筋トレで人生変えるなら知っておきたい【メリット・デメリット】

筋トレがブームです。
骨格筋のポンプ作用で身体中の細胞へ必要なものを届け、老廃物を回収する為には運動が欠かせません。筋肉が動かないと細胞は代謝できないし精神衛生上も好ましくない。

が、ブームに乗って筋トレしてみたは良いけれど、どうにも思ったような結果を得られないとか、果たしてデメリットは無いのかしらと疑問や不安が湧いてくる人も沢山いると思います。

視点・視野・視座を変えればいかなる事にもメリット・デメリットがあります。筋トレのメリットを活かせるのはどんな時なのか、デメリットが目立ってしまうのはどんな時なのか、この記事を読めばわかります!

筋トレのメリット

【身体に気を配るようになる】
おそらくこれが最大のメリット。いつの間にか太ったりいつの間にか腰痛が当たり前になったりしなくなる。そもそも身体に気を配っていたなら「いつの間にか」なんてことはないはず。自分しか感じられない自分の身体なのに気を巡らさないものだから、様々な症状や痛みが現れて知らされるのです。

【自信がつく】
思い描いた憧れの身体に近づければ自信に繋がる。自信が無いと生きていくのはとっても辛いですよね。

【自律神経のメリハリ】
筋肉を激し目に動かすことで交感神経が優位に働きます。結果、副交感神経へスムーズかつ明確に切り替わるので、運動の後は眠たくなる。自律神経にメリハリが出て『心的ストレス状態』から開放されやすくなります。

【各種ホルモンの分泌】
ステロイドホルモンの一種であるテストステロンという”男性ホルモン”の分泌が促されます。テストステロンは戦うホルモンなので、危険な仕事に従事している人や危険な遊びに終始している人も活発に分泌しています。『筋トレしてモテる』のは『ファイアーマンがモテる』『危ない男がモテる』のと同義。見た目以上の効果を発揮している目に見えない物質があるのです。

大学の学生らに15分間銃を扱わせたところ、唾液から普段の100倍近いテストステロン値を記録した
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%86%E3%82%B9%E3%83%88%E3%82%B9%E3%83%86%E3%83%AD%E3%83%B3

男の子が銃やナイフに興味津々なのは、本能的にテストステロンの分泌を欲しているのでしょうね。

筋トレをすると出てくるこのホルモンは筋の増大にも作用しますがそもそも男性ホルモンなので、残念ながら女性は男性の5~10%程度しか分泌されません。

他にも、幸福物質セロトニンや脳内麻薬ドーパミン、エンドルフィンなどのホルモン分泌が促され、平たく言えば「ナチュラルなハイテンション」になれます。やる気が起きないような時はちょっとキツめの筋トレをすると否応なしにやる気が出てくるっていう寸法です。

【糖の代謝アップ】
大きな動作で強い負荷を背負う分かりやすい筋トレで鍛えられる白筋/速筋は、無酸素でグリコーゲン(糖)を直接エネルギー源として使用できます。つまり、糖の代謝には有酸素運動やインナーマッスルトレーニングよりも高負荷低回数のわかりやすい筋トレの方が効果的。
先に上げたテストステロンも糖代謝に関わっているので、糖尿病の予防と改善にわかりやすい筋トレが一役買います。

【絡まれない】
ムキムキの体躯が手に入ったら、イチャモンつけられたりパワハラの被害にあったりしなくなるかもしれません。絶対じゃないけど。

筋トレのデメリット

【偏る】
全身に渡り400もある骨格筋をバランス良く鍛えられる人はまずいません。部分的に鍛えてしまうとその他の部分の故障へ繋がります。

例えば、継ぎのない1本ものの釣り竿(ワンピースロッド)と、数本に分割される継ぎのある竿(マルチピースロッド)、同じ素材で作ったらどちらが折れにくいかは誰でも想像がつくと思います。マルチピースは、二重に重なる継の部分は必然的に強くなって折れませんが、継の前後に負荷が集中して折れやすくなります。強化してないところそのものの強度は同じでも、部分的に強化したところのせいで全体への分散が損なわれて折れるわけです。

肉体的にも精神的にも『偏り』こそがストレス。健康にあたり唯一明確な悪が『偏り』です。
偏らないように筋トレしようとしたら、しっかりと身体を診られる整体師orパーソナルトレーナーに相当なメニューを組んでもらう必要があります。

【アウターばっかり】
大きな動きと強い負荷を伴うよく見る筋トレで鍛えられるのはアウターマッスルです。

大きな動きと負荷をともなうパワー系の筋トレをすればするほどインナーマッスルとのギャップが開いてきます。つまりこれも偏りです。
「ガシガシ泳ぎまくって激痛50肩発症」
「筋肉隆々なのに登山で膝痛」
そんな笑えない話は整体やってたら珍しくありません。立派な大腿四頭筋をお持ちの某競輪選手にスタビライゼーションをアドバイスしてみたら、全く出来なくて驚いたこともあります。

アウターマッスじゃ出来ないスタビライゼーション
脚ムキムキの競輪選手が出来なかったスタビライゼーション

【自信をなくす】
トラブルなく理想の身体までやりきったら【自信が付く】というメリットが発揮されますが、大抵の人は三日坊主で自分へダメ出したり何処か痛めたりして自信をなくすことの方が多いでしょう。三日坊主になるのは筋トレのせいではありませんけれどね。

筋肉体操の先生が明かした後悔

少し前に思わず笑ってしまったこんなニュースがありました。まず読んでみて下さい。

ツイッターでは『なるほど!適切なウエイトと正しいフォームが大切ですね!』などと賞賛の嵐ですが、ワタクシのブログを読んでくれている人ならおかしな点に気づくはずです。

「関節は10年殺しが起きる」「関節は代謝が遅く消耗し続ける」「肩が痛くてボールも投げられない」

矛盾だらけビックリ迷言の数々。

痛みは筋肉の酸欠。だから筋肉の無いところに痛みはありません。それはもう紛れもない痛みの生理です。筋繊維を含む血管も受容器も無い関節に痛みを生じる仕組みはありません。再生しないので全ての人の関節や椎間板は加齢とともに摩耗し変形しますが、年齢に比例して痛みが増えるわけじゃありません。ある程度歳を取るとむしろ痛みは少なくなる。日本整形外科学会による腰痛統計を見ても50代がピークなのがわかります。 https://www.joa.or.jp/media/comment/pdf/lumbago_report_030731.pdf
(70代女性で増加しているのは圧迫骨折によるものでしょう)

あまりに筋肉愛が強過ぎ。バイアスかかり過ぎ。

この人はいったいどんな目的で筋トレをしているのでしょうか。
『重さは手段であって目的ではありません。目的は強い刺激を筋肉に与えることです』と仰る割に、筋トレそのものが目的になっているような気がして違和感が拭えません。

筋トレそのものを目的にするのは個人の自由ですが、第三者の健康や身体作りに影響を与える立場なら、「肩が痛くてボールも投げられない」のに筋トレを推奨するのはいかがなものかと思うのです。

「私は整体で膝関節を壊して歩くこともままなりませんが、その経験を生かして関節はいじらない筋肉整体を提供しています」
これじゃけっきょく膝の痛みは取れないってことだし全く信用できませんがね。

ワタクシ6年ほど前に不注意からぎっくり腰を起こしましたが、【勢いに任せた乱暴な動き+テコ】で身体は簡単に壊れるという教訓を得ましたし、我が手力整体塾卒業生の施術で回復するという心強い体験も得ました。
おかげで「痛みを取ることに特化してきた手力整体の理論と手技は凄いです!」と声を大にして言えます。

『筋トレ教』『筋肉至上主義』『筋肉は裏切らない』などなど、まるで一神教にすがる信者のごとき人が目に余ります。イチ信者として1人で勝手に盲信するなら構いませんけれど、あんまり熱心な布教活動はトラブルの元だとみんな知っているはずでしょうに・・・。

筋トレの目的は何か

あなたが筋トレする目的はなに?

運動する、筋肉を動かす、汗をかく。
これらのことが心身に良い影響を与えることは紛れもない事実です。だけれど、目的が曖昧なままだと達成率は下がり苦痛すら生みます。

痩せたい、モテたい、体質改善したい、自信をつけたい、健康に長生きしたい、疲れにくい身体にしたい・・・本来様々な目的があるはずで、運動や筋トレは目的へ向かうための手段でしかないはずです。

釣りだって整体だって、ワタクシにとっては「面白おかしく暮らして後悔なく笑って死ぬ」ための手段でしかありません。だから眉間にシワ寄せた難しい顔で整体をやろうとは思わないし、続けることで疲弊するなら早々にやめます。
釣りに行くなら魚を釣るのは目標だけれど、なりふり構わずやりたくもない釣り方で釣っても意味がない。たとえ釣れなくても面白い方が目的に近づけるわけですからね。

彼女や奥さんの喜ぶ顔が見たい。ならば高級なお寿司屋さんを予約するより頑張って手料理を出したほうが良いかもしれない。
予約の手違いがあったとしても、お店と揉めるより早々に次なる手段へ切り替えるほうがきっと良い。
美味しいお寿司や高級レストランは手段であって目的ではありません。途中で履き違えちゃ本末転倒です。

  • あなたが筋トレする目的はなんですか?
  • 割れた腹筋に意中の彼女・彼氏はなびきそうですか?
  • 目的がないから続かないのでありませんか?
  • その目的を遂行する手段として筋トレがベストな選択ですか?

バイアス掛かった意見に流されて自分への不要なダメ出しをしないように、目的と手段をしっかり選んで欲しいと心から願います。

筋力よりも全部使えるかどうか

先に上げたメリットも筋トレでしか得られないかというとそんな事はありません。身体に興味さえあれば気は配れるし、ポヨポヨだって自信満々な人はいる。自律神経にメリハリを生むのもホルモン分泌を促すのも他にいくらでも手段はあります。パワー系の筋トレだからこそ手に入る本当のベネフィットは【糖の代謝アップ】くらいしか無いかもしれません。

心と体は綿密に連関して相互に影響しています。だから自分が理想とする肉体を手に入れて自信を持てる人がいるのは確かだし、パワーを手に入れて弱さを克服できることもあります。

筋トレブームのおかげで運動癖が付くのは素晴らしいことですが、運動は筋トレ以外にも沢山あることを忘れないで下さい。

骨格筋は400ほどもあります。特定の筋肉ばかり鍛えていても加齢とともに動かせない筋肉はドンドン増えるのが現実です。なるべく沢山の筋肉を使えるように様々な運動を【好い加減に】しましょう。

おすすめはやっぱり凸凹の道を歩くトレッキング。骨格筋の7割に当たる下肢の筋肉をほとんどすべて動員できます。

トレッキングなら骨格筋の7割に当たる下肢の筋肉総動員!

どうしても負荷をかけたパワー系の筋トレで追い込みたいならビッグスリー。特にスクワットとデッドリフトを基本に据えましょう。

まとめ

ま、偏った筋トレで何処か痛めてくれたら、我ら痛みの解消を得意とした整体師の出番が増えるのでありがたいですがね。

【筋トレ】で人生が変わるわけではありません。メリット・デメリットを把握した上で、自分の目指す目的に合った手段を選べるようになれば人生が変わります。

何をするか(What)は大して重要じゃない。何故するのか(Why)が重要です。
『運動=筋トレ』という単純な思考じゃなく、ちゃんと自分の目的に合った【体育】ができますように。

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書いている人

パンチ伊藤
あっとう言う間に整体師歴19年。現役で施術する傍ら小さな整体塾を主宰しています。当たり前な解剖生理と簡単な物理を繋いだわかりやすい身体の話が得意。釣り/山/島/音楽/映画/生きもの/が好き。2020年から自然農の畑やってます。

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