そんなわけで、思考と言葉を減らして感覚優先な人が激増している昨今。視覚・聴覚・嗅覚・味覚・触覚。誰もが知っている“五感”ですら日常では視覚に頼りっぱなしで『感覚を鋭敏に使っている』と自信を持って言える人は果たしてどれくらい居るでしょう。

見ることなく見る、聞くことなく聞く、感じることなく触れる、味わうことなく食べる、筋肉を知覚することなく動く、匂いをかぐことなく息を吸う、考えることなく話す。

このサイト内で何度かシェアしているダビンチが嘆いた人間の特性ですが、こんな状態じゃ五感を駆使しているとは到底言えません。

  • 早回しを見ているようなこの時期。ちゃんと見ないと“いつの間にか”景色が変わってしまいます。
  • 今年の湘南台にはアオジ(鳥)の声がやたらとよく響いています。
  • 5/2の早朝は凛として初冬のような空気でしたが、5/3の朝は湿った初夏のものに変わっていました。
  • 冷えた朝は埃っぽい臭がして湿った朝は青い草の匂いがします。
  • 風にも固さの違いがあるし、釣りをしていれば水の固さにも気付きます。

五感は感情ともリンクしています。感覚を使いこなさないと感情も減ってしまう。しかも感覚は五感だけではないのです。

五感以外の感覚

  • 平衡感覚-内耳の半規管などで傾きや加速度を感じる
  • 内臓感覚-痛みや吐き気など
  • 什痒感-いわゆる痒み
  • 深部感覚 -いわゆる触覚は表在感覚。深部で筋・腱・関節の状態や部位の位置を知るための感覚

整体師の私達が知っておきたいのはもちろん深部感覚。感覚があるということは目や鼻などにあたる受容器が筋・腱・関節にあるということです。

感覚受容器(固有受容器)

宇宙にも似た身体はまだまだ謎だらけですけれど、現状把握されている受容器だけでも、関節には関節包のルフィニ小体、関節靭帯のゴルジ受容器が。筋・腱には筋紡錘とゴルジ腱器官が。それぞれ情報を受け取って脳に伝えるとともに各部で反射的に働いてくれています。多くの場合は危険を回避し身体を安全に保つため、脳を介さない無条件反射を起こしてくれているのです。

中でも筋紡錘とゴルジ腱器官は、筋・腱・靭帯の損傷を防ぐべく目まぐるしく働いてくれています。道が突然斜めになっても石ころを踏んづけても無事でいられるのは受容器が反射してくれるおかげ。体中至る所にあるこの感覚器を使いこなせないと、身体を思い通りに動かせなくなるばかりか危険回避ができなくなります。深部感覚を減らさない為に規則正しい生活をやめること。
毎日舗装された平らな道ばかり歩いていたら動作が偏って働かない感覚器が生じてくる。動作の偏りは肉体にとってストレスなのですよ。

ちょっと話がそれますが、筋紡錘とゴルジ腱器官が起こす伸張反射(ギュッと引っ張る・引っ張られると筋肉の損傷を防ごうと収縮する反射。脚気の検査に用いる膝蓋腱反射が有名)を例にとってストレッチを否定する向きがありますが、反射はスピードあってこそ。なのでゆっくり時間を掛けてストレッチすれば反射は生じません。そもそも手技による施術は全て受容器への入力で反射を起こしているにすぎません。

デコボコ、登り降り、ナナメ

楽あれば苦あり。今、楽を選択したらいつか苦しくなるってのは真理(逆もね)。生活を少しでも楽にしようと道路を平らに舗装したら、肉体的なストレス(偏り)が増えて様々な痛みもドンドン増えてきちゃったわけです。
体中至る所にある深部感覚の受容器を眠らせないよう、過程でしか無い施術は程々にして入力の種類を増やす。コレが唯一完治への道。

新緑の丹沢

丹沢界隈は新緑が目に痛いほど眩しい最高な季節ですが、残念なことに忌々しい蛭も出てくるのがこの時期。蛭がいないコースも無くはないけれどちょっと面白みにかけるのも事実。なので、蛭が消える秋あたりを目処に何か企てようと思います。一緒に遊びましょう!

ワタクシ事ですが、何がどうなっているのかわかりませんがここ数年5月になると背中が痛む。2017年も5月になった途端痛み出しましたが、浮き輪でプカプカ浮いてガッツリ釣りしたらすっかり治りました(笑)。そんなものそんなもの。

整体施術は感覚受容器を活かすための過程。受容器が活発になったら遊びが治療になります!

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書いている人

パンチ伊藤
あっとう言う間に整体師歴19年。現役で施術する傍ら小さな整体塾を主宰しています。当たり前な解剖生理と簡単な物理を繋いだわかりやすい身体の話が得意。釣り/山/島/音楽/映画/生きもの/が好き。2020年から自然農の畑やってます。

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