筋トレブームに乗っかってみたは良いけれど、思ったのと違う結果で身体のアチコチを痛めてる・・・そんな人に送るエントリーです。
実際筋トレする人が増えるのに比例して、腰・肩・膝・肘・手首など痛める人が増えています。身体を壊さずに筋トレするにはどうしたら良いか、アチコチ痛めている人の共通点から探ります。
筋トレで身体を痛める人の共通点 【死に筋】
結論から言えば、筋トレはもちろん生活習慣病のほとんどにしても、部分的に体を壊す理由は【偏った負担】を掛けたことに他なりません。
身体はひとつのユニットとして機能しています。通常、部分的に働くことはとても稀なのです。
しかしウエイトトレーニングに代表される筋トレというやつは、ひとつひとつの筋肉と対話しながらやるくらい部分的に鍛えるのが通例です。その方が【筋トレ】としては効率がいいのも事実です。
しかしコレを400ほどの骨格筋全てに出来る人なんてまずいません。きっとどこかに【死に筋】が生じます。
フォームを守ってかなり丁寧なトレーニングをしたとしても部分的な負担が掛かるのは避けられません。結果、あの筋肉体操の先生でさえ、腰も肩も痛くてズタボロを公言しております。
- 筋肉をつけたいところだけやる
- 得意なメニューに終始する
- 勢いにまかせる
ウエイトトレーニングに代表される筋トレで身体のどこかを痛める人の共通点はそんなところです。
良くも悪くも破壊力抜群!ケトルベル
ここ数年で導入するところが増えている【ケトルベル】。
通常のダンベルと同じ様に使えるのはもちろんですが、その形状を利用して振り回す様な使い方もできてしまうので、抜群の破壊力をもって非力な人の身体をブッ壊しているクセモノです。
代表的な使い方がこちら↓
ケトルベルインストラクターなる方が「股関節を曲げたところから素早く伸ばすことで大殿筋とハムストリングを鍛えられる」ような事を仰っていますが、解剖生理をきちんと踏まえると、ケトルベルを振り下ろしてブレーキを掛ける際、殿筋・大腿四頭筋・脊柱起立筋群などの伸筋群に【伸張性収縮】が掛かるという非常に重要なところが抜けています。
筋肉は短縮性収縮よりも伸張性収縮の方が圧倒的に負担を強いられます。負担が強いということは効率的に鍛えられるということでもありますが、一歩間違えば簡単に壊れるということでもあります。
良くも悪くも破壊力抜群のケトルベル。素人は手を出さない方が賢明です。
【死に筋】筋トレよりリハビリ
死に筋とは本来マーケティング用語で「死にスジ」 。売れスジの反対をさす言葉ですが、解剖学に「スジ」という組織は存在せずあくまで筋は筋肉。死に筋は「死にキン」と読むのが正解です。
30代も中頃になれば使いたくても使えない、動かそうと思っても動かせない【死に筋】が 身体のアチコチに発生してきます。
使う筋肉を減らしてカロリー消費を抑えようととするのはある意味人間の本能。慣れた動作、いつも通りの動作なら、死に筋があっても難なくこなせるようになってしまうのです。
例えば趾(足の指)。手の指同様趾を動かす筋肉がきちんとあります。特に母趾と小趾はそれだけのために存在している筋肉があるので他の三趾よりも器用に動くはずなのです。どうですか?足の小趾、動きますか?
他にも肩甲骨を下げる筋肉や爪先を上げる筋、インナーマッスルの多くなど、死に筋は至るところでちゃくちゃくと増殖し続けています。
そんな状態でいきなりウエイトトレーニングをおこなえば、数少ない使える筋肉が簡単に壊れます。筋トレの前には丁寧なリハビリで死に筋を起こしておく必要があるのです。
共同・連動する筋肉を知る
股関節の伸展という動作ひとつとっても、大殿筋、中殿筋、小殿筋、大内転筋、ハムストリング(上部)、梨状筋をはじめとする深層外旋六筋と、様々な筋肉が作用しています。
PNF運動ラインを意識してスクワットを行なえば、これらの筋肉ほとんど全てへ刺激を入れることが出来ますが、筋肉によってちょっと内旋しながらの伸展とか外旋しながらの伸展とか、内転・外転しながらの伸展でしっかり作用できるものもあるので、全ての筋を満遍なくきちんとトレーニングしようと思ったら、スクワットだけでも4、5種類必要です。
しかもスクワットは0度から屈曲位の屈伸ですが、股関節は伸展方向へも20度ほど更に動けますから、これらの筋肉をもう少し縮める別のメニューも考えないと縮まりきれない筋肉になってしまいます。これもいわば【死に筋】です。
更に、体重という負荷を掛けて関節の可動もそこそこ大きいスクワットで効率よく刺激されるのはアウターマッスルです。つまりスクワットすればするほど、中殿筋以深のインナーマッスルとギャップがひらいていきます。
100回もスクワットしたりデッドリフトで重量を増加したりフットプレスで200kg!と喜んでもインナーマッスルが死に筋では突如痛みに襲われる確率がかなり高いです。
【死に筋】を生まないようテキトウに色々やる
ウエイトを掛けた筋トレにも良い点はあります。
ただしそうした筋トレで鍛えられるのは全身400にも及ぶ骨格筋の一部に過ぎず、やり過ぎは使える筋への偏った負担になります。
アウター重視の筋トレするなら2、3回で限界を迎えるまでウエイトを上げる必要がありますが、軽いウエイトで沢山の回数も同時にやるなりバランス系のトレーニングを併用するなりでインナーマッスルも鍛えておかないと、急性の腰痛や五十肩のリスクが急上昇します。
筋トレの目的は人それぞれでしょうけど、こと健康の為にと思っているなら、頑張りすぎずテキトウに色々やることが肝心です。筋力よりも全部ちゃんと使えるかどうかですからね。
整体師として言わせてもらえば、若い頃筋肉自慢だったひとがすっかり運動をやめてしまって、ぶっとい筋肉がそのまま固く凝り固まってるのが一番厄介です。
非力なら共同・連動に頼らざるを得ない。
結果より多くの筋肉に負担を分散できるから壊れない。
腰痛や肩こりの予防に筋力なんぞ関係ないことは、まだ筋肉が発達していない幼児が証明してくれているのです。
ここまで読んでもまだ筋トレしたいって人は
- 伸張性収縮に気をつける(全てをゆっくりやる)
- 連動が活きるフォームを守る
- マックス級のウエイト掛けたら低負荷高回数も必ずやる
- 骨格筋は400ほど有ることを忘れない
んな感じでやって下さい。くれぐれもやりたい事やって身体壊すなんてこと無いように。