反射神経という神経はありません
先日アップした動画を見て『反射神経』という言葉が頭に浮かんだ人もいるかと思います。『反射神経が良いね~』などと言葉としては当たり前に使われますが、反射神経という神経は存在しません。
解剖学による末梢神経の機能的な分類
- 体性神経系
- 求心性神経(感覚神経) 各部位で生じた知覚の信号を、受容器で受け取って中枢神経へ
- 遠心性神経(運動神経) 脳や脊髄反射から生じる運動の信号を中枢神経系から各部位へ
- 自律神経
- 交感神経(別名:闘争と逃走の神経・昼の神経)心拍アップ、動脈収縮、瞳孔散大、気管弛緩など
- 副交感神経(別名:休息の神経・夜の神経)心拍ダウン、動脈拡張、など反対の作用
脳と脊髄からなる中枢神経から、各所へ枝分かれする神経に、反射神経は存在しないことがわかると思います。同時に『運動神経が良い』というのもオカシな話だと気付くでしょう。正しくは、感覚と運動両方合わせた『体性神経系の扱いが上手い!』というのが正解です(笑)。
反射神経じゃなく反射という生理
『反射神経が悪い』(って事はありえないのですが)と言われる人は、反射ではなく脳からの司令を待って動いているから遅くて当然なのです。
元々備わっている無条件反射の内の多く、防御反射・逃避反射が遅い場合はちょっと問題ありですが、スポーツや遊びの場面だと実際は無条件反射ではなく、慣れとかセンスの問題。神経の問題ではありませんのでご安心を。ガッツリ反復練習して、条件反射を身に付けてしまえば解決です。
姿勢が悪くなるのも、骨盤が歪むのも、O脚・X脚になるのも、入力に対しての姿勢反射・体性反射といえるのです。だから、力任せに姿勢を正したり、骨盤やO脚を矯正したりするのはほとんど無意味。入力(本質)を無視して現象の解消だけ繰り返したら、最終的にエライ事になってもまったく不思議ではありません。
自律神経反射だけはちょっと厄介
クライアントの身体に何らかの刺激を与えて変化を起こす、正しい整体・鍼灸マッサージなどの療法では、無条件反射を利用しています。
先天的に備わっている無条件反射は、ほぼ全ての人が型にはまった反応を示すので、施術として成り立つわけです。
んが、こと自律神経に関しては予想外の反射が生じることもしばしばあります。
作用反作用という法則がありますから、交感神経が優位な人へ施術すれば副交感へ、副交感優位なら交感神経へとなることが多いのですが、血圧の低い人への施術で更に血圧が下がって、寒くなってしまう人もいらっしゃる。
逆も然りなので、ちょっと注意が必要なのが自律神経の反射です。
自律神経失調なんてのもあるくらいですからね。想定外を想定内に。
何はともあれ、多種多様な反射という生理を理解して使い分けていく事。特殊なテクニックや最新機器を導入するよりも、やるべき事をきちんとやりましょう。
そんなわけで昨日の手力整体塾も、狙った反射を効果的に起こす手技の練習。
武道やスポーツの様に、下半身から上半身へチカラを出していく身体の使い方と、リズムが肝心。流石にコリを捉える感覚は身に付いて、刺激の半分くらいは良い感じになってきましたが、半分ではまだ偶然の域を出ていません。しっかりと何かを掴んで、100発100中にまるまでトコトンお付き合いいたします。頑張りましょう!