手力整体塾@からだ応援団のパンチ伊藤です。
コロナのお陰で久しぶりにご新規受付を再開したら早々にご予約いただきましたたので、たまには整体師らしく施術の話をしてみます。

【健康の秘訣】身体にとって余計なことをしない

久しぶりの『初めての身体』にワクワクを抑えきれないワタクシ、メールで頂いたお話を元に問診・動診・触診・施術を進めつつ気づいた事を逐一ご本人に報告していきます。

頚の左側から左腕に掛けての痛みを随分長いこと感じている

頚を左回旋させた時に痛みが増すことから左胸鎖乳突筋に落とすべき本丸があることは容易に想像付きますが、問題は【本丸の守りを固める外堀が何処を走っているか】。此処を埋めずに本丸だけ落とそうとしても到底無茶だし何なら返り討ちにあいます。

更に、本丸の再建(再発)を阻むためには、日常意図せず条件反射的におこなっている行為、姿勢や動作などをやめる必要がある。『条件反射的』なのでご本人はまるで気づいていない場合も多いので、伝え方に工夫が必要になります。ちょっと驚かすのがコツです。

身体をニュートラルに近づけ、当たり前に循環する自然体へ導くのが整体師役割。ミッションをクリアするために痛みをとったり見た目を正したりすることもありますが、それはあくまで過程に過ぎないってこと。

クライエントの身体を根本的に変えられるのはクライエントだけ、それが事実。ストレートに言えば、今までやってきた事をやめて進む方向を変えない限り身体は変わらない。施術をキッカケに突如隣のレールに乗れるわけじゃあないのです。

実際の施術詳細

一側性の首の痛みでまずはじめに思いつくのは噛み合わせ。

食いしばりなどありませんかと尋ねたら歯ぎしりがあるととのこと。顔の歪みに現れるほどではありませんでしが、幾分左の方が口角が上がってます。

頚の左回旋で痛みが強くなることを確認したのち、仰向けに寝てもらってまずは当然頚の触診。
からのお腹、右の下腹に圧痛あり。
右つま先は天井を向いていて、右の三陰交(内くるぶしのちょっと上)に圧痛あり。

もう一度頭側へ移動して鎖骨下チェック。左の鎖骨下に圧痛あり。長上肢判定で左腕が短いことを自覚してもらう。

ここで、「左利きではないですよね」とお声がけ。右利きとの答え。

ということは、利き手の影響ではなく環境の影響が強いということが伺える。

一通りの説明をしてうつ伏せになってもらう。

右の股関節と左の肩甲骨がとにかく気になる。
施術の手は止めず「正面を向いてお仕事できてますか?」と質問。「正面は向いてますが猫背で・・・」との答えにめげず続けて、「右側に良く目をやる棚があったりはしませんか」と質問。
左に物があるので少し右を向いてキーボードも少し右側に傾けて置いているとの答え。

左利きっぽい身体になっている理由が浮かび上がってくる。

つま先の向きにも合点がいく。案の定右の内転筋には強いコリと圧痛。

もうひとつ気づいたのはジーンズのお尻ポケット。
「右の尻ポケットにお財布入れたまま座りますか?」と質問。

「・・・・・・」

感心しきりでグウの音も出ない。(ワタクシは心の中でガッツポーズ)

ここまでいくと圧痛は全部取れちゃうし、セルフケアにしろ日常で見直す点にしろ、アドバイスは全部聞いれてくれちゃうのであります。ありがとうございます。

ちょっと強調しましたが、視診・動診・触診と圧痛点(隠れたコリ・トリガーポイント)を繋いだら、30年余こんな姿勢でデスクワークに勤しんで来られたことが浮かび上がったわけです。

考えるのではなく【聴く・訳す・繋ぐ】

すっかり当たり前になっていて反射的にとっている姿勢なので、まさかこんな事がしつこい痛みの原因に成っているとご本人は思いもしない場合が多いけれど、10数年も同じ痛みを感じているということは知らずしらずに日々積み重ねていることが原因なわけです。

