体の柔らかさ(関節可動域)に関与する5つの要素

手力整体塾@からだ応援団のパンチ伊藤です。
今回は「ストレッチ頑張っているのに一向に身体が柔らかくならい」とお嘆きのあなたを救うエントリです。

ストレッチを頑張っても体が柔らかくならない人へ

ラジオ体操並みの認知度を誇るのに何故かみんなあんまりやってなかったストレッチですが、猫も杓子も開脚ブーム!のお陰かココへ来てようやく日常に浸透したように思います。バブルが湧いているYou Tubeにもストレッチを指導するチャンネルが沢山ありますね。

それ自体は良いことだと思いますが、折角ならストレッチの本当の目的を知って快適な身体づくりに活かしてほしいという願いからこのエントリを書きました。
頑張ってるのに全然柔らかくならないとお嘆きのあなたを救う(かもしれない)衝撃の事実まとめです。

体の柔軟性は5つの要素から

いきなり結論ですが、体の柔軟性、つまり関節可動域の広さを決める要因は筋肉の硬さだけではありません。可動域にかかわる要因は

  • 関節の作り
  • 靭帯の長さ
  • 神経繊維の長さ
  • 関節包
  • 筋肉の柔軟性

と多岐にわたります。筋肉だけではどうにもならない場合もあるのです。

関節そのものの形

骨と骨とで構成される関節の形はみんな同じではありません。特に、皆さんが何故か大好きな開脚をする際に動く股関節は球関節(臼状関節)と呼ばれる構造を持っているので、関節そのもので可動が制限されています。動かせる方向は凄く多彩だけれど動かせる範囲は臼の深さによって制限されるのです。(↓ちょいグロ注意)

臼の深さは人それぞれみんな違いますが、概ねコレくらい深くしっかりとハマっているものと思われます。

関節の作りだけでいうなら座位での開脚(屈曲+外転)は可能だけど、屈曲を伴わない単なる開脚(外転)は45度くらいしかできないのが股関節です。

同じ球関節の肩は臼が皿みたいに浅いので可動域はもっと広いし、平面関節や車軸関節など可動を制限しない作りの関節もあるにはありますが、基本的に(当たり前ですが)【どこまでも動く】関節は存在しません。

靭帯の長さ

筋肉は腱になりひとつ以上の関節をまたいで別の骨に終わります。同じように関節をまたぎ骨と骨を繋ぐ組織に【靭帯】があります。

筋肉、腱、靭帯。一般的には似たようなイメージだと思いますが、

  • 【筋肉】スイッチONで縮むがスイッチOFFで戻りはしない。収縮しかしないもの。
  • 【腱】引っ張られれば元の長さへ戻ろうとするゴムみたいなもの
  • 【靭帯】骨と骨を単純に繋ぐロープみたいなもの

という違いがあります。靭帯はロープなので柔軟性もへったくれもありません。一度伸ばしてしまったら二度と元には戻らない。どういうわけか知りませんけれど、切れてしまった靭帯は手術で繋いでくれますが伸ばしてしまった靭帯は放置されます。靭帯は伸ばしたら面倒と覚えておいてください。

靭帯はロープ。ストレッチで伸ばせるものではありません。

神経線維の長さ

脊髄から分かれた神経は行く先々で更に枝分かれして、手の先・足の先まで電話線のように張り巡らされています。
神経線維は固く伸びたり縮んだりしません。つまり何らかの影響で骨や筋肉の成長に神経線維の成長が追いつかないような場合、可動域に影響がでます。

【幼少期から体が固い】場合などは神経線維が短いのかもしれません。

関節包

骨と骨とを繋ぎつつ、関節の潤滑剤ともいえる関節液で満たされているのが関節包。車の下に潜ったことがある人なら『ステアリングブーツ』をイメージすればぴったりです。

それ自体は縮んだり伸びたりする機能を持っていませんが、動かされていないと固くなってパサパサになります。そんな状態で無理に動かせばブーツが破れてグリス飛び散りますよね。

筋肉の柔軟性

筋肉が柔軟ということは筋繊維のスライドがスムーズであることを指します。
引っ張った時に良く伸びるのはもちろん、縮めた時にもしっかり潰れる。横にも縦にも柔軟なことが大切です。

筋肉の柔軟性は2種類
柔軟な筋肉は横はもちろん縦方向にも柔軟

筋肉の柔軟性が関節の可動域に影響するのはもちろんなのですが、『Stretch= 伸ばす、引っ張る』だけでは筋肉を柔軟にすることは出来ません。

ストレッチで体が柔らかくなるのは昔柔らかかった人

体の柔らかさ・固さにはかくも様々な要因が影響しています。
生まれてこの方開脚できたことがない人や、前屈で床に手がついた記憶がない人がストレッチを頑張り過ぎると、靭帯を伸ばしたり関節を変形させたりすることが考えられます。

柔軟性は「骨格構造」と「軟部組織(筋組織・筋膜・腱・靱帯・関節包など)」によって決まります。

e-ヘルスネット(厚労省)

厚労省が提供するサイトにも明記されているように、筋肉だけケアして体が柔らかくなるわけじゃない。DNAに刻まれたものは基本的に変えようがないのであります。

「若い頃は体柔らかかった」という記憶があるならDNA要素はきっと大丈夫。後天的に環境から作られた『固さ』の可能性が高いのでストレッチで安全に可動を広げられます。んが、ずっと固かった人は可動域を広げる目的で無理なストレッチをしないほうが無難です。

ちなみにこのエントリ、超有名ストレッチ系YouTuberのオガトレさんがシェアしてくださってます。(サイト分割前だけどw)

ストレッチの本当の目的

ヨガやストレッチはその形(アーサナ)になることばかりが評価されますけれど、どっちも本来の目的はソコではありません。

ヨガは「聖なる呼吸」を手に入れることが目的だし、ストレッチは「縮まったまま放置されてる筋肉を元の長さに戻すこと」が目的。どちらも【身体を柔軟にすること】が目的ではありません。

元に戻す。ここが大事。完成形は人それぞれ違うのです。

ストレッチは、一度も出来たことがないポーズするためにおこなうものではありません。そんなポーズになれたところでちょっと自慢できる以外に良いことはありません。しかし、やる事自体にはとても意味があります。元以上の柔らかさにはなれなくともやらなければドンドン短くなっていく筋肉があるからです。

【今】の環境に合わせて体は変化します。

お相撲さんやバレリーナさんは血の滲むような努力で靭帯を伸ばしたりジワジワと関節を変形させて競技のために通常の可動域を大きく超えた柔軟性を手に入れます。今必要だからその体になれるわけです。

現代社会で普通に暮らしていたら固い体のほうが有利です。が、環境に合わせドンドン固くなったらそれはそれで不便な場面も出てきますからほどほどにストレッチしておけば良いのであります。頑張ってやるもんじゃないってことです。テキトウにテキトウに。

ちなみに【体が硬いと太る】という都市伝説がネット上に溢れていますが、ある意味正解だけどちょっと間違ってもいます。もともと柔らかかった人が固くなった場合は太りやすいかもしれませんが、もともと固い人は案外太りにくい事を整体師・セラピストならみな気付いていると思います。何故かはここ↓

「みんな違ってみんな良い」。そんな言葉にきっと大きく頷いたことがあるでしょう?
全員同じポーズを目指すヨガや、みんなで開脚とか実に日本人的ですよね。ま、いいけど。

出来るかどうかはあまり重要じゃないし、最終形は人の数だけある。けど【やる】か【やらない】かは、ふたつにひとつしか無い。そーゆーことです。

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