手力整体塾@からだ応援団のパンチ伊藤です。
今回は、外反母趾や角質など足のトラブルはもちろん、膝痛・O脚など脚のトラブルの多くも解消できる!かもしれない『進化と環境と足』の切っても切れない壮大なお話。
当たり前な事実だけを繋いだらとんでもない大発見がっ!?
進化と環境と足
突然ですが、骨は破骨細胞と骨芽細胞によって毎日破壊と生成が繰り返され、姿勢や動作といった身体の使い方に合わせて形を変え続けています。環境に合わせた骨格の進化は意外と短いスパンで進んでいるのです。
外反母趾やO脚などの変化も使い方に合わせた結果の形。変化の最中に痛みを伴うのは、使い方が間違っていることを知らせてくれる有り難いサイン。
人間の体は何故こういう形になっているのか、どんな使い方のためにこの形で生まれるのか。
人間の体だけを穴が開くほど観察してもこのテーマを考察するには不十分ですが、様々な生き物の体を環境と共に比較するうちに気付いてしまった驚き桃の木の大発見を初公開です。
人間は蹠行。これは当ブログでも何度も取り上げている公然の取説です。
なぜ蹠行なのかについても色々な角度から既に考察していましたが、蹠行・趾行・蹄行それぞれの足とそれぞれが暮らす環境を照らし合わせてみたら新たな事実が浮かび上がってきました。
蹠行・趾行・蹄行の足跡観察
まずはいろんな動物の足跡をご覧ください。
これだけでも見る人が見たら衝撃の事実に気づくはず。わかりやすく分類してみましょう。
こうすると気付くでしょうか。
蹄行は蹄の数で更に奇蹄目・偶蹄目に分けられたり、踵までは接地しないけれど五本指が足跡につくアナグマ、イタチ、テンは半蹠行に分けられたります。
踵を接地するのが【蹠行】だとされていますが、五本指を接地するのもまた蹠行の特徴だということです。趾行のタヌキやキツネ、もちろんイヌ、ネコも一応前足に母指は存在しますが地面から遠く離れて足跡には付きませんし、後ろ足の母趾は退化して痕跡しかありません。
踵が地面から離れれば離れるほど趾の数が減ってゆく。
コレ、凄い大発見だと思うのはワタクシだけでしょうか。
蹠行・趾行・蹄行の生活環境
続いてそれぞれがどんな環境で暮らしているのかを思い返してみましょう。
昔「野生の王国」を欠かさずに見ていた私としてはそれぞれの動物が暮らしている風景が脳裏に浮かんできますw。思わぬことが思わぬところで役立つもんです。
縄文時代の人間も含め、蹠行・半蹠行の動物は川や湖沼などの水辺で暮らしています。
水辺から離れ地面が硬くなるにしたがい、踵が地面から離れ趾の数が減っているように思うのですのいかがでしょうか。
ここで一旦3億7000万年ほど時代を遡ります。
水中で生命が誕生したことは皆さんご存知だと思いますが、では最初に陸へ上がった生き物は何だと思いますか?
もちろん未だ謎が多いところではありますが(そしてきっと解明されませんが)、足のような鰭(肉鰭にくき)を持つシーラカンスなどの魚類から、イクチオステガに代表される原始的な両生類になって陸上生活がはじまります。現代の両生類はカエルやイモリですが、彼らの足にはきちんと指が五本あって踵も接地しています。元祖両生類イクチオステガの後ろ足には指が七本もあったとされています。
指がたくさんあるのはヒレの名残。生活圏が水辺に近ければ近いほど接地面積の広い足が必要なことは事実として明らかでしょう。
先程の足跡+αを環境ごとに置き換えるとこんな感じ↓
左から、ワニ、イモリ、アライグマ、クマ、テン、キツネ、イノシシ、シカ。
カエルやイモリなどの両生類とワニやトカゲなどの爬虫類は歩き方で分類されていませんが、五本指だし(後ろ足はね)蹠行と言っても差し支えないような気がします。
蹠行は水辺のぬかるみを歩くためのも。二足歩行のためでも手を使うためでも無く、五本指と踵で接地面積をかせいで柔らかい地面でも足を取られないように歩くための構造と機能と言えるわけです。
イレギュラーなのがカバとゾウ。どちらも水辺にいる印象がとても強いですが草食の哺乳類なので踵は地面から離れています。ゾウの場合はカカトの下に脂肪(蹠枕)がいっぱいあって足跡はほぼまん丸なので事実上蹠行みたいなもの。(脂肪の中に骨がある説も)
カバは完全に踵が浮いて指は四本。足跡だけ見るとまるで巨大な犬か猫のようですが、『陸上では人の3~4倍のスピードで水分を失う』という性質もあって生活のほとんどは『水の中』。指の数や踵よりも水掻きの方が大事なのかもしれません。
【参考】
王子動物園
http://ojizoo.jp/zukan/html/0112007-a.htm円山動物園
