【体表の鎧化】身体の防御機能を働かせ過ぎていませんか?

手力整体塾@からだ応援団のパンチ伊藤です。
先日の教室で話題になった体表がやたらと硬い人。ワタクシの経験した色々をお伝えしたのでここでもまとめておきます。あなたは身体の防御機能を働かせ過ぎていませんかー?

体表の鎧化は防御の証

例1:恐ろしいくらいに硬い僧帽筋

僧帽筋

整体を20年近くもやっていると、鉄板のような僧帽筋をお持ちの方と度々お会いします。僧帽筋がまるで一枚岩のように僧帽筋の形のままスライドする人もいます。
そんな僧帽筋を直接ほぐそうと思ったら必要以上の力と時間がかかって僧帽筋が緩む前にこちらの指が壊れます。

結果的に固くなっている僧帽筋ですが、僧帽筋自体が縮こまって固くなっていることは稀なので、一枚岩へ戦いを挑んでも返り討ちに合うのは当然の結果です。

しかし何故こうも硬くなるのか。
それは過去の勇者たち(整体師・セラピストさん)が一枚岩に挑んだ成れの果てです。

力任せな施術は肉体にとって攻撃でしかありません。攻撃された肉体はより強固に守りを固めるべく硬さを増してゆきます。硬さを増してしまった僧帽筋は感覚が鈍くなりますからより強い刺激を求めるようになります。

そうやって悪循環が進む。

平たく言えば単なる揉みすぎ・揉まれすぎですが、攻撃の強さに伴って防御力がどんどん上がって岩のような僧帽筋が出来上がるのであります。

運動習慣のある人や上手な施術を受けている人なら、筋肉って案外簡単にほぐれんるんですよ。

例2:足裏のプロテクター

10年近く前の手力整体塾に足裏が異常に硬い人がやってきました。
足裏全体を覆うプラスチックの足底板を装着しているのかと思うほど、柔らかい組織までに距離を感じる手応え。もしやと思って聞いてみると、案の定健康サンダルを数十年愛用していて6時間履き続ける日もあるとのことでした。

健康サンダルで足裏が硬くなる

すぐにサンダルを変えるようお願いをしたところ、ほんの数ヶ月で普通の足に戻って塾生みんなで歓喜!身体ってスゲー。

例3:背中一面の・・・

手力整体の基本手技では背面を直接緩めることはほとんどなく確認のために触る程度。その日の訪問先でもまずは確認と背中に触ったところ、表皮の厚さを感じました。

例えるなら皮付きの三枚肉みたいな手応え。

感覚も鈍そうだったので揉まれすぎを疑いましたけれど、正体は入れ墨でした。

ワンポイントのものなら身体の防御機能はそこまで働かないかもしれませんが、背中一面ともなるとやはり身体は危険を感じるのでしょう。
しかもコレばっかりはやめようがないので、機能が自然に抑制されるのを待つしかないと思います。

例4:タコ・魚の目

一般的には、タコ・魚の目が一番ポピュラーな体表の鎧化、防御の証だと思います。

もうすでにわかると思いますが、攻撃の手を緩めずにタコや魚の目を安易に削っても無駄です。逆に言えば、攻撃が止めば防御する必要がなくなり勝手に解消するわけです。

一点へ集中砲火してしまう身体の使い方を見直すのが肝心。痛みなどの症状は取り扱いの間違いを教えてくれるサインですからね!

身体は裏切らない

身体は守ろうとして反応しただけ。
岩のような僧帽筋も、分厚くなった足裏も、皮付き三枚肉のような背中も、防御反射として生じた変化です。

身体は裏切らない。身体は天然。自然。
自然の環境が勝手に壊れたりしないのと同様、体表が勝手に固くなったり、骨格が勝手に歪んだりはしません。そこには必ず人の意思が介入しているのです。

柔軟性と可塑性

柔軟性と可塑性は「外部からの力によってモノが変形する様」という点では同じ意味ですが、変形しても元へ戻れる『柔軟性』に対して、元へ戻らず形が維持されるのが『可塑性』。

脳は入力や使い方によって『シナプスの可塑性』という変化を生じることが明らかになっていますが、体表などの肉体にも可塑性と言える変化が生じます。

少し前に書いた筋肉の記憶もその一環。一度できるようになったことなら時を経ても出来るというポジティブな可塑性もあれば、ネガティブな可塑性もあるわけです。

可塑性を平たく言ったら『慣れ』。慣れは『癖』とも言えます。
慣れたことを楽に感じるのは可塑性を生じているからなのです。

脳が大きくなり過ぎた人間はつい楽を選択して不自然になりがちです。
肉体を含む自然と付き合っていくのはとても難しいけれど、出来るだけ不自然にならないようにする簡単な方法がひとつだけあります。

いつも通りをやめる。規則正しくをやめる。あれもこれも適当にする。たったそれだけでネガティブな可塑性を減らせます。

ハンマー投げ金メダリスト、現スポーツ庁長官室伏広治氏も「トレーニングは慣れたら終わり」と仰ってます。
慣れてきたら変える。そうやっていれば、脳も肉体も柔軟性を維持したままで居られるわけです。

いつも●●。ずっと●●。そんな偏りこそが諸悪の根源。●●が悪なわけじゃありません。

どんなに上手な施術だって毎日受けたら毒。
健康サンダルだってたまに履くなら健康に一役買う。

慣れたら楽だけれど、楽は大抵身体に毒だと認識しておきましょう。
形変わったまま戻らなくなりますよ!

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大切なのは「なぜ」を繋ぐこと。
物理や自然の摂理、他の生き物のことにも視野を広げると、
身体の「なぜ」が繋がりだします。

死ぬまで使う自分の身体のことを愉しく学びましょう。

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書いている人

パンチ伊藤
あっとう言う間に整体師歴19年。現役で施術する傍ら小さな整体塾を主宰しています。当たり前な解剖生理と簡単な物理を繋いだわかりやすい身体の話が得意。釣り/山/島/音楽/映画/生きもの/が好き。2020年から自然農の畑やってます。

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