古びたマンションの小さな整体の学校は、畳とフローリングの6畳2間。座学は直で畳に座っておこない、施術は薄いマットを敷いての座揉み。そんな手力整体塾で塾生のひとりが皆の座り方を見比べて、胡座を組んだ時の脚の違いを指摘してくれたので、授業で話を膨らませてみました。

右が上?左が上?

パンツを履いたり靴を脱いだり段差を上ったり、無意識の動作で最初の脚が人それぞれ決まっているように、無意識に胡座をかいた時上になる脚も決まっています。先日の教室では8人中6人が左上。2人が右上。この段階で『なぜか?』を考えてもほぼ妄想なので、何度か立ったり座ったりを繰り返してもらいました。
結果は過程ありき。過程がみえれば結果はおのずとついてくるのです。

どちらの脚を残すか。どちらの脚から立つか

どちらが上になるかは、立位から胡座へなる時にどちらの脚を先にたたむか・残すかが大きな要因を占めます。

  • どちらの脚(股関節・膝関節・足関節)がパワフルか
  • どちらの脚に柔軟性があるか
  • どちらに重心が寄りやすいか

などなど、様々な理由が重なって、先にたたむ脚・残す脚が決まる。するってーと、上になる脚・下になる脚も決まるわけです。

胡座で座る時の連動

骨格は筋肉が動かして筋肉は動きで作る。大切なのは過程です。わかりきった事実だけ繋ぐように心掛けましょう。ちなみに反対脚だと↓

胡座で座る時の連動

こうやって冷静に見ると脚(下肢)の違いだけじゃないことにも気付きます。視点と視野を変えたら上半身も違うことが見えるはずです。
(まとめたら当たり前過ぎることだけれど現場で自ら気付ける人はけして多くない。覚えるんじゃなく、視点・視野・視座を操って自分で気付けるように!)

幼少の頃から武道を嗜む新入生だけは、手を着かず丹田を支点の上からずらさないように座ったり立ったりしていました。流石です。

胡座をかく時の連動その3
胡座をかく時の連動その3

身体は連動します

残す脚の対角にある手を床に着くのが一応理想の良くある連動です。
利き脚・軸脚は多くの場合利き手に影響されていると思いますが、怪我や事故など何かの拍子に脚が変われば着く手も変わり、腕や肩を痛めて手を着けなくなれば脚も入れ替わります。

ちなみに教室にいた8人は全員右利き。右手を着いて左脚を残す人が多かったわけですが、ひとりだけ同側の手脚になっている人がいましたね。そういえば脚のコリに左右差が目立っていたようでした。

極論で単純化する癖があると『重たい肝臓が右にあるので』『右脚が短いから』『骨盤が歪んでいるから』などなどにとらわれてしまいがちですが、物事そんなに単純じゃないのです。残念ながら。

ちなみに、胡座とは「脚を組んで楽に座る」が転じているそうで、「権力に胡座をかく」など楽して図々しく構える場合にも使われます。「王座の椅子に座る」のは楽な感じがませんが胡座は楽なのです。

楽すると生じる連作障害

同じ畑で同じ野菜(同じ科の野菜)を育て続けていると、土壌の成分にアンバランスが生じて、病気や虫、育成不良などの“連作障害”が起こります。

とってもわかりやすい連作障害まとめ↓

身体も同じ。姿勢や動作の“連作障害”が痛みや歪みです。

何かの拍子に右手が着けなくなれば、左脚を残せなくなるのは簡単に想像がつくと思います。
問題はいつも左脚を残していると何が生じるか。
偏って使っている左脚が壊れると思いきや、実際には使っていない右脚の膝や股関節、着いていない左腕の肩や手首が壊れていく事の方が多いと思います。毎日乗っている車は壊れないけど、たまにしか乗らないとすぐ壊れるみたいな感じです。

胡座だけじゃありません。
何気なくパンツを履く、靴を脱ぐ、起き上がる・・・・・
右足からとか左足からとか考えず、条件反射的に何気なく動いている日常のルーチンにこそ、痛みの元が隠れているのです。だからまずは気付くこと。気付いたら変えてみること。それが大事。

ワンルームなどはもちろんのこと家から畳の部屋が姿を消してきて、我ら日本人も椅子やカウチに座る機会が増え続けております。手力整体塾に入塾する新入生も、畳で座学を受けるのをシンドそうにする人が多いです(次第になれますが)。

黒船に乗ってやって来た西洋人は、畳からすっくと立ち上がる極東の人を見てビビったそうです。(「よっこらしょ」じゃなく「すっく」とね)
畑仕事も遠ざかり便器も様式になり畳まで無くなったら、ライバルばかりが増えて大変な気がします。

重心が低く下半身がドッシリと強かったのが日本人。そのDNAは今もボク達の身体に受け継がれているので活かさない手はないと思います。
歳をとっても椅子には座れます。逆に言えば、椅子に座るのは歳をとってからで良いのです。
畳に座る。で、あまり左右差が開き過ぎないようたまには意識的に脚を変えてみる。少々のギャップは個性になりますが、条件反射的ルーチンで開きすぎたギャップは身体にとってストレスになりますから。

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