子どもの運動能力低下が度々ニュースになる昨今。しゃがめない子ども達の話でも書こうと思って色々調べてみたら面白い事実が浮かび上がって来ました。

実は向上している運動能力もある!

スポーツ庁 体力・運動能力年次推移 6~19歳
http://www.mext.go.jp/prev_sports/comp/b_menu/other/__icsFiles/afieldfile/2016/10/11/1377988_003.pdf

これを見ると、持久走はじめ昔から行われてきた体力測定は噂通り概ね右肩下がりを呈していて、子どもの体力は低下してきているように見えます。んが、平成10年から導入されている新体力測定だけみると右肩あがりのものもかなりある。なんだかちょっと出来レースの香ばしい香りが漂わなくもないですが、特に反復横跳びにおいては男女とも全ての年代で一直線にナナメ上がりの様相です。

7歳から19歳までの体力テスト推移

DNAレベルでカラダが変化してきてる

平成以降、持久力が低下した代わりに瞬発力は向上しているのという事実が垣間見れるわけです。幼少の頃に外で遊ぶ事が少なく身体の使い方が身につかないのは甚だ問題だとは思いますが、もっと根本的な凄い事が子ども達の身体に起きている事実をこのテストは物語っています。

畑や田圃でジワジワと筋肉を使ってきた日本人のDNAには、持久力に長けた赤筋多めの骨格筋を構築するようプログラムされてきましたが、平成以降、瞬発力の白筋多めで骨格筋を構成するよう、遺伝子のプログラムが急速なスピードで書き換えられているとしか思えない結果なわけです。

しかも赤筋は白筋にできないけれど白筋は持久系のトレーニングで赤筋に変えられる。加齢に伴っても赤筋化は進む。いずれもココ数年で明らかになったことですけれどとにかく若いうちは白筋だらけで良いわけで、【人間】の進化は続いていると思わざるを得ないわけです。

しゃがめないのは『足首が固いのが原因』『股間節が固いのが原因』だのと言うのは簡単ですが、実はもっととんでもない事が起きているのかもしれないのであります。しゃがめないのも正座できないのも胡座かけないのも西洋人なら当たり前ですからね。

遺伝子の多様性が失われつつある?!

柔よく剛を制した日本人のアイデンティティを手放してしまい、瞬発力を手に入れたといっても西洋人になれるわけでもなく、どっちつかずの中途半端なところを漂ってしまっているような気がしますけれど、これはもしかしたら日本人だけの問題じゃ無いようにも思うのです。

  • 種の多様性
  • 遺伝子の多様性
  • 環境の多様性

この3つが連関して恒常性のある生物多様性が保たれるわけですが、環境が似通ってしまった結果、世界中の人間が似たような遺伝子を持つようになってきているのではないかという、世にも恐ろしい物語が着々と章をすすめている気がします(そういえば、NYの人は意外に小さかった)。遺伝子の多様性が失われ西洋人も東洋人も無くなってしまったら、結構あっさり人類は滅亡するかもしれませんなぁ。クワバラクワバラ。

遺伝子は親から受け継がれるものと思ってましたけど、先祖の血を超えて世界中の人達が似てくるってことは、F1の野菜など遺伝子操作された食べ物とか環境の影響が思いの外強いのかもしれません。

DNA

『○○人』という差別がなくなるのは良いことだと思いますが、文字通り『人類みな兄弟』になってしまったらそれはそれで不都合もあって面白みにも欠ける世の中になってしまいそうです。

お年寄りの運動能力は軒並み右肩上がり!

65歳以上の運動能力測定は平成10年以降の新体力テストしかデータが無いのですが、17年間見事な右肩上がりを見せております。

65歳以上の新体力テスト推移

いやはや驚きです。ハイキングブームを牽引しているのも間違いなく高齢者。先日の山でも60代とおぼしき方々にグイグイまくられましたわ。自分が同じ年代になった時、推移グラフの右肩上がりについていけるのか?これも軽く恐怖であります。

果てしなく長生きするお年寄り

測定法を定めているのはいったい誰じゃ?

ところで運動能力測定にはちょいちょい疑問に思う測定法が定められています。以前は立位で行っていた【体前屈】もそのひとつ。現在は長座で90度座りの位置から箱を押して動かせた距離を測るようなのですが、この測り方では股間節で動ける人も肩甲骨で動ける人も脊柱で動ける人もみんな同じになっちゃいます。一体全体どこの何を測りたいのか正直さっぱりわかりません。

【上体反らし】も同様。うつ伏せで下肢をロックして上体を反らす検査だけれど『顎の位置で図る』となると、体前屈同様どこの何を測りたいのかさっぱりわかりません。

joutaisorasi

昔から続いているものはさておき、新体力テスト項目くらいはどこの何を測るのか明確にして具体的な測り方をした方が後々有用なデータになると思いますがね。

公益財団法人日本レクリエーション協会が発行する『元気ハンドブック』なるものはまるでメタボのおじさんに渡す小冊子みたいだし、体力テストの測定方法もザックリ過ぎるし、お役所とかそれに準ずる方たちの仕事っぷりにはホトホト感心して口を閉じられなくなります。こういう仕事をオレにやらせろw。

とにかく・・・・

世界中の都市部に住む似たようなDNAを持った人が特定の疫病で壊滅。田舎で昔ながらの暮らしをしている人と果てしなく長生きする老人だけがこの星に残る・・・・壮大なSF映画のシナリオになりそうなことが、実際に起きちゃっているような気がしてなりません。地方創生のやり方間違えたら田舎すら残りませんな。

『みんな違う』を楽しみましょう。オッサンは持久力。若者は瞬発力を活かすのじゃ。

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書いている人

パンチ伊藤
あっとう言う間に整体師歴19年。現役で施術する傍ら小さな整体塾を主宰しています。当たり前な解剖生理と簡単な物理を繋いだわかりやすい身体の話が得意。釣り/山/島/音楽/映画/生きもの/が好き。2020年から自然農の畑やってます。

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