【記憶する筋肉】子どもの体力向上必要なのは○○教室じゃなく生活の中での運動です

手力整体塾@からだ応援団のパンチ伊藤です。
子どもの頃の運動がいかに大事か、自分の体験から気づいたことがあったのでシェアします。
○○教室だけじゃ多分全然足りませんよ!

大切なのは生活の中での運動

度々問題に上がる子どもの体力低下。
実際にデータを見ると、20mシャトルランや反復横跳びなど意外と向上している能力もあるようですが、握力やボール投げなど見事な右肩下がりで衰えている能力が目に付きます。(令和に入ってからの急激な下降は疫病の所為と思われるので考慮しません)
https://stat-nippon.com/children-physical-chart/

子どもの体力低下は国を上げて問題視されているので、スポーツ庁に『子供の運動遊び応援サイト』なるものまで存在します。
https://www.mext.go.jp/sports/b_menu/sports/mcatetop03/list/detail/jsa_00012.html

ビックリするほど沢山のプログラムが掲載されてますが、天邪鬼な整体師はそういうことじゃない気がしてならない。
わざわざやる事ではなくて、日常を普通に暮らしているだけで様々な身体の動かし方ができる環境が必要なんじゃないかと思うのであります。

ストレッチ教室に来た兄弟

ストレッチ教室に来た兄弟

昔々(9年前)、ストレッチ教室を開催していた頃にお母さんと一緒に参加してくれた兄弟。二人共リトルリーグに参加していて野球には自信がありそうでしたが、なんとこの姿勢↓になれませんでした。

グラグラしちゃって床から手を離せない。確か小学3年生と5年生の兄弟でしたが当時のワタクシには結構な衝撃でした。(お陰で今もネタになります)

親御さんは、我が子の運動不足や体力向上に気とお金を使って野球やサッカーを習いに行かせるんだと思いますが、特定のスポーツだけ出来るようになっても、生きていく上で必要な体性感覚は案外身につかないのかもしれません。

幼少期にする様々な体験の重要さに気付き、自然幼稚園とか森のようちえんとかへ登園させる親御さんも増えているようですが、卒園後、公立小学校へ入学してあまりのつまらなさで不登校になるという話もわりと聞きます。

「わざわざ」することにはいつしか終りが来るので、知育も体育も日々の当たり前な生活の中で培ってゆくのが良いと思うのです。培う=土(つち)養(かう)。本当に身に付くのって生活に根付いたものなんじゃないでしょうか。

6年間毎日6km歩いてた

お山歩き(トレッキングとも言う)をはじめた6年前。最初は自分の体のダメっぷりに呆れましたけれど、回数を重ねるうちにドンドン慣れる体に感心したり神秘を感じたりしておりました。

丹沢の低山にすっかり慣れたあたりで山へ分け入る回数は年2回ほどまでに減りましたが、当初のようなキツさはまるで感じないことにもまた感心。

「身体って結構記憶してくれるんだなぁ」

などとぼんやり思っていましたが、子どもの頃めっちゃ歩いていた事を不意に思い出しました。

小学校の6年間、学校までの片道3km弱を毎日寄り道しながら歩いてました。
帰宅後はカバンだけおいてまた外出。同級生や幼馴染と暗くなるまで駆け回って遊んでおりました。

昭和の少年。左ワタクシ、右は近所のガキ大将

当時は子どもながらに迷惑でしかなかった自宅の場所ですが、お陰で私の身体は培われたんじゃないかと今更感謝しております。ありがとう、藤沢のチベット。

ゴールデンエイジ!12歳までの体育がその後の人生を左右する

ゴールデンエイジでググると

ゴールデンエイジとは、子供の身体能力、運動能力が著しく発達する時期のことです。 具体的には5~12歳(年長~小学6年生)の期間。 体の動かし方、動作、技術を短時間で覚えることができる、一生に一度だけの貴重な年代をゴールデンエイジと呼びます。

と、出てきます。
いわゆる「身体で覚える」が圧倒的に早いのが5~12歳ごろ。この期間に、脳と神経と筋肉を様々な使い方で連携・協調させておくことがとても大事なのです。

一度出来上がってしまったものを後から修正するのはとても大変。
だから、骨も筋肉も神経も出来上がる前のゴールデンエイジ期にしっかり構築したい。特に神経系は12歳頃までで大人並に発達すると言われているので、この年頃に何をやっているか、どんな身体の使い方をしているかがその後の人生を大きく左右します。

