【Stress】は、心身の苦悩、苦痛、悲痛、悲嘆、悩みの種、経済的困窮、貧苦、難儀、災難、などを意味する【Distress】が短くなった言葉。100年ほど前の研究者が使いだしたんだそうで、日本語だと物理的な圧力や重圧、精神的な圧迫、圧力、抑圧、緊張、緊迫などと訳されています。
ストレスによりコルチゾール(副腎皮質ホルモン)が発散されると、免疫機能の低下や不妊、血圧や血糖値の上昇を生じ、分泌が多量だと、うつ病やPTSD(心的外傷後ストレス障害)の要因とされる海馬の萎縮を引き起こすとも言われています。
ワタクシの拙い経験では、ぎっくり腰や寝違えすらも肉体的な要因だけで生じることは稀で、心的ストレスによる筋の緊張や血管の収縮から生じる筋肉の酸欠が最終的なトリガーになっていると確信しています。
何よりも強烈な血行不良を引き起こすのが心的ストレスです。
ただ、面白いことに「ストレスは体に悪い」と認識しているか否かで作用が変わってくるという研究結果もあります。プラセボの反対、ノセボというやつですね。
ストレスが引き起こす様々なことは解明されてきましたが、具体的なストレスの正体は解明されていません。なぜなら、食べ物の好き嫌いや趣味嗜好が人それぞれなように、普遍的な【ストレス】というものは存在しないからです。
100年ほど前から現代まで総じて『嫌なもの、好ましくない状態のこと』として使われてきた【ストレス】ですが、どうやら一方的に悪者でもないぞという風潮になってきているのも事実。
ストレス反応とはホメオスタシス(恒常性)によって一定に保たれている生体の諸バランスが崩れた状態(ストレス状態)から回復する際に生じる反応をいう。
バランスというのは固定・安定した状態とは違いアッチコッチと揺れながら保たれるもの。不安定に動くからこそ恒常性が保たれる。現状維持が一番難しい。自然(自然体)とは本来そういうものです。
陰と陽。無数にあるアッチとコッチを偏らずに行き来しているのが自然。だからワタクシはずっと前から【ストレス=偏り】と意訳しているのです。
肉体的ストレス
栄養バランス
私達の身体は、30兆ほどの細胞と40兆ほどの細菌が活動する方舟です。(細胞の数も細菌の数もここ数年で大幅に改定されました。つまりまだほとんど謎ですw。)
好む好まざるにかかわらず、合わせて70兆もの生きものを身体に飼っちゃっているので、それぞれに必要なものを届け循環させる使命を背負わされているわけです。
70兆の体内ペットをご機嫌にしておくために必要なのが、バランスの良い食事や運動、睡眠。【運動⇔休息】【睡眠⇔活動】のバランスは単純なので分かりやすいですが、食事に関してはバランスするものが多種多様にあって意識的に合わせていくのは至難の業かもしれません。
(例:【ナトリウム⇔カリウム】【カルシウム⇔マグネシウム】など。)
物理的なバランス
重力によるストレスが無ければ私達の身体は儚く壊れます。骨や筋肉の成長と維持に、圧迫・圧力・緊張は欠かせないのです。
重力によるストレスを味方につけるか敵に回すかは、ひとえに物理的バランス次第。
いつも同じ姿勢やいつも同じ動きで特定の筋に負荷が集中してしまうことがストレスなわけで、負担を偏らせず全ての筋肉を使いつつ揺れ続ける物理的なバランスが大切です。
心的(脳)ストレス
お月さまや天気にも影響されて浮かれたり沈んだり揺れているのが人の心です。
『楽しいから笑うのではなく笑うから楽しいのだ!』と言わんばかりに、力任せな笑顔をキープし続ける方をたまに見かけますが、相当なストレスだと察します。ご愁傷様です。
顔色をうかがったり空気を読んだり、頭で考えること(妄想)が沢山あり過ぎると、感じることが疎かになります。五感が鈍くなって入力が少なくなれば脳ミソの使う範囲に偏りが出てくる。同時に感情にも偏りを生じます。
感情一覧
安心、不安、感謝、驚愕、興奮、好奇心、性的好奇心、冷静、焦燥 (焦り)、不思議 (困惑)、幸福、幸運、リラックス、緊張、名誉、責任、尊敬、親近感 (親しみ)、憧憬 (憧れ)、欲望 (意欲)、恐怖、勇気、快、快感 (善行・徳に関して)、後悔、満足、不満、無念、嫌悪、恥、軽蔑、嫉妬、罪悪感、殺意、期待、優越感、劣等感、恨、怨み、苦しみ、悲しみ、切なさ、感動、
怒り、諦念 (諦め)、絶望、憎悪(愛憎)、愛しさ、空虚
近頃欠けている感情はありませんでしょうか。後悔、不満、嫉妬、殺意、怨みなどのいわるゆネガティブな感情も、偏らずバランス取るために大切なものだと思います。
肉体的に集中、精神的に散漫
- 姿勢や動作を繰り返すことで決まった筋肉に負担が“集中”
- 色んなこと少しずつ考えて脳ミソは注意“散漫”
現代多くの人が抱えるストレスとはそんな状態なんじゃないでしょうか。
理想的な状態はまるでアベコベです。
- 色んな筋を少しずつ使うよう身体はもっと“散漫”に
- 脳・心・意識をくまなく使うため五感に“集中”
食事も姿勢や動きも、感覚(五感)も感情も、いちいち【アッチとコッチ】を考えなくても、種類が多ければ勝手にバランスは取れてきます。好き嫌いせずなんでも食べて集中できる好きなことを色々やる。多少大きく揺れても勝手に元へ戻れる恒常性は種類の多さで手に入ります。
いつも通りの【安定・安心】を求めた結果のストレス激増社会です。『規則正しい生活』の意味を履き違えないように。せっかく授かった五体満足な身体を、偏り無く余すところなく全て使いこなしたいと思うワタクシはやっぱり貧乏性なのかもしれませんなぁ。