手力整体塾@からだ応援団のパンチ伊藤です。
「短下肢or脚長差」は「骨盤の歪み」と並んで、整体師などのボディーワーカー、セラピストさん達が良く口にするワード。言われたことがある人もきっと多いと思います。
ワタクシも一応整体師の端くれですが、18年間の整体師人生で短下肢or脚長差はほとんど口にしたことがありませんし、施術の参考にもしません。
はてさて、この差は一体どこから生まれるのでしょうか。
短下肢(脚長差)を気にするなら各骨の長さ計測必須
当たり前ですが、脚は1本の骨じゃありません。
だから、右の脛骨が短いとか左の大腿骨が短いとか言うならともかく、右脚が短いと言ったところでどこのことを指しているのか皆目見当がつかず意味がない。只の嫌がらせにしかなりません。
コレを業界では「呪い」と呼びます。
「右脚が短いですね」そう言われた方は・・・・
- だから腰が痛くてもしかながない
- だから何かで補わなければならない
と思い込んでしまう。
骨盤の歪みなども同様【ほとんど意味のない言葉】なのに、まるでトラウマの様に落ちない焦げ跡を残してしまう。「仕方がない」という思いが治るものも治らなくさせます。
もう一度言いますが、脚は1本の骨ではありません。
「右脚が短いですね」と言われる前には、きっと仰向けやうつ伏せで両脚を引っ張れ、カカトの辺りを左右で比べられただけだと思いますが、そんな事で脚の左右差なんてわかりません。
脚長差を診るなら、せめて・・・
- 踵骨+距骨の高さ
- 脛骨の長さ
- 大腿骨の長さ
を左右で比べる必要があります。
そこまでせずに「右脚が・・・」なんていう整体院やサロンは、知ってか知らずか呪いをかけてくるので、行かないほうが懸命です。
脚長差を足底板で調整?
本当に左右で脛骨の長さや大腿骨の長さが違うのであれば、短い方に足底板を入れて長さを補うのは意味があるかもしれません。姿勢や動作における左右の不均等が解消されて、腰痛や肩こりの予防に一役買う可能性はゼロじゃない。
が、まるで脚を1本の骨のように捉えて短い方に足底板を入れてしまう場合が実際は多い。それじゃあ補助具として一生外せないし、身体は一生歪んだままってことになります。
寝具なども同様です。
良くも悪くも身体は変化します。
右脚を長くしたり左脚を長くしたりできるのに、悪く変化した身体へ合わせて補助具や寝具を導入していては、歪みは進む一方です。
もし足底板を入れるのであれば、各骨の長さに大差がないことを確認した上で【長く見える方】に入れる。すると補助具じゃなく矯正具になります。
脚の長さは同じ。スタート地点の違い
実際に脛骨や大腿骨の長さが見た目でわかるほど左右で違うなんてことは滅多にありません。左右差があったとしてもきちんと測ってやっと分かるくらい。せいぜい数ミリでしょう。
じゃあ寝転がった時に左右のカカトが揃わなかったりパンツの長さが左右で違うように感じたりするのはどこの差なのか?
ほとんどの場合、骨盤の傾き具合に左右差があって、結果股関節の位置に違いが出ているだけ。脚の長さ自体は同じでスタート地点がちょっと違うわけです。
「それってつまり骨盤が歪んでるんじゃ・・・」
はい、似てるけどちょっと違います。骨盤自体は歪みようがなく、歪む(動く)のはあくまでも関節。腰椎と左右の股関節に癖があって、骨盤が傾いているだけです。
骨盤の中心には、丹田という重心があります。
骨盤が傾くと重心が偏ります。私達は様々な場面で重心を傾けて動作しているのですが、特定の姿勢を長く続けたり反復動作を続けたりすると、偏った重心を戻せなくなります。
結果、骨盤は傾いたシーソーのようになって、どちらかの脚は引き上げられ反対側は押し出されるわけです。
自然にシンメトリーはありません
完全な左右対称、シンメトリーは自然の造形に存在しません。シンメトリーや直線があるところには必ず誰かの手(古代文明とか宇宙人とかw)が加わっています
人間の身体も自然の造形なので直線もシンメトリーも無い。もしあったら生き物らしさが失われます。(アンドロイドめいた美しさを求める方もいらっしゃいますがね)
ましてや【利き手】がありますから、必ず左右差があって必ず歪みがあります。その方が都合が良いからです。
ただし、環境や癖があまりに偏っていると、いつしか痛みなどの症状で知らされる事になります。体からの声(痛み)に気付いたらまずは見落としている些細なことに気づく事。
- いつも同じところに座って同じ方を向いてテレビを見ている
- いつも決まったポケットにお財布を入れている
- いつも同じ脚からパンツを履く
- いつも同じ脚から歩きだす
- いつも同じ立ち方をしている
- ゴルフ・野球・テニス e.t.c. 決まった動作を繰り返す
いつも同じことに気づいたらちょっと変えれば良いだけ。逆にこここを変えななかったらどんなにお金をかけても全て無駄です。
身体は変わり続けているので、補助具や矯正具の力を借りなくても習慣が変われば勝手に変わります。習慣で右脚が短くなったんだから、右脚でも左脚でも習慣次第で長く出来る。それが事実です。
「今日は反対にしてみよう」そんな遊び心が、【遊びあるカラダ、遊びある人生】を可能にするのであります。
基本手技で身体が変わる
ここで少し宣伝です。
ワタクシが主宰する手力整体塾には、全身の触り方をまとめた基本手技というものがあります。この基本手技でもっとも大切にしているのが【術者の】身体の使い方。とにかく徹底的に左右の手を均等に使うよう口うるさく注意します。
左右の手を均等に使うということは、重心移動も均等におこなう事に通じるので、基本手技をきちんとやっていれば身体は勝手に整ってゆきます。
施術は受けるよりもやる方が良い。いやこれ、ほんと。
偏らない、自由自在な身体を手に入れたいなら、整体師になるのが一番コスパ高いのです。
まとめ
左右の脚の長さを比べることには意味がありません。比べるなら、左右の股関節の動き。またそれに影響される重心の偏りを力の入り具合で比べましょう。見た目じゃわかりにくいですからね。
直したいなら、姿勢と動作の偏りを減らすこと。
もっとも手っ取り早いのは、きちんとした施術ができる整体師になることです。
【生き方を】そのまま【働き方】に
『遊ぶように学び、遊ぶように働く』。素のままの自分で誰かの役に立つと「生き方」はそのまま「働き方」になる。
「頑張る」より「愉しむ」。遊びが全てを救う。そんなモットーを掲げる手力整体塾@からだ応援団です。