筋肉は神経からの入力がなければ動きませんし、神経とてちゃんと通電してなかったら使い物になりません。ゴールデンエイジ期にやってなかったら一生できない・・・わけではありませんけれど、身体に刻まれた記憶があるかないか、昔とった杵柄があるかないかは明確な差を生むでしょう。
とにかくワタクシは、小学6年間沢山歩いて・遊んでいて良かったなぁと、50半ばにして思っております。

記憶する筋肉【マッスルメモリー】

2年ほど前↑大脳新皮質の大半は運動野と感覚野が占めるので、しっかり感じて体を動かさないと脳みそ腐りますよーってことを書きました。処理能力の高い脳が欲しいなら、体の隅々まで感じて動かしておきましょうと。

そうやって動いた運動の記憶は圧縮されて海馬や大脳新皮質に収納されることがわかっていますが、筋肉そのものが記憶する「マッスルメモリー」という概念がにわかに脚光を浴びています。

今のところ、筋トレを休んでも再開するとすぐ元に戻る(というかより肥大する)ことに着目した研究が盛んなようで、どれくらいの期間記憶されるのかなどの研究はまだまだなようですけれど、神経と筋肉の協調が構築されるゴールデンエイジの期間に書き込まれたマッスルメモリーは一生残るんじゃないかと、私は思います。

それくらいゴールデンは凄い。たぶん。

大人になってからもマッスルにメモリーさせることは可能ですが、めちゃくちゃ時間がかかりますよね。ワタクシの場合、新しいフレーズを手が覚えるまでの時間は若い頃の何十倍も掛かってます。

5歳~12歳。ゴールデンエイジ期にマッスルメモリーを増やしておくと、大人になってからの択肢がきっと広がりますよ!

○○教室で安心しないで!子どもの体育に必要なこと

骨格筋は400程もあります。ひとつの筋肉がひとつの作用しかしないのならまだいいのですが、ひとつの筋肉がいくつもの作用を行うのが事実なので、プログラミングされた○○運動や特定のスポーツだけでは神経と筋肉の教育に不十分。400もある骨格筋を満遍なく様々な作用で動かせるようメモリーするには、相当色々なシチュエーションでの動作が必要です。

何をやれば良いという話ではなく要素は多ければ多いほどいいという話。そこに正解はありません。

プロのスポーツ選手を目指すなら特化した能力が必要かもしれませんけれど、健康的に活動できる人になるなら特化した身体よりも器用な身体が良い。やりたいと思ったことがわりとすぐに出来るわけですからね。
(実際プロのスポーツ選手は色々やってますけどね)

筋力や持久力といった『身体能力』はあとからでもある程度なんとかなりますが、身体の扱い方を左右する『運動能力』はゴールデンエイジ期に培われてしまうので、大人になってから運動音痴を解消するのはかなり大変だと思います。

歩く、走る、飛ぶ、登る、下る、泳ぐ、転がる、滑る、這う、バランスを取る、もぐる、持つ、押す、引く、握る、叩く、蹴る、投げる・・・e.t.c.
危ないとか汚いとか、大人が勝手に判断をして子どもを遠ざけてしまっていることが沢山ある世の中ですが、できるだけ沢山の動作をできるだけ生活の中でおこなえる環境を、子どもに与えてあげて欲しいと思います。

野外で走り回ったりしにくい都会にお住まいなら、お家のことをドンドンお手伝いしてもらったら良いんじゃないでしょうか。家事って結構いろんな動作ありますからね。

まとめ

5~12歳頃までのゴールデンエイジ期に、どれだけ沢山のマッスルメモリーを残せるかが大人になった時の身体を左右します。

筋肉も神経も未発達な子どもに運動音痴はいません。発達期に運動するかどうかが運動音痴になるかどうかの分かれ目です。本人の「好き」が明確になるまでは、競技などの特別な運動よりも生活の中で様々な動作ができるよう環境に配慮しましょう。

畑を生活の一部にしたい人は是非一度体験にいらしてください。今なら思う存分草刈りできますw。あ、釣りを生活の一部にしたいという方もご相談に乗れます。遠慮なくどうぞ。


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書いている人

パンチ伊藤
あっとう言う間に整体師歴19年。現役で施術する傍ら小さな整体塾を主宰しています。当たり前な解剖生理と簡単な物理を繋いだわかりやすい身体の話が得意。釣り/山/島/音楽/映画/生きもの/が好き。2020年から自然農の畑やってます。

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