手力整体塾@からだ応援団のパンチ伊藤です。
今回のエントリーは、足回りのあんなトラブルこんなトラブルを解消するとまことしやかに伝え継がれている『タオルギャザー』実態を暴きます!
タオルギャザーで土踏まず作れるならお猿さんに土踏まずあるでしょってはなし
このページの目次
まるでファンタジー『タオルギャザー伝説』
「集める・よせる」を意味するギャザーは一般的にヒダを織りなす装飾縫いを表しますが、「タオルギャザー」というと足底筋を鍛えるために足の趾でタオルを引き寄せる運動を指します。
ワタクシが整体師になった20年ほど前には足運動のド定番として既に君臨していて、未だなんの疑問も持たずに提案されることが良くあります。
ワタクシ自身も10数年ほど前まではたまに提案していましたけれど、足~脚周りのことをよくよく調べ様々な角度から繋げ直した結果、タオルギャザーに期待しすぎなんじゃないかしらと思って改めて考察した次第です。
タオルギャザーへの過剰な期待『扁平足解消』
扁平足、浮趾、外反母趾、内反小趾、開張足、足底筋膜炎、転倒防止・・・・タオルギャザーが提案されるシチュエーションはかくも沢山ありますが実際の運動は趾の曲げ伸ばし。足でのグーを繰り返す運動です。だから神経と筋肉の協調性が回復して趾が動かしやすくなったり足裏に沢山ある固有受容器の感度が上がったりはすると思います。んが、あまりにも期待が多すぎる。中でも『扁平足解消』はまったく根拠のない妄想と言えます。決定的な証拠はコレ↓
お猿さんの足跡です。
猿も種類によって多少違うので平均的なイメージをザックリと作ったものですが、何を言いたいかと言うと、足で木に掴まってぶら下がれるほど足底の筋(趾の屈筋)が発達しているお猿の足に土踏まずは無いということ。
土踏まずを持ち上げているのは足底の筋じゃないことがお猿の足裏を見れば一目瞭然。「タオルギャザーで足底の筋肉を鍛えたら土踏まずが出来る」というのは完全な妄想です。
逆に、土踏まずがある動物を探してみても面白いことがわかります。
土踏まずって完全な二足直立歩行をする人間だけにしか無いのです。ってことは、完全な二足直立歩行をしていないと無くなるということだと思うのですがあなたはどう思いますか?
タオルギャザーへの過剰な期待『外反母趾解消』
パーしながらグーは出来ません。指を曲げると、指先は自然と真ん中に集まるように出来ています。
足の趾も同様です。
グーし過ぎ。つまり指先で地面を押し過ぎていると指の先は真ん中に向かって集まりだす事になります。結果が外反母趾や内反小趾です。
中足骨の遠位端(MP関節)が出っ張って痛いのでそっちに気を取られますが、指先が真ん中に集まっていることのほうが重要です。
変位している方向にあえて動かしすという手段も無い訳ではありませんが『鍛える』のとは全く別。一生懸命グーを繰り返して趾の屈筋を鍛えるタオルギャザーは明らかに逆効果です。繰り返すならグーじゃなくパー!
過剰な期待『足底筋膜炎』
足底筋膜炎と呼ばれる踵の痛みは、踵に停止する筋肉のコリが原因で生じることが大半です。
踵に停止する筋肉、つまりフクラハギがコルのはつま先で地面を押し過ぎているから。立っている時の重心がちょっと前よりだったり、歩くとき必要以上につま先で地面を蹴っていたりすればフクラハギが凝ります。
結果いつも上方へ引っ張られている踵を地面にしっかり接地するシチュエーションで痛みが出るようになるのです。
タオルギャザーでグーを鍛えても全く無意味だし、指先で地面を押す癖がついたらやっぱり逆効果です。
タオルギャザーに期待できること
先にも書きましたが、足趾を良く動かすことで神経と筋肉の協調が回復することは十分期待できます。結果、血行が回復して冷えの解消や転倒防止など効果が望めるものもあると思います。
タオルギャザーが悪いわけじゃなく、機能解剖学的視点を差し置いてアレもコレも万能的に効く!などと吹聴することが困りものなのです。
タオルギャザーに限らずファンタジーみたいな運動療法は星の数ほどある。専門家を謳っているからといって話を鵜呑みにすると逆効果になるものが沢山あります。だから2週間ほど自分で試して好ましい変化があるかどうかで判断するしかありませんけれど、機能解剖を熟知していれば有用か無用かは大抵判断できますし、アレンジも出来るようになります。
散々ダメ出ししたタオルギャザーにしても、座位でやるか立位でやるかによって意味が全く変わる。前者は単なるグー運動ですが、後者は踵に乗る訓練になります。
手段は使い方と出しどころが全てです。
本に書いてあることや何処かの先生に習ったことを伝言ゲームの様に伝え広めるのではなく、機能解剖と物理を繋げ、尚且つ柔軟な思考で身体と繋げられるようになりましょう。
知らないと損しかない機能解剖
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機能解剖の丸暗記は意味がない。
大切なのは「なぜ」を繋ぐこと。
物理や自然の摂理、他の生き物のことにも視野を広げると、
身体の「なぜ」が繋がりだします。
死ぬまで使う自分の身体のことを愉しく学びましょう。