ご本人が忘れていたり意図せずに繰り返している身体にとっての「余計なこと」をあぶり出すのが整体師の役割。
だから、【考えて】施術していはいけません。

脳みそで考えるのは大体余計なことです。
考えるのではなく只汲み取ること。目の前にある事実を繋いで余計なことを明らかにすること。

覚えるだけの勉強しかしてきてない我々は、ある種のパターンであるこの手のレポートを「左回旋で頚の左が痛い人の施術」として暗記してしまう傾向がありますが、それはあまり意味がありません。

骨格と筋肉だけ覚えたらあとは、聴いて(感じて)・訳して・繋ぐ

一番簡単なことをちょっと丁寧にしているだけなのに、多くの整体師・セラピストさんが手を抜いてくれているお陰で驚いてもらえるのであります。

恒常性の維持を邪魔しないこと

身体を含めて【自然】には恒常性維持機能が備わっています。病気に対しては「免疫」と言われることが多いですが、生体はとにかく元に戻ろうとする恒常性(ホメオスタシス)を有しています。身体の70%近くを占める【水】は毎日2Lほど入れ替わるので3週間ほどで全部入れ替わるわけですが、別人にならずに済むのも恒常性のお陰です。

余計なことをやらずに放っておいたら治る

頭で考えず身体の望むままにしたいのだけれどコレが案外難しい。
例えば「楽な姿勢」というのも「楽」を判断しているのは頭なので間違いな場合が多い。「疲れた」と思うのも頭なので実際に身体で起きていることと一致しているとは限りません。

【20分未知ラン】というとても興味深い実験がこの本↑の中に出てきます。同じ20分のランでも、何分走るか知らされていない20分のランが1番酸素消費が少ないのだそうです。10分走った後に「更に10分」と告げられると急に酸素消費量が減るというデータもあります。

心理(頭)と生理(肉体)は往々にしてズレる。
だからなるべく頭で考えず、決めず、健康情報に惑わされず、食べたいものを食べてやりたい事をやって、具合が良ければそれで良いと思うのです。

健康オタクに健康な人がいないのは、情報に踊らされ頭ばかりで考え過ぎだからでしょう。放っておいたら治るのにわざわざ余計なことをさせて治らないようにするのが世にあふれる健康法です。健康な人が健康のためにやっていることなんてありませんからね。
誰かの意見に頼らず、体に聴いて余計なことをやめましょう。

近頃増えているテレワークなら尚の事。どんな格好で仕事していようと誰にも咎められることがありませんが、今の姿勢や動作が身体にとって余計なことになっていないかどうか、時折自分を俯瞰して見る必要があります。

本当の意味で、自分のためになにか出来るのは自分だけ。

筋トレやストレッチなど健康のためにわざわざ行なうセルフコンディショニングも、日常で行っている余計なことを抑制する効果がありますが、時と場合によってはそれ自体が余計なことにもなります。健康のたにわざわざ運動している動物なんて人間しかいないのです。

食料自給するために畑でもやればそれだけでいい運動になりますよ。

出来る限り余計なことをしない。自然農も一緒ですね。
無農薬・無肥料・無マルチ(雑草予防と保湿のための敷物)で、整体みたいな畑を実践中のワタクシ、人間の都合に合わせるんじゃなく自然の都合に人間が合わせるしかないことを肌身で感じております。

ところで、ワタクシの施術を受け付けている窓口サイトはもう随分放置してますしページもほとんど削除しているので、検索で探しだすのも困難なのに「ご新規受付再開」を表記したら早々にご予約が入りました。聞けば何年も前からタイミングを伺っていたんだそうで。
ちょっとアクのあるブログを書いていると年単位で見ていてもらえるみたいです。ありがとうございます。

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「生き方」をそのまま「働き方」に

【生き方を】そのまま【働き方】に

『遊ぶように学び、遊ぶように働く』。素のままの自分で誰かの役に立つと「生き方」はそのまま「働き方」になる。
「頑張る」より「愉しむ」。遊びが全てを救う。そんなモットーの手力整体塾@からだ応援団です。

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書いている人

パンチ伊藤
あっとう言う間に整体師歴19年。現役で施術する傍ら小さな整体塾を主宰しています。当たり前な解剖生理と簡単な物理を繋いだわかりやすい身体の話が得意。釣り/山/島/音楽/映画/生きもの/が好き。2020年から自然農の畑やってます。

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