手力整体塾@からだ応援団のパンチ伊藤です。
筋トレするにもケアをするにも知っておくととても役立つ屈筋群と伸筋群のおはなしです。

力を入れる?力を出す?案外役割が違う屈筋群と伸筋群のはなし

【そもそも屈筋群とは】
短縮性収縮で関節を屈曲させる作用を持っている筋群を指します。

【そもそも伸筋群とは】
短縮性収縮で関節を伸展させる作用を持っている筋群を指します。

ざっくりイメージで示すとこんな↓感じ。

赤が屈筋群、青が伸筋群。
ちなみに上の姿勢は解剖学的基本肢位(通称ゼロ度)。骨を重ねて脱力して立てば不安定な二足直立ゆえユラユラと揺れて、屈筋も伸筋も少しずつ満遍なく使って立てますが、使いやすさ、短縮しやすさには大きな違いがあります。

筋繊維のスタート地点が違う

ゼロ度は、筋肉が伸びも縮みもしていない元の状態。なんだけれど、この状態から短縮性収縮をして関節を大きく動かせるのは屈筋群。対する伸筋群は短縮性収縮をしても少ししか関節を動かせません。

ゼロから『屈曲・伸展』同等の可動を持っているのは手関節と環椎後頭関節くらい。
ほとんど股関節において伸展の動作は可動制限があるため伸筋群は一旦引き伸ばされてからでないと、短縮性収縮で力を発揮するシチュエーションはあんまりありません。

ゼロ度から短縮性収縮で力を発揮する屈筋群と、一旦伸ばされないと短縮性収縮で力を発揮しない伸筋群。この違いから筋繊維のスタート地点が違うことが予想できます。

筋肉(骨格筋)は、モータータンパク質の一種であるミオシンがアクチン上を滑走(アクチンフィラメントを引き付ける)して【収縮】という力を発揮します。スタート段階で十分な引き代があるのが屈筋群で、引き代を確保しないとミオシンが走れないのが伸筋群なわけです。

現時点ではそのような論文など見当たらず、ワタクシの予想でしかありませんけれど、言われてみれば・・・と思いませんか?

加齢とともに、色んな関節が伸びにくくなっていくのも合点がいきます。抗重力筋が重力に負けて伸ばされるだけではなく、短縮しやすい屈筋群が短縮して固まってくわけです。

はてさせ、未だに見えるところばかり筋トレしている諸兄姉、屈筋群優位にしちゃって大丈夫ですか?

無条件反射から見る屈筋群・伸筋群

パプロフの犬で有名なのは後天的に学習して身につく『条件反射』ですが、生まれながらにして全ての人に備わっている『無条件反射』というものがあります。
瞳孔の開閉や唾液の分泌、汗の分泌などもその一種。無条件反射の中でも脳を介さない『脊髄反射』はとりわけスピーディー。危険を瞬時に無条件で回避する防御システムです。

  • 熱いものに触れて手を引っ込める
  • 飛んできたものを避ける
  • 画鋲を踏んで脚を引っ込める

体が危険を察知したら直ちに【伸筋群弛緩+屈筋群収縮】が起こる。危険を察知した亀が甲羅へ閉じこもるような動作が脊髄反射の大半です。

入れる屈筋群、出す伸筋群

  • 構造上短縮しやすいのが屈筋群
  • 無条件反射で短縮するのが屈筋群
全身の屈筋群を短縮させた姿勢(左)と、伸筋群を短縮させた姿勢(右)

マトリックスのように仰け反って弾丸を避けたり、ボクサーのようにスウェーでパンチを避けたりするのは訓練の賜物、条件反射。危険を回避する無条件反射では手足を引っ込め体を丸めるようにして身を守ります。

横向きで丸まって寝る人とか俗に「猫背」と言われる人などは、得体のしれない危険が迫っているのか、体が相当に弱っているのか、どちらにしても屈筋群を短縮させて守りの姿勢をとっているわけですが、どれだけ守りを固めてもけっして強くは成れないことに気づきましょう。

強くなれば守る必要がなくなります。

わたし達の体は、重力や大気圧、細菌・ウイルス・セクハラ上司・謎の劣等感などなど、日々様々なものと戦っています。
体に力を入れて守りを固めても共存は続く。体の外へ力を出しましょう。

力を出すのは伸筋群。だから筋トレするならBIG3だし、スクワットだけは折々やっておきたいのです。

スクワットの正しいやり方は何故正しいか

スクワットの正しいやり方として『膝小僧が爪先より前に出ないように』とは良く言われますが“何故”そうなのか知っている人は少ないと思います。答えはココにあります!

知識でもお金でも、入れるばっかりで何も出さないマインドの人がとても目立ちますけれど、そんなマインドは確実に身体へ影響します。入れるのは程々にしっかり出しましょう。

未だにシックスパックとか大胸筋とか上腕二頭筋とか、自分でも見える筋肉を鍛えて強くなった気がしている方々もいい加減気づきましょう。「筋肉は裏切らない」とか言いつつあちこち痛めているでしょ?裏切っているのは貴方の思考です。屈筋群は程々に伸筋群をメインにすればリアルに強く成れます。霊長類最強女子がお手本です。

ちなみに、屈筋群に力が入った手で触れられる施術はとても不快。どれだけ丁寧にしているつもりでも雑さが拭えません。何故かは未だにわかりませんが、角のある硬いもので触れられている感触になってしまいます。

力は入れるんじゃなく出す。クライエントの体に触る整体師・セラピストなら尚の事、伸筋群を使いこなした施術を身に着けましょう。自分の体、どんどん調子良くなります。試したい方は是非体験へ来てください。

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