命を守る!痛みの仕組み
痛みというい感覚が存在しなかったらどうでしょうか。
『そんな幸せなことはありません!』
今、痛みに苦しんでいる人は、そう答えるかもしれませんが・・・・・痛みという感覚がなかったら、それはもうほとんどすぐ『死』を意味します。
足をザックリ切って血がダラダラ流れてるのに痛くなかったら・・・・。
胃に潰瘍が出来てるのに痛くなかったら・・・。
『このままじゃマズイよ』ということを教えてくれる、とってもありがたい感覚。それが痛みです。
痛みと痒みのシステムはほぼ同じ
痛みの生理学が盛んになったのは、ほんの数年前からです。
それまで、『痛みとは何なのか』という基本的なことが何故かスッポリ抜け落ちていました。
生理学上、痛みとカユミはとても似ています。
それぞれを引き起こす物質が違うだけで、後のシステムはほぼ同じなのです。考えてみてください・・・・・
首がかゆいのは●●で膝がかゆいのは▲▲で・・・・なんてことはありませんね。
感覚受容器なきところに痛み無し
痛みの生理学を知る時に、痛みを感じない部位(器官)を知っておくとはとても重要です。なぜ痛まないのかを知れば、仕組みが見えてきます。
痛みを感じない器官の代表は脳
頭痛は、脳自体が痛いのではなく、頭蓋骨の内側に張り付いている脳硬膜に分布する動脈が痛いと言われています。
なぜ脳は痛みを感じないのか。
脳には痛みのシグナルをとらえるための、感覚受容器がありません。
感覚受容器とは、知覚神経という電話線の先にある電話機みたいなもの。脳はさしずめ電話交換士。
電話線があっても電話機が無いと通話が出来ないのと一緒で、受容器が無いところからは、痛みのシグナルを送れません。つまりそこは痛みを感じない器官という事になります。
筋肉なきところ痛み無し
感覚受容器+痛み物質⇒脳で痛みとして判断
発痛物質が発生しないところもまた、痛みを感じない部位(器官)という事になります。
(痒み物質が受容器に作用すれば痒みになる)
発痛物質(ブラジキニン等)は、筋肉が酸欠に陥ると発生します。不完全燃焼で発生する一酸化炭素みたいなものです。
つまり、筋肉がないところもまた、痛みを感じない部位という事になります。(心臓、胃、腸は痛くなりますが、肺、肝臓、膵臓などは痛くなりません)
不のサイクル:体の痛み=心の痛み
そして、最終的に【痛み】として判断しているのは、脳だということも忘れないようにしないといけません。
受容器からの信号が脳で痛みとして判断された場合、次なるステップとして、交感神経や運動神経を経て、患部の血流を抑える指令が出されます。(炎症を抑えたり出血を抑える必要があるため)
最新の研究では、このありがたい機能が、慢性痛と深く関わっていることが注目されています。痛みが痛みを呼ぶ、負のサイクルです
また、脳科学も随分と進んで、『体の痛みと心の痛み、両方に前部体状回(脳の部位)が大きく関わっている』と発表されました。(2009年2月)
不安・恐怖・怒り・嫉み・悲しみ・・・心の痛みであるそういった感情も、体の痛みに成り得るということが、科学でもようやく証明されてきました。
脳が痛みを記憶してしまうこともあるようです。中枢性感作、痛覚過敏などと呼ばれる状態の慢性痛になると、肉体的なケアだけでは事足らなくなります。
痛みを引き起こす本質(危険要因)探しつつ、できるだけ早く痛みを取りましょう。
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骨は骨屋、肉は肉屋
10数年前まで、『腰が痛い』といえばヘルニアを疑うのは極自然な流れでした。最新の医療機器で画像診断をすると、いかにも『痛そうに見えた』から。
しかし『痛そうに見える』のと『実際の痛み』はどうも違うぞとなってきた。『筋肉+痛み物質+受容器+脳』の問題とすると全ての痛みに説明が付く。
関節や骨や椎間板の変成は器質的障害。痛みは機能的障害として、別々の治療が必要であるという流れになってきました。
( そもそも、痛みは【感覚】のひとつです。他の感覚全てがそうであるように、感覚は自分と外界を繋ぐためのもの。感覚を刺激する『原因』は身体の中にはありません。 )
これは私達手技療法家にとってとても嬉しいことです。
もし慢性的な痛みに関節や骨や椎間板の変成が関わっているとしたら、私達の出る幕は無いのですから。
骨は骨屋(整形外科)、筋肉は肉屋(筋肉系整体院)です。
整体師の出来ること、使命
- 負の連鎖を断ち切るために今そこにある痛みをやわらげる事
- コリに停滞している発痛物質を流し血行を回復させる事
- 発痛物質の発生しにくい体(心)にしていく事
- どんな危険が迫っているのかご本人と一緒に探る事
これが整体師の使命。実際に出来る事です。
*注:話が難しくなるので、打った・切った・刺した・などの早い痛み(一時的な痛み)は省いています。 【痛みのメカニズム】に関連する記事一覧はこちら>>>