テニス肘やゴルフ肘などと呼ばれる肘近くの痛み。一度痛みが出ると中々解消しないしつこいヤツです。
痛みの部位によって様々な『○○肘』の呼び名(診断名・傷病名)がありますが、そもそも問題が起きているのは肘ではありません。しかも、肘が痒くても膝が痒くても痒みはカユミなのに、痛みだとなんでわざわざ呼び方変えるのか謎です。

このエントリを読めば、

  • 〇〇肘と呼ばれるものの本質がわかるようになります。
  • ケアの仕方がわかるようになります

予防・解消はもちろん、繰り返さないためにも最後までお読みいただければ幸いです。

テニス肘とか野球肘とか色んな診断名に疑問を感じませんか?

○○肘の病理と実態

テニス肘(バックハンドエルボー)とは

専門的には上腕骨【外側上顆炎】。手のひらを上に向けた時親指側にある前腕の伸筋群(手首や手指の伸筋)の起始部、上腕骨外側上顆近くの痛みに対して用いられる診断名。手のひらを下に向けて物を持ったり、手や指を上から押さえられて痛みが出現するようなら陽性とされます。

野球肘(フォアハンドエルボー)とは

同じく上腕骨の【内側上顆炎】。手のひらを上に向けた時小指側にある前腕の屈筋群(手首や手指の屈筋)の起始部近くに、ボールを投げる動作やテニスのフォアハンドで痛みが出る場合に用いられる診断名。瞬間的な負荷が強過ぎたり反復が多過ぎたりした場合は筋腱の損傷・微小な骨折を伴う事もありますが、そんな時は当然ジッとしていてもズキズキ痛むのでそれとわかります。

こうやって並べてみると、わざわざそれぞれの診断名を付けていることに違和感を覚えるのはワタクシだけではないでしょう。

その他の〇〇肘

ワタクシやワタクシの友人の多く(当然釣り人)が経験している前腕の痛みをテニス肘と言われるのはちょっと心外。細分化するなら釣り肘(フィッシャーマンエルボー)って名称も作ってくれなきゃ差別です。

まして、先日某病院でめでたく『テニス肘』の診断を頂戴してきた古い友人が休みの日に興じているのは PlayStation。それなのに『テニス肘』などと言われた日にはもう全くちんぷんかんぷんです。

せっかく病院に行ったんだから【○○肘】などという曖昧な診断じゃなく、【○○炎】くらいのことを言ってもらいたい。

大体【●●肘】とうい名称が頂けない。ギタリストが肘近くに痛みを訴える場合と同様、問題が生じているのは指の動きに関わる筋肉で肘の動きは関係ありません。上記『ゲーム肘』を発症してくれた友人が証明してくれました!

ゲーム肘が教えてくれたこと

テニスやゴルフ・野球・釣りなどはつい動きに目が行きがちで、手首や肘の動作に関わる筋肉や腱が痛んでいるように思ってしまいますが、ゲームやギターでも肘を痛める人がいる事実から学んだのは、【握っている】という共通点です。

指を曲げ伸ばしする筋肉の大半は肘のあたりからはじまっているます。

で、フォアハンドエルボーで痛むのがこの筋↓の起始付近。

ラケットやバット、クラブをギュッと握った際短縮収縮をしているこの筋に、インパクトの瞬間強烈な伸張性収縮が掛かって起始付近が痛んだり、場合によっては腱付着部の骨が剥離骨折をする。これがフォアハンドエルボーの部分的なメカニズム。

バックハンドエルボーで痛むのはこの筋↓の起始付近です。

やはりインパクトの瞬間に伸長性収縮の強烈な負荷がかかるのはフォアハンドと同様ですが、ラケットなど握ることでこちら側の筋肉は伸ばされているという相違点があります。

伸びてるところに持ってきて更に伸ばされながら頑張る伸張性収縮。いかにも傷みそうな使い方なわけです。

ギュッと握ると収縮すのは?

筋肉は【主働筋】と【拮抗筋】に大別できます。
関節を動かそうとした時にメインで収縮するのが主働筋。主働筋の動きを阻害しないように弛緩していてほしいのが拮抗筋です。両方同時に収縮をしたら関節は動かせませんからね。

指を曲げる時も、屈筋群が縮みながら力を発揮(短縮性収縮)する際に伸筋群は弛緩していて欲しいわけですが、どういうわけか結構早い段階から一緒に収縮してしまうのが【握る】という動作です。

ギュッと強く握れば尚の事、屈筋も伸筋も、つまり主働筋も拮抗筋も前腕の全ての筋肉はカチカチに固くなります。関節の動き過ぎを防ぐ一種の【防衛反射】だと思われますが、この機能のおかげで(所為で)バックハンドエルボーが起こりやすくなるのは間違いありません。

本来、指や手首を伸ばすための筋肉に余計な収縮を起こさないよう、必要以上にギュッと握らないこと。コレが〇〇肘を予防する最大のキモです。

グーはチカラが入る。パーはチカラが出る。パンチより掌底の方が効くってのはそういうことですね。

一緒に動くところを知り負担を分散

『全ての筋は全ての動作に作用する』
どこかで聞いたのか誰かに教わったのか忘れましたが、15年くらい前のワタクシの口から良く出てきた言葉です。

ひとつの筋肉、ひとつの関節だけ動かすってことはほとんど不可能。知らぬ間に連動が起きているのが私達の身体です。

肩甲骨や骨盤といった動きのインターチェンジみたいなところが機能しないと、チカラがスムーズに伝わらず特定の場所でチカラの渋滞が起こる。身体を痛めるのは結局自分のチカラなのです。

で、テニス肘に関して言えば、肩甲骨の動きが悪い人が成ります。脇の下と脇腹の間をちょとさすってみれば、プリンっとしたコリがきっとあってツーンとした痛みを感じるはずです。肩甲骨を肋骨に貼り付けてしまうこの辺の筋をほぐしてストレッチしておきましょう。

○○肘には広背筋のストレッチ

全身に渡る連動は個性によるのでコレ以上は見てみないことには何とも言えません。が、とにかく、直接的な原因と部分的なケアは

  • 指の握り過ぎ
  • だからケアするのは握る筋

決して痛いところそのものを伸ばすようなストレッチはなさいませんように。くれぐれもお願いしておきます。

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書いている人

パンチ伊藤
あっとう言う間に整体師歴19年。現役で施術する傍ら小さな整体塾を主宰しています。当たり前な解剖生理と簡単な物理を繋いだわかりやすい身体の話が得意。釣り/山/島/音楽/映画/生きもの/が好き。2020年から自然農の畑やってます。

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