https://www.city.sapporo.jp/zoo/hippopotamus/02.html
カバのようにちょっと想像が必要な動物もいるにはいますが、ここまでは概ね事実を繋げているだけです。だけれどなんだかとっても重要なことに近づいていると思いませんか。
足裏面積が小さいため泥濘に深くはまって抜け出せなくなる蹄行は、固く滑りやすい岩山などでは逆にグリップを発揮します。やっぱりそれぞれの環境に適応した形なのです。
人間の環境は・・・
以上の事実を踏まえると、【蹠行】という取説が付いている人間は、本来水辺の泥濘や柔らかな砂地に適応した身体であると結論できます。
踵と五本の指はその為にあるのに、固いところしか歩かないから踵も五本指も必要なくなる。足底ナントカ炎と称される痛みや外反母趾などの変性は環境に合わせた進化の過程ってことなんじゃないでしょうか。
実際、外反母趾の変性中に生じる痛みはつま先アゲアゲ運動で瞬時に和らぐことが多く、パワフルな背屈で踵を押し出すことができれば進行を止めることもできるので、蹠行を強いられる環境で暮らしていれば生じない変性だと思います。
拇指で蹴らなくて良い
以前にも書いていますが、
泥濘で足首を底屈させて一生懸命地面を蹴っても前へは進めません。
足首を底屈させるのは地面を蹴るためではなく足を抜くため。この動作を究極の域で実践しているのが「キリストトカゲ」の異名を持つ『バシリスク』です。百聞は一見にしかず!↓
程度は違えど、柔らかいところを歩くための構造と機能を持つ人間もバシリスクと同じように歩くはずなのに、硬い地面をつま先ばっかりで歩いているから構造に変化が生じるわけです。
外反母趾と履物の関係は都市伝説だと言い続けてきましたが、踵を接地できないハイヒールはやっぱりリスクがあるのかもしれませんし、下駄ばかり履いていた明治生まれの祖父が強烈な外反母趾だったのも、私の好きな鶴瓶師匠が外反母趾なのもの、【下駄】という硬い地面のせいなのかもしれませんね。
柔らかいところを裸足で歩いて蹠行を回復
人間が暮らす現代社会にはすっかり硬い地面しか無くなってしました。
それでも上手に蹠行できている人は外反母趾などに悩むことはないと思いますが、歩き方に自信がないなら、水辺の泥濘や柔らかな砂地を裸足で歩いてみてください。全然前に進めないか、進めるようになった時にはスネが痛いはずです。
柔らかい地面が近所にないなら、まずは徹底的にフクラハギのストレッチをしましょう。
洗面所にこういうやつ↑を置いておけば歯磨きしながらストレッチできます。
他にも必要なことはいくつかありますが『ストレッチボードに立っての歯磨き』ができない人には教えません。どうせやらないでしょ?
ココでさらにひとつ閃きました。足を無理やり矯正するような足底板じゃなく、泥濘に足を突っ込んでいるようなフニャフニャズブズブのインソールはどうでしょうね?地面の硬さに関係なく足を機能させられるかも?
まとめ
蹠行と指の数にハタと気がついたのをきっかけに3億7000万年前まで遡った壮大なブログになりましたが、想像や空想はせずに『事実を繋いだ』という点が重要です。(カバのくだりだけちょっと想像)
- 踵が地面から離れるほど趾が減ってゆく
- 外反母趾は趾行への変化過程(巻爪は鉤爪への変化過程!)
- 蹠行は水辺の柔らかな地面を歩くためのもの
などなど、ここに書いた事の大半はワタクシが『考えた』ことではなく『気付いた』こと。考えだしたらファンタジーになっちゃいますからね。人の身体にかかわるのにファンタジーではいけませぬ。
(Wikipediaの蹠行ページがファンタジーで萎えました。フォアフット走法推奨者が編集してるんじゃないでしょうかね)
とにかく、外反母趾はもちろん脚の症状や変形に悩んでいるなら、是非ともしっかりとした蹠行を目指してみてください。しっかりした蹠行のためには
- 踵をしっかり残して歩く(拇指で蹴らない)
- その為につま先は少し外向き(内向いていると背屈可動域が狭くなる)
- フクラハギをストレッチ!
- たまには柔らかい地面を裸足で歩く!
です。
ちなみに、蹠行を回復させると、ガサガサの踵や足底ナントカ炎やO脚や膝痛やとにかく下半身のあらゆる問題を解決できると思います。整体師歴18年で辿り着いた蹠行理論。これからもどんどん煮詰めていきます。
3600文字、長いブログを最後まで読んでいただきありがとうございました!
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