誰が呼んだか外反母趾。
先日、外反母趾の生理と原因の話をしていて少し困惑した表情の塾生がいたのでここでまとめます。
母趾の中足趾節関節(MP関節)が出っぱってきて、場合によっては地面に足を着けないほどの痛みを伴う外反母趾。先の細いハイヒールなどが槍玉に挙げられますが、ハッキリ申し上げて履物との因果関係は認められません。『鼻緒が良い』などというのも都市伝説。下駄ばかり履いていた明治生まれの祖父は強烈な外反母趾でした。『遺伝』などという話も散見しますがそんな事いったら元も子もありません。
母趾の向きを力任せに矯正するようなテーピングやサポーターに疑問を感じている方、諦めたくない方はどうか最後まで読んでみて下さい。(ちなみに私のあこがれ鶴瓶さんも外反母趾ですね)
足の生理解剖
まず足をマクロに見て何が起っているかというと、横アーチを維持する筋の弱化と母趾の内転です・・・はい、ややこしいですね。
足裏には横アーチと縦アーチ(土踏まず)があって、直立しているときは、母子球・小指球・踵の三点で体重を支えるのが理想です。
上記三点で体重を支えると体重が掛かったり掛からなかったりする事で足底筋の腱がバネ効果を発揮、足全体がポンプして『第二の心臓』と呼ばれるわけです。
歩く時もこの三点が(踵→小指球→母子球)と順番に接地して、最終的に母趾で地面を蹴ります。
リウマチなどの疾患は別として、骨格の歪みや骨・関節の変性は筋の偏りが引き起こします。偏らないよう全ての筋を満遍なく使う事が大切。そのためには塾生がまとめてくれたように爪先を少し外に向けて立つ事、その向きのまま歩く事です。
つま先の向きだけを見て『ガニ股』と称す人がいますが、膝がきちんと伸びていればけっしてガニ股じゃありませんのでご安心ください。
偏った使い方をした結果、横アーチを維持する骨間筋や母趾内転筋が弱り足が横へ広がるわけです(足の内在筋一覧はこちら>>>)。
んが、本当の問題は母趾が内転していく事。外反母趾なのに内転、まったく・・・名付け親はどこのどいつだ。
解剖学的には、第1・第2中足骨の骨間を軸として開くのが足趾の外転、閉じるのが内転です。外反母趾の“外反”は脊柱を軸としてみているのでしょうが何ともヘンテコな感じなわけです。
外反母趾を解剖生理に則り正しく言えば『内転母趾』です。正しいだけじゃつまらないので『放浪母趾』なんてどうでしょうね。地面を蹴れなくて彷徨う母趾。原因まで表してて良いと思いますけど。
爪先が正面から内側へ向いた状態で立ち・歩くことで、足底と趾の筋に偏りが生じて変性したものが外反母趾(便宜上)です。小指側で地面を蹴ってるから本来地面をけるはずの母趾が仕事を求めて小指側へ向かうのです。
下駄(二枚歯)で歩くと爪先は正面を向いてしまう。つまり履物にリスクが有るとすれば尖った靴より下駄のほうが余程リスキー。『鼻緒が良い』などという都市伝説に騙されませんように。
爪先が本来の向き(少し外向き)なら、『母趾で蹴る』などとわざわざ考えなくても勝手に地面を蹴れるのですよ!
道具は使い方で形を変えます。正しく使って役割を全うしていれば身体は早々に壊れません。
履物よりも歩き方・身体の使い方の問題。上記写真では金髪のオネエサンよりスーツのおじさんの方が外反母趾リスク高し。
施術の狙いは当然母趾・・・・・ではなく、下腿と股関節になります。ってことはもちろんアッチやコッチも確認が必要です。
新たな気付きがあったので改めてまとめました↓