

手力整体塾@からだ応援団のパンチ伊藤です。
整体院へ行ってみたら、痛いところとはかけ離れたところを触られた!という体験をされた方はきっと多いと思います。しかもなんだか調子良くなったりしてアレは一体何をしているのか?そんな疑問にお答えします。
不思議なようで実は当たり前な整体のおはなし
ワタクシ自身、20数年前にはじめて受けた療法がまさにそんな感じ。背中が痛くて来たのになんでこの人は腕やら脚に触っているのか、しかもなんでそんなところが驚くほど痛いのか、さっぱり意味がわかりませんでした。
んが、身体は相当変化したようで帰りしなの歩きにくさにまた驚き!手だけで身体がこんなにも変わるのかと感心したのが、この世界に入るきっかけでした。この時の先生は後に師匠となり、20年たった今もあの時の驚きを共有したくて整体師を続けているのであります。
整体は医療でも医業類似行為でもありません
医療は基本的に傷病ありき。健康な人が対象になることはありませんから当然ですが、医学・病理学をベースに傷病を探して治療するのが医療です。
医業類似行為は鍼灸あん摩マッサージ指圧師・柔道整復師が行うそれぞれの施術です。
診断行為は医師しかできませんので、身体の何処かが痛かったり不調を感じていたりするならとにかく一度病院へ行って一通りの検査を受けるのが鉄則。原因が特定されきちんとした診断がつくとは限りませんけれど、万が一を思ったら必ず医師の診断を受けるべきです。
幸いこれといった傷病が見つからず、湿布と痛み止めを出されたならもう病院へ行く必要はありません。
整体やカイロ、◯◯療法などはその他の医業類似行為とする向きもありますが、日本の法律ではぶっちゃけ慰安・リラクゼーションの範疇。だけれどコンビニよりも沢山あって無くならないのには理由があります。
腰痛の85%は非特異的腰痛(原因不明)
厚労省の資料にあるように腰痛の85%は非特異的腰痛。腰痛症などいうボヤッとした診断は付くものの原因が特定できず治療法ない。健康保険が使えるのは正直ナゾです。
原因不明と言われると不安に思う方が多いようですが、見方を変えれば『健康体』というお墨付きをもらったようなもの。傷病が見つからないんだから安心して良いのです。
治すところがない健康体は医療の対象になりません。
だけど何だか具合が良くないし腰やら膝やらアチコチが痛い・・・そんな人達、東洋医学で言うところの『未病』の人が無数にいるのでコンビニよりも多くの整体院・リラクゼーションが存在するわけです。
民間療法ゆえ治療行為を行えないのはもちろんですが、そもそも治すところがない人達が対象。だから身体に危害を加えないという条件で手技を施すこと事が許されています。
広告ガイドライン改定以来、整体やリラクゼーションに対する風当たりが強くなってきていますが、むしろ標準医療で原因が特定できない腰痛や膝痛を医療(保険)の対象から外したほうが健全じゃないですかね?なんせ我が国の医療費は46兆 6,967億円(22年)。うち湿布だけで1300億円!(税収は70兆)明らかに無駄遣いですからね。
整体の目的は『整った身体』
西洋医療を根底に据える標準医療の対象にされない『未病』の人が整体院の対象。痛いトコがあってもそこに傷病は見当たらないので悪いトコなわけじゃない。痛いところへ負担が集中した結果、警告として痛みという感覚が生じているので、ソコへ負担が集中してしまう理由を探し『整った身体』へ戻していくのが整体の本分です。
どうです?痛いところに触る必要ないでしょ?
一見不思議なんだけれど、何がどうして痛いのか、痛みの生理と体の仕組みをきちんと理解していたなら極当たり前なことなのです。
ただし、何処が負担の元になっているのか探し出すのは簡単ではありません。
症状とかけ離れたところを触って身体を変化させる手段は、トリガーポイント療法とか筋筋膜療法とかツボとか経絡とか古くから色々とありますが、症状別にいちいち覚えないといけないのが難点。かく言うワタクシも色々と取り組み臨床を重ねましたが、20年を経た今は【人体のそもそもを徹底して学ぶ】事が何よりも重要だと思っています。
人体はどういう仕組で何処がどれくらいどうやって動くのか。そもそもの身体と眼の前にいる身体を比較する事ができたなら、わざわざ教わったり調べたりしなくても負担の元を探せるようになります。
全ての筋は全ての動作に作用する

先日の教室で「左を向いたら右の頚から肩にかけて痛い」という塾生がいました。
頚の動きに伴って生じる痛みなのでその動きの拮抗筋を狙う事が多いと思いますが、少しだけ視野を広げて腕~脇にかけて緩めてもらったところ難なく解消しました。
痛いところは悪いところではありません。むしろ人一倍頑張っているところです。ソコばかりが頑張ればいつしか筋肉のアンバランスが生じます。そうやって身体は歪んでくるのです。
痛みは危険を知らせてくれる大切な感覚ですが、痛みの部位に囚われていては本質を見失います。我々が目指すのはあくまでも「整った身体」。負担が集中してしまう原因を探しましょう。
身体のパーツが部分的に動作することは本来まずありません。
「全ての筋は全ての動作に作用する」と言っても良いくらい、細かな動作も全身が連動して動きます。
手っ取り早く結果を出そうと急がずに、純粋な機能解剖をじっくり歩くように学んでほしいと思います。【そもそも人体はどんな仕組みで、いつ・何処が・どれくらい・どうやって動くのか】考察のベースはそれだけで良いのです。
とにかく、症状として痛みを感じているところは悪いとこじゃなくめちゃ頑張ってるとこ。そこを揉んだり叩いたり引っ張ったり鍛えたりするのは、頑張っている人をムチで打って更に頑張らせる愚行です。少しは頭使いましょうね。

関節がどこにあって、どの方向にどれくらい動くのか
それすら知らずに身体を変えようとしてない?