぐしたらどうなるか考えるまでもないでしょう。

圧の強さについてアレコレ言われたり、強さを求められたりするのは大体この辺。

(姿勢を間違えてるから)この辺の筋肉が頑張っていないと背骨が危ない。常に頑張っているから症状が出るのはこのあたりだけれど、背骨(中枢)を守るためにガードしているんだから簡単にはほぐれない。だからドンドン強くなって・・・という悪循環が起こります。

揉まれている最中は気持ちいいかもしれませんが、悪化するのは目に見えている。背骨周りに余計な負担をかけてしまう要素を解消していないんだから当然です。

症状が出ているところは大抵コリじゃなくてハリです。筋肉の性質上、元よりも長い方が頑張れますからね。

我々が刺激したいのは縮まって使えなくなっている筋肉にあるコリ。凝り固まって使えないので刺激されるまでほとんど認知されていません。
ハリへの刺激は気持ちいい事が多いのに比べ、本物のコリへの刺激はビックリするほど痛いことが多いので強く刺激するなんて到底無理なのです。

凝り固まって使えない本当のコリに対して、【筋肉が一番効率よく反射を起こす刺激】を入れてコリをほどく。必要ならストレッチもする。するとピンピンに張って頑張っていた筋肉は勝手に緩んで症状も解消していきます。

刺激の強さを語る前に、自分が何故そこへ触るのか、何を起こそうとしているのかを明確にしておきましょう。

施術の本質を見失わず極論に惑わされず

正解を示してもらったほうが楽なので正解を求める人が圧倒的に多い世の中ですが、身体相手・自然相手に絶対的正解は存在しません。

身体は十人十色、環境だってみんな違う。しかも身体は変わり続けている。同じ人でも季節や時間によっても違います。だから「どこへ何グラム」なんて極論には目もくれず、その場その時できちんと考えて感じて、適度な刺激で意味のある施術をしましょう。

クライエントが指差すところを、コリかハリかも考えず、硬いという理由だけで、豚肉柔らかくするイメージで、力任せに・・・揉みほぐすなら、マッサージチェアで良い。機能解剖を学ぶ必要はないし人である必要さえありません。

機能解剖をしっかりと学んでいれば、どんなに求められようともキッパリと断る事ができます。【要望に応えるだけがサービスじゃない】そんな認識も大事ですね。

知らないと損しかない機能解剖

機能解剖と物理のオンライン講座

機能解剖の丸暗記は意味がない。

大切なのは「なぜ」を繋ぐこと。
物理や自然の摂理、他の生き物のことにも視野を広げると、
身体の「なぜ」が繋がりだします。

死ぬまで使う自分の身体のことを愉しく学びましょう。

どうしても正解が欲しい!という方には、唯一明確に言える正解を差し上げましょう。何事も「◯◯過ぎ」「◯◯だけ」は毒。コレ、圧倒的正解です。

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