英語だと Strained back とか acute low back pain 言うらしいぎっくり腰。ヨーロッパでは「魔女の一撃」と称されそのままドイツ語で Hexenschuss とも言われるんだそうな(なんて読むのか知らん)。
トリガーポイント講座の際にぎっくり腰の話をしたので、力いっぱいまとめてYMYL領域に挑んでみようと思います。
ぎっくり腰=急性腰痛症=突発的な腰痛全て
ぎっくり腰は少し前まで【腰部捻挫】で統一されていましたが、捻挫に限らず様々な状態のぎっくり腰(風)が有るのが事実なので、ここ数年はどうやら【急性腰痛症】と呼ばれるようになったようです。
その言葉からもわかるように急な腰痛は全て含まれます。ぎっくり腰と言おうが急性腰痛症と言おうが診断名でもなければ傷病名でもなく、ましてや原因を言い表しているわけでもなく「なんだかわからないけど急な腰痛」と言っているに過ぎません。この辺は坐骨神経痛とか五十肩とかも一緒ですね。
で、今回のエントリを書くに当たり久しぶりに『ぎっくり腰』で検索をかけてみたらGoogle先生が思わぬ回答をくださいました。
腰をひねったり、中腰で重いものを持ったりした時に、腰部に激痛がはしって起こる症状。椎間板(ついかんばん)ヘルニアなどが原因。
YMYLに関するサイトへ厳しい処置をしたわりに、ご自身は随分と思い切った事を言ってくださる。もちろん直ぐ様フィードバックを送っておきましたとも。「定義が不適切である」を選択してね。
大体、先生が答えだしたらネット上のサイトは要らなくなっちゃうだろうが。程々にしといて頂戴。
急性腰痛を引き起こす可能性があるもの
腎臓・尿路など各種結石
実はワタクシの母も兄も石持ち。はじめて痛みが出た兄はぎっくり腰と勘違いしてワタクシに施術依頼をよこしました。(電話で様子を聞いて病院送りにしてやしましたw)
痛み始めで判断を間違えるかも知れないけれど、時間の経過とともにドンドン痛くなる事が多いので普通は気付くはずです。
膵炎・腎盂腎炎・癌・動脈破裂などなど
後腹膜臓器に炎症や悪性腫瘍などを生じた場合、急性腰痛を引き起こすことがあります。
ウイルス性関節炎
ウイルス性仙腸関節炎の人を実際に診たことがあります。
テニスの最中に痛みだして病院で検査もしたというので油断してしまいましたが、2度目の施術を途中で切り上げて再度精査をお願いしたところ、前述通りの診断が下り1ヶ月近く入院して点滴を打ったそう。前例はあまり無いようです。
椎体圧迫骨折
腰と背中の境目、胸腰移行部と呼ばれる辺りの椎体が潰れる骨折。骨にしっかりと圧が掛かる重力下での運動不足やビタミンD(日光で生成可)不足などで骨が弱くなっていると軽いお辞儀程度で生じます。
骨折した後も負担を掛けなければ痛くない場合があるので、通常のぎっくり腰と間違えることがあります。検査は棘突起に指を置いてその上から巧打。ピンスポットでズキーーンと痛ければ怪しいです。
病院でも対処できることは殆ど無いので潰れたなりに固まるまでは我慢しかありませんが、損傷箇所周辺への負担を減らす処置をしないと、続けざまに隣の椎体を骨折しかねません。動きを変えるためにコリを取り癖を正していきましょう。
腰椎椎間板ヘルニア?
圧迫骨折同様周辺の軟部組織が痛みますが、ヘルニアは結果であって過程ではありません。ヘルニアがぎっくり腰の原因なのではなく、ぎっくり腰がヘルニアの原因になり得るということです。
椎間板ヘルニアを生じたとしても腰痛が出るとは限らず、しかも椎間板から突出しているものは水分なので、押し出す力が引いいずれ引っ込むか乾きます。椎間板ヘルニアをはじめとする脊柱管狭窄で唯一急を要するのは麻痺が起こる馬尾症候群を生じた場合だけです。
若い人の椎間板は瑞々しく張りがあるのでヘルニアを生じやすいけれど、年令を重ねるとパサパサに乾いて飛び出すものも無くなります。
腰部捻挫
捻挫は、関節が可動範囲を超えて動いた場合に起こる靭帯や筋・腱の損傷です。
足首や手首は実際に目で見てわかる動き過ぎで捻挫を生じますが、ワタクシの拙い経験で言わせてもらえば、目で見てわかるほど腰部を捻り過ぎたり動かし過ぎたりして捻挫することは滅多にありません。
整体院にやって来るぎっくり腰の殆どは腸腰筋の単なる過緊張、痙攣です。フクラハギが攣るのと同じような状態が腸腰筋で起きているのです。
足が攣った時安静にする人はいませんよね?痛いのを我慢して慌てて引き伸ばすはずです。ただコレと同じようなことを腸腰筋に施すには、腸腰筋と相まって縮こまっている筋肉を前もって緩めるなど経験と度胸と信頼が必要になります。
稀ではありますが、目には見えない動かし過ぎで腰部が本当に捻挫することもあります。お恥ずかしい話ワタクシが経験したのがまさにソレ。
拮抗筋の緊張状態と腸腰筋の過緊張が重なれば、下部腰椎が本来動くはずない動き方をして、椎骨同士を繋ぐ細かな靭帯や筋が損傷する捻挫が腰でも起こるわけです。
急な腰痛はまず内科!
急性腰痛を引き起こす可能性のあるものの内上記3つは内科学的疾患。Wikipediaの急性腰痛症のページにも
腰痛の患者を見たらまずは内科的な疾患の否定を行うべきである。
と、まるでワタクシのブログを読んだかのような記載がありますが、この点をしっかり実践してくれているお医者さんは残念ながら滅多におりません。ので、自分でしっかり判断して病院や科目を選ばなきゃなりません。
見分け方は案外簡単。
- 安静時痛
どんな体勢をとっても痛い、痛みが消える姿勢が無い、お風呂に浸かっていても痛い。 - 思い当たるフシがない
きっかけが思い当たらない。(気づいてない場合は多々ある) - だんだん痛みが増す
筋骨格系の損傷なら日数の経過とともに痛みは引いてきます。
この3点に合致しているようなら迷わず内科へ。そうでなくてもまずは内科的検査を受ければ安心です。ただ、先ほども言ったようにお医者さんが把握してないので変な顔されるかも知れませんが。
内科領域じゃない急性腰痛は腸腰筋の過緊張
そんなこんなで急性腰痛には様々なものがありますが、内科領域じゃないものはぎっくり腰で腸腰筋の過緊張。程度の強弱はあるにせよ【腰部捻挫】という表現がやっぱりしっくり来るように思います。
で、そんなぎっくり腰になる要因もまた様々です。
重いものより軽いもの
重いものは身構えます。アメリカでは重い荷物に『Bend your knees』の札が付けられるらしい。だからむしろ紙切れ1枚とか拾う際におかしな体勢になって重力に梃子が加わることが怖いのです。高くてちょっと向こうにあるものへ手を伸ばすなんてのも同様、腰部への負担は想像以上に強烈。
とにかく、レバレッジの掛かった重力に押されると凄まじい力が身体にかかる事を知っておきましょう。
クシャミ・排便
日頃から腹圧が高い人の場合、マックス級に腹圧が高まるクシャミや排便でぎっくり腰になる場合があります。お腹は柔らかすぎても硬すぎても宜しく無いのです。
勢い・乱暴な動作
ゆっくり丁寧に動くには重心をしっかりコントロールする必要があります。逆に、勢いで動く乱暴な動作だと重心移動がないがしろになりがち。結果思わぬ負担が腰にかかりやすくなります。ゆっくり丁寧に動いて損する事はまずありません。
心的ストレス
また拙い経験で言わせてもらえば、運動不足やケア不足など肉体的な血行不良にプラスして、心的ストレスが生じた際にぎっくり腰になる人が大半です。心的ストレスで生じる血行不良はダントツに激しい。現代社会でストレスを無くす事は難しいけれど、上手くバランスとっていきたいものです。
ぎっくり腰と言えど身体からのサイン
ぎっくり腰になって姿勢が悪くなる人はまずいません。いわゆる良い姿勢にしていれば痛くないのです。動作もしかり、変に腰を曲げようとすれば痛むけれど、体幹ができてる人のように動いていれば痛くない。コルセット巻いた時と同じ動作になるとも言えます。
つまりぎっくり腰は【姿勢や動作を正せ】という自己防衛機能なのであります。もしぎっくり腰にならなかったら、いきなりもっととんでもない壊れ方をするってこと。そう思うとなんだかちょっと有り難いじゃありませんか。
先にも書きましたが、捻挫レベルだったとしても腸腰筋の過緊張から生じていることなので、足が攣った時同様直ぐ様伸ばしたほうが懸命です。熱感など炎症のサインが出ていた数分冷やすのはありですが、冷やしたり安静にしたりを長引かせたら治りはどんどん遅くなるので注意しましょう。
再発防止に腹筋!なんて言う人はもうあんまり居ないと思いますが、間違ってもいわゆる腹筋などしないように。やるならスクワットですよ!
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