【国家資格or民間資格】場面に応じた選択が肝心です

『良い大学から良い会社へ入って安泰』などというわかりやすい正解が無くなった今、「資格」「手に職」に活路を見出そうとする人が益々増えています。

どんな資格を取るか、どんなスキルを身につけるか、国家資格か民間資格か、などなど、選択を迷ったり悩んだりすることがあると思いますので、今回は【国家資格】というものの実情を掘り下げてみたいと思います。ぶっちゃけ、独立をするなら多くの職業で国家資格は不要なのです。

資格&スキルの本質と実情

何かと肩書に弱い人がみると【国家資格】には相当なアドバンテージを感じるかもしれませんが、まずは色々な資格を冷静に分析してみましょう。

例えば普通自動車運転免許

サーキットを走るのに自動車運転免許はいらない

日本の道交法が及ばない範囲で運転するなら免許は要りません。実際【公道】でなければ誰が運転しても構わないわけで、10歳くらいからフォーミュラカーレースに参加しているプロドライバーは珍しくない。当然運転免許は持っていませんけれど、「25歳は年寄り」なんて言われちゃう世界なので若さは大きなアドバンテージです。
身体能力の衰えはドライバー人生に直結。サーキットを出たら無免許なので運転出来ませんからね。

公道を走るための運転免許は、自動車学校を卒業したのち国家試験に合格して取得できます。更新は行いますがそれに伴う試験があるわけじゃなく、一度合格してしまえば実質生涯免許。70~74歳で高齢者講習というのが義務付けられましたが、自動車のEV化も伴って高齢者の事故は増える一方。『運転免許を持っているから運転が上手い』とは決して言えない。

例えば調理師免許

飲食店を開業するのに調理師免許はいらない

飲食店を開業する際に調理師免許は必要ありません。
必須なのは【食品衛生責任者】という資格。もともと講習に参加して申請するだけでしたが、今ならYou Tubeで動画見て申請するだけで食品衛生責任者になれます。

「一軒に一人調理師を置くべし」
そんな御触れが出る噂もありましたが既に忘却の彼方。
調理師免許試験に実技試験はなく、マークシートの筆記試験のみ。合格したら更新すらなく一生有効な資格だけれど、調理師だからって美味しい料理が作れるわけじゃなく、開業にも必要ないので、一体何のための資格なのか謎。

例えば医師免許

医師免許は診断&医療行為をおこなう上で必須

医科大を卒業して国家試験(医師試験)に合格したのち、2年以上の研修期間中に自分の診療科を決めて、ようやく医師としてデビューすることとなります。

医師試験は年にたった1回ですが、合格率は以外に高く92.1%(2020年)。医師試験に進むまでに数々の難関がありますから、そこまで進んだ人の合格率が高いのは然るべしなのかもしれませんけれど、合格率100%の医科大が3校もあるのがちょっと胡散臭さげ。

日進月歩で進化する医療に携わるのに、1度取得してしまえば更新も無い生涯免許なのは他の国家資格と同様。

膨大なお金と長大な時間と熱い志を持って医師免許を取ったのに、製薬会社と医療機器メーカーの為に働くような日本の医療に嫌気が差しているお医者さんも少なくない。
激務振りを考えたら仕事として割りに合わないようにも思えます。

んが、医師免許を持たずに診断や医療行為を行ったら医師法違反で逮捕されるので、ワタクシが唯一憧れる国家資格。制度そのものの問題は否めませんけどね。

例えばあはき師、理学療法士

近年活躍目覚ましい理学療法士ですが、【医師の指示の元リハビリ行う】ための国家資格なので、病院を出たら只の人。我ら整体師と同じ枠です。

昔からある【あはき師】(あんま指圧マッサージ師、鍼灸師)は、それぞれの医療類似行為を行える国家資格。

どれも3~4年学校で学び、国家試験に合格して資格取得となります。

病院やマッサージ施設に就職するならさておき、独立するとなると整体の技術や知恵が必要になる場合が多いのが事実で、看板に「整体」を掲げたらそれぞれの資格は使い道がありません。【整体】に資格はありませんからね。

公的資格化の弊害

あん摩マッサージを国家資格にする際、あの浪越徳治郎氏が尽力して指圧も加えられたと言います。(昔はよくテレビに出ていましたよね)。が、日本指圧学校第一期性で後に経絡指圧の創始者となった増永静人氏曰く、「波越が指圧を駄目にした」と仰っています。

人に教え広める為には簡単にしなくちゃならない。単純化、画一化が欠かせません。ましてやひたすらに責任逃れの安全策しか講じない国家が定めた資格ですから、現場で効果的なことよりも、法を侵さないように、事故を起こさないように、我が身を守ることばかり暗記させられる。

法律とかルールとか知ってなきゃダメなのは確かだけれど、実際の現場ではあまり役に立つ知識じゃありません。

何かひとつでも国家資格を取得したことがある人なら頷けるでしょ?
もっと効率の良い運転とか、料理を美味しくするコツとか、効果的な治療法を知りたいのに、そこには触れないのが国家資格なのであります。

バンクシーとティエリー

先日「Exit Through The Gift Shop」という映画をアマゾンプライムで観ました。
何かと話題になるあのバンクシーがなんと監督を務め、自ら出演もしている(当然顔は隠していますが)ドキュメンタリー。

当初はバンクシー“の”映画を撮るつもりだったようですが、カメラマン兼監督の変態ぶりに呆れたバンクシーが、カメラ置いてアーティストになるよう助言し、それを真に受けた元監督ティエリーが、アーティスト【ミスター・ブレインウォッシュ】になっていくドキュメンタリー映画に仕上がっています。

本人に悪気がまったく無いので周りの人間も呆れつつ手を貸してしまい、パクリと思いつきだけのアートで個展を開きアーティスの仲間入りをしてしまう・・・・。

なんと今年2021年には日本でも個展が開かれているから驚き。
https://www.fashion-press.net/news/65843

何せパクリと思いつきだけなのでティエリーのアートには理由も目的もない。本人に聞いても何も出てこない。【やり方】さえ知っていればアーティストに成れてしまう事を、アートとは何かを、バンクシーが問いかける。

実に面白いので連休中お暇な方は見てみてください。残念ながら現在はプライム枠から外れて有料になってますが300円だし損は無いと思います。バンクシーの実像も観られますしね。

我が国の国家資格は、ティエリーみたいな人を大量に排出するための仕組みなんだと思うのですがどうでしょうか。

再現性の高い雛形が出来れば、多くの人が似たような結果を出せるのかもしれないけれど、それじゃあ面白く無いし、根拠も目的も無いならやる必要自体が無いように思うのですがね。

整体は自転車です

様々な国家資格を解説してきましたが、ワタクシが行っている整体はいわば自転車です。
上記のあはき師さんや理学療法士さん、柔整師さんも続々と【整体】の看板を掲げていますが、自転車乗るのにバイクや車の免許持っていることをアピールしたってまるで意味ない事を、皆さんには知っていて欲しいと思います。免許はないけど専門的に自転車乗ってる方が上手いですからね、当たり前だけど。

ワタクシが主宰する手力整体塾では上手に楽しく自転車に乗って、自分の目的を果たせるようになってもらいます。ひとりひとりをバンクシーにしたいのです。雛形を提供して終わりじゃないからぶっちゃけ大変ですけれど、人それぞれベースが違いますから【共通した試験に合格して修了】にはしたくない。

大体【民間資格】というやつは資格と呼べるものではなく、稽古や修行といったニュアンスに近い。単純化した試験で合否を決めるのじゃなく、昔ながらの徒弟制度のように師匠がOKを出すまで修了できない。それでこそ民間資格だと思うのです。

ちょっと調べたら今やアホほど沢山の民間資格がありますね。その多くは単なる資格ビジネスで、徒弟制度のような濃密な学びはきっと無いでしょう。資格マニアの方はさておき、わけのわからない肩書を沢山並べても自分を見失うだけ。どう呼ばれるのが一番嬉しいのか考えましょうね。
(民間資格一覧:https://www.shikaku-king.com/kind/minkan-shikaku/

まとめ

基本、独立するなら医師以外の資格は必要ありません。就職したいのか独立したいのか、まずはそこを明確にしてから資格やスキルを選びましょう。独立したいなら資格じゃなくメンター(師匠)を選びましょう